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まさかのギルド長との初対面です

結構長い回です。

 僕はなぜここにいるのでしょう?


 現在ギルド長室に連れてこられています。しかも両腕ガッツリ捕まった状態です。そんな僕を不思議そうに見つめる呼ばれた他パーティの面々。そうでしょうとも。僕も不思議ですから。


 「悪いな、遅くなった」


 ガレムさんぐらいの大きな男性が部屋に入って来ます。額から頬にかけて顔に傷があり迫力の獣人男性さんです。何の種族さんでしょうね。そう考えていたら目が合いました。


 「おいおい、クライムのメンバーにそんなやついたか?」


 僕は関係ないですよ、と言おうとしたら「トシヤはクライムのメンバーだ」とレイナさん。「新しく入ったんすよ、ポーターとして」とザックさん。いや、そんな話一言も聞いてませんけど。


 「そうか、ポーターか。後で登録しとけよ。ああ、「テラ」と「セイロン」のみんなも良く来てくれた。今回の招集は街の比較的近くにオーク集落が発見された事だ。規模が大体300。多分ジェネラルクラスがいるだろう。

 領主の訪問が近く時間をかけていられないんだ。Aランクパーティ「クライム」と「テラ」、Bランクパーティの「セイロン」で早急に討伐へ向かって欲しい。報酬は弾むぞ」


 うわぁ、オーク集落って定番じゃないですか。いや、それよりも僕行きませんよ。戦えませんし。でも空気を読む日本人というか、言う勇気がないと言うかとりあえず黙っていますけど。


 「ならギルド長、クライムの報酬は魔石を主にしてくれるか?」


 各パーティがざわざわする中、レイナさんがギルド長に交渉を始めました。


 「ん?クライムが倒した分の魔石はきちんとやるぞ」


 「いや、依頼報酬も魔石にして欲しい」


 レイナさん全部魔石にして良いんですか!?驚く僕にニッと笑うレイナさん。…… 考えがあるのですね。


 「何だお前ら魔導具でも作るのか?まぁ、それくらいなら構わないが…… で、「テラ」と「セイロン」はどうする?」


 「「テラ」としては報酬プラス討伐したオークの数だけ上乗せしてくれればいい」


 「テラ」は男四人のパーティみたいですね。獣人と人間が半々です。そのうちの青い髪の人間の男性が答えています。見た感じ誠実そうですねぇ。


 「「セイロン」も同じだ。尤も今回はAランクの胸を借りる事になりそうだがな」


 「セイロン」は「クライム」と同じ男女比ですね。でも全員獣人さんですけど。こちらはがっしりとした獣人男性が答えています。「セイロン」の答えにニヤリとするギルド長。


 「良く言うぜ、自信あるだろうがよ。全員参加で良いんだな。じゃ、目的地はスレイプニルの馬車で約半日の距離だ。明日の早朝ギルド前出発予定だ。宜しく頼む。何か質問は?」


 「今回ギルドが準備するのはスレイプニルの馬車だけか?」


 「オイオイ、ボルク。スレイプニル馬車だって頑張って手配してるんだぜ。だが軽食ぐらいは用意するぞ」


 「わかった。感謝する」


 「テラ」の青い髪の男性さんはボルクさんって言うんですね。礼儀正しい人です。


 「じゃ、明日の早朝揃い次第出発だ。解散してくれ。あ、クライムは残れよ」


 ギルド長さんが解散を宣言すると、サッと出て行く「テラ」と「セイロン」パーティ。僕はと言うと、正直こんなに早くギルド長と会う機会が来るとは思ってなかったので、どうしましょう状態です。


 僕とクライムメンバーとギルド長だけになって、レイナさんが口を開きます。


 「ギルド長、勝手をして悪かった」


 「いや、お前らが連れてくる人間だ。信頼して話を進めさせて貰ったが、なんか理由あるんだろ?」


 なんか見透かされていますねぇ。すごい洞察力と胆力です。


 「ああ、実はクライムは専属護衛をやる事にした。トシヤはその護衛対象だ。だが、こういう事もあるかと思って、いざという時の為にポーターという形にしようと決まったばかりだ」


 確かに、専属護衛になったばかりで、みんなに置いていかれたら元も子もないですしね。納得。


 「ごめんなさいねぇ、トシヤちゃん。説明無しで巻き込んじゃって。その方が守りやすいのよ。順番逆になったけどどうかしら?」


 ティアさんが僕に済まなそうに言ってきます。でもそれもいいですねと思う僕がいます。何せ、こうやって状況に素早く対応してくれる護衛なんてそう居ないでしょうし。


 「いえ、むしろ僕の為を思って言って下さったんですよね。ありがとうございます」


 ここはにっこりお礼を言っておきましょう。その様子を見てギルド長が疑問を投げかけてきます。


 「おいおい、Aランク「クライム」が専属護衛になるって、こいつ何者だよ」


 「それをギルド長にも理解してもらいたいから、あえて交渉させて貰った。ああいえば疑問に思ってくれるだろうからな」とレイナさん。


 確かに自然な流れで、ギルド長と話し合う機会になりましたね。これはチャンスです。


 「自己紹介が遅くなりまして申し訳ありません。僕はトシヤと申します。結論から話しますと、僕のギフトが理由です」


 「Aランクが納得するギフト持ちってか?なんか面白そうじゃねえか」


 「ですが、説明するよりも目で見ていただけたらわかると思います。少し協力をお願いしたいのですが、宜しいですか?」


 「お?なにすればいいんだ?」


 なんでしょう、このギルド長かなり場数踏んでる感じです。いきなりの事に笑う余裕があるとは。そう思いながら僕はお馴染みの入館者登録をギルド長に行います。


 「俺はブライト、33だ。このセクトの街のギルドマスターをしている。宜しくな」


 フレンドリーなギルド長に「エア」を触ってもらい、その後この部屋に亜空間グランデホテルの入り口を召喚します。いきなり現れた正面扉にさすがに「おわっ!」と驚くブライトさん。


 「僕のギフトは亜空間で成長する宿です。是非中をご覧頂きたいのですが、時間は大丈夫ですか?」


 「時間?んなものより、こんな面白そうなもん見せられて後にするなんて出来るか!なぁ、トシヤと言ったか?ここまで来て入らせねえって事言わないよなぁ」


 なんとなく…… これは副ギルド長苦労してそうですねぇ。


 「勿論です。さあ、中に入って下さい」


 嬉しそうに真っ先に入って行くギルド長。その後を僕とクライムメンバーも入っていきます。


 「ようこそ亜空間グランデホテルへ!」


 グランの恒例の挨拶がギルド長を迎えます。当然キョロキョロするギルド長をクライムメンバーがニヤニヤしながら見ています。


 さて、喫茶店で話し合いでしょうかね、と思っていると「トシヤ兄ちゃん!」とボスっと誰か足に抱きついてきました。ん?サーシャさん?あ!


 「サーシャさん、凄い似合いますねぇ」


 「えへへへ。ありがとう!お兄ちゃん!すっごい嬉しいの!」


 サーシャさんがフロント制服を着ています。いやぁ、これは可愛い!ティアさんは両手を胸の位置で組み「なんて可愛いの!」と悶えています。


 クライムメンバーも「いいじゃないか」「すっげえかわいい」「(頷き)」とサーシャさんを褒めていますねぇ。そうでしょう、うちのスタッフ可愛いでしょう、と満足気な僕。


 「あれ?木陰の宿のちびっこじゃねえか」


 あ、ギルド長いたんでした。サーシャさんも「あ!」と気づき、すぐに態度を切り替えてギルド長に挨拶します。


「ようこそ亜空間グランデホテルへ。当館スタッフのサーシャです。まずは靴を快適な靴に履き替えていただく様お願い致します。その後当館自慢の喫茶店にてご説明をさせて頂きます」


 きっちり挨拶を終えたサーシャさん。様になっていますねぇ。これにはギルド長も驚きつつ従い、靴を履き替えています。クライムの面々は慣れた様子で動きだしています。


 準備が整ったギルド長をサーシャさんが案内し、喫茶店へ。ここでガレムさん我慢ができなかったのか、休憩所の方へ離脱。あ、ザックさんもついていきましたね。


 喫茶店に着くと「「いらっしゃいませ」」とキイと制服を着たミック君がギルド長を迎えます。


 「まあ!ミックちゃんもなんて可愛いの!」


 ティアさんがミック君を抱き上げていますね。うん、気持ちわかります。可愛いウェイターさんですから。


 「ティアさん、仕事するから降ろして〜」とミックくん。渋々下ろすティアさんを「もう!」と頬を膨らまして怒っています。それでもすぐに切り替えて、ギルド長の方へ向き直り挨拶するミック君。

 

 「ようこそグランデ喫茶店へ。助手のミックと申します。まずはお好きな席へお座り下さい」


 ギルド長はカウンター席につき僕もカウンター席へ。レイナさんティアさんはテーブル席についています。


 キイの挨拶と入館キャンペーンのドリンクサービスの説明を受けて「酒が良いなぁ」と言いながらココアを頼むギルド長。ガレムさんと同類がここに。


 今日はお金を持って来ていたのか、ティアさんレイナさんはお気に入りのフルーツパフェを自分達で払って頼んでいます。僕はコーヒーですね。


 ギルド長がミックくんの動きと、一瞬で飲み物が出てくる様に驚いています。もはや初めて訪れた人の仕様でしょう。その後、昨日よりも流暢なサーシャさんの案内があります。日に日に良くなっていきますねぇ、と拍手をしていると真面目な顔のギルド長が僕の方に向き直ります。


 「トシヤと言ったか。俺にこれを見せた理由を聞こう」


 「はい。僕はこの施設を沢山の人に利用してもらいたいと考えています。ですが、この施設の有益性を考えると、いずれ権威者から目をつけられます。僕はそれが嫌なんです。そしてその対抗策に上がったのが冒険者ギルドと商業ギルドを巻き込む事です。

 この際ですから正直に話します。どうか僕の後ろ盾になって頂けないでしょうか?一人でも多くの色んな方に利用してもらう助けになって頂けませんか?」


 僕の言葉に黙り込むギルド長。しかしでた言葉は……「トシヤ、残念ながらそれだけじゃギルドは動かせねえ」というもの。うん、当然ですよね。


 「では、この施設がもし、ギルドとギルドを結ぶ事が出来たらどうでしょう。しかもこの空間の中で、悪さは絶対出来ませんし、通行パスポートが発行されていない人は通る事ができないという安全なもの。

 そしてこの宿で休むと回復するとしたら?一人でも多くの冒険者の命が長らえるのではないでしょうか」


 「……… 他の問題点もある。冒険者で潤っている宿屋も多い筈だ。その点はどう考えているんだ」


 「まず僕の宿屋は高料金に設定します。ここに入る為に街の宿屋に100回食事や宿泊したお客様にこのホテルの大浴場や喫茶店を公開し、1,000回で宿泊も可能という感じに、地域と協力体制を敷いた上でホテルを公開したいと思っています。ゆくゆくは会員制にとも考え中です。

 それにもし、ギルドとギルドを繋ぐ事が出来たら優良な冒険者が街を行き来出来、一般の宿も潤う筈です。それに街の協力的な宿屋にはこのホテルから料理方法の伝授支援、この宿の商品の取り扱いを許可する予定です。

 ギルドとしても優秀な冒険者が行き来できるのは、利益が出るのではないでしょうか?」


 黙って僕の話を聞いていたギルド長は、頭をガシガシしながら「それが出来たら末恐ろしいな」とボソっと呟きます。


 「こういうのはうちの副ギルド長のヤンが得意なんだよ。だが聞いた限りでは、俺は賛成だ。一瞬で街と街繋げれるだと?そんなの確実に王家にも目をつけられて持っていかれるじゃねえか。黙って指咥えてみているのは馬鹿臭え。

 ……だがこの話乗るには条件がある。まずは商業ギルドとも話をつけろ。後はうちの副ギルド長もここの入館の許可が欲しい。最後に、実際に繋げる事ができる事を実証してみろ。どうだできるか?」


 おお!好感触です!

 思わずレイナさん、ティアさんをみるとサムズアップしてくれています。これは是が非でも魔石の入手が必須ですね!

 

 よおし!のんびり過ごすためにもやってやろうじゃないですか!

z♪───O(≧∇≦)O────♪

アクセスありがとうございます!嬉しい事に評価者6人、ブックマーク24になっていました!嬉しくて書いていたらこの回5000文字超える事になっていました。書きすぎた(>_<)でも力を貰いました!また今日あげれたら更新します。本当にありがとうございます♪

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