クライムの皆さんを歓待しましょう 其の弐
遅くなりました!お昼になっちゃいました、すみませんm(_ _)m
さあ、まずは大浴場にクライムの皆さんを連れて行きましょう。ここからは僕も頑張りますよ!
女湯の方の案内はサーシャさんに任せて、僕は男湯の案内に徹します。早速、男湯暖簾をくぐり脱衣場の設備を三人に説明しましょう。
ザックさんはあちこちキョロキョロみてますし、ティアさんは男性用アメニティに目がいっています。面白いのはガレムさん、僕の説明黙って聞いているんですよね。意外に真面目です。
脱衣所の説明がおわり、大浴場に行くとやはり「「「おおお」」」と野太い歓声を頂きました。ティアさんまで、野太い声出していたのにはちょっと笑ってしまいましたけどね。
大浴場の使い方、シャンプー、トリートメントの使い方、サウナの方法も三人に伝えて「ごゆっくりどうぞ」と引き下がる僕。
その後パパッと服を脱いで大浴場に入って行った三人。「ウヒョー、こんな贅沢出来るのか!」「ちょっと!先に身体洗いなさいよ!」「サウナってやつ入って来る」と楽しそうな声が聞こえて来ましたから、お風呂は大丈夫でしょう。後は……
「エア、お風呂上がりの三人の接待任せますよ。あと、【室内備品】からティアさん用に[女性アメニティセット(ハブラシ、歯磨き粉、メイク落とし、オールインワン美容液、ミニ石鹸) MP9]を出して貰えますか?」
「畏まりました。ティア様にはお肌のケアなどもお伝えさせて頂きます」
うん、ティアさんはエアに任せておけば問題ないでしょう。僕は他の準備があるので、エアに後を任せて急いで移動します。一旦宿に戻り今度はレイナさんの為に、女性陣の中から肌ケアを教えてくれる人を探しに行きましょう。
すると意外にも、一番先に声をかけたカルナさんが引き受けて下さいました。入浴回数券24枚セット進呈で。昨日エアに教えて貰った肌ケアをレイナさんにも教えて欲しい事をお願いすると「まぁ、レイナちゃんで遊べるのね、ウフフ」と何やら喜んでいましたねぇ。…… うん、お任せしましょう。
さて、これでレイナさん、ティアさんが肌ケアしている間に、ザックさんガレムさんは胃袋を掴ませて貰いましょう。
喫茶店に戻り、キイとミック君と打ち合わせをします。今回は僕の奢りとして皆さん同じメニューでいかせてもらいますが、ビーフシチュー 800ディア(MP8) 、オムライス 900ディア(MP9)でお腹を満たして頂き、新しもの好きのザックさんにシーフードピザ 900ディア(MP9)を、意外に甘いもの好きなガレムさんにフルーツパフェ 600ディア(MP6)を出して貰う様に二人に頼みます。
勿論、ティアさん、レイナさんの分も同じ様に準備してますよ。二人はガレムさんと同じメニューで良いでしょう。
さてその後は休憩室でまったりと過ごして頂きましょうか。ここではコーヒーが無料で飲める事をお伝えして、食後のコーヒーを提供。その後自販機でジュースとお菓子をお土産に渡す為、買っておきましょう。ここは奮発して全種類ですかね。
魔力量は…… まぁ、持ちますね。
さて後は上がって来た皆さんをもてなす事に徹しましょう。
あ、その前に僕もちょっと一休みしましょうかねぇ。
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〈ティアサイド〉
ちょっと、ちょっと!控えめに言っても最高なんですけど!
こんなにたっぷりのお湯に浸かるなんて夢みたいよ!
ザックの馬鹿は飛び込んで泳いじゃってるし、ガレムはサウナってところに入って茹で上がってでてくるわで、あいつらはしゃぐのが本当にわかるわ。でもガレム、水風呂に入って「フィィィ〜」って声は親父臭いわよ。
私は泡風呂が気に入ったわ!あのブクブクの中で入る気持ち良さ!ジェットバスっていうのも筋肉がほぐされて良いけど、泡の何とも言えない心地よさがいいわぁ。ずっと入っていられるわね。
そしてお風呂上がりはエアちゃんが待っていてくれたのよ。本当このトシヤちゃんのギフトって不思議よねぇ。だって喫茶店や受付、板がしゃべるのよ。しかも会話までできて知識も豊富。
それもわたしが知りたかったお肌の手入れまで!何このプルプル感と肌に吸い付く程のもっちり感。乾燥がちの私の肌がこうなるのよ!本当に素敵だわ。
でもこの基礎化粧品は女風呂には常備してタダだけど、男にはまだ備えられてないのよ。でもエアちゃんは言ったわ、まだだって。ここはまだ成長するのよね。楽しみだわ。
ザックとガレムはとっくに出ているけど、私もそろそろお腹空いて来たわね。エアちゃんによると、トシヤちゃんが喫茶店で食事用意してくれているそうよ。行きましょうか。入り口をでると、レイナも同時に出て来たみたい。
「あら、レイナも今上がったの?」
「ああ、カルナさんに捕まってな…… 」
なにがあったのかしら…… ?レイナに悲壮感が漂っているわ。でもお肌はピカピカ。綺麗なこの子がさらに仕上がっているじゃない。カルナさんやるわね。
「ま、気持ちよかったならいいじゃない。切り替えて喫茶店いきましょ。ご飯用意してくれているみたいよ」
「ああ!楽しみだ!」
まぁったく、この子はまだ色気より食い気ねぇ。まぁそこも可愛いけど。でも、既に喫茶店の中何か騒がしいわね。ザックとガレムが食べているはずだけど……
カランカラン。
「すっげえ、すっげえ!これ美味い!なんだこの味!初めて食ったわ」
なんだ…… ザックの馬鹿が騒いでいたのね。あら、ミック君が嬉しそうにニコニコしているわ。サーシャちゃんも配膳手伝っているのね。って……
「ちょっと!ザック!あんた何皿食べたの?何この皿の山」
「おー、ティアにレイナ。遅かったな。俺もうこんなに食べたんだぜ」
ザックの前にお皿が五皿積み上がっているわ。もしかして今食べているのが六皿目?え?ガレムも三皿目じゃない?
「お前らなぁ、いくら奢りとはいえもうちょっと遠慮しないか?欠食児童みたいじゃないか」
レイナもっと言ってやって頂戴!でも相変わらず食べるわねぇ、ザック。痩せの大食いなのよ、あの子。ガレムは見た目通り食べるけれど、まぁ通常よね。
「レイナ、私達もお腹空いたわ。気にしないで席に着いて食べましょう?」
「そうだな。ミックお願いできるか?」
「畏まりましたぁ」
ミックちゃんがテキパキ動くわね。見ていて気持ちいいわ。でも何度みても不思議。お皿置いただけで料理が出てくるのよ?便利ねぇ。
「お待たせしました。オムライスとビーフシチューです。お水のおかわりが必要な時はお呼び下さい」
ミックちゃんが持って来た料理にレイナはもう釘づけねぇ。スプーンとフォークが出て来たら早速食べちゃってるわ。
「ティア!早く食べてみろ!これ凄い美味いんだ!」
あら食にうるさいレイナが勧めて来るなんて。どれどれ…… まぁ!
本当美味しい!これなんの味かしら?ポメの味もするけど酸っぱくないわ。え?オムライスって名前なの?意味はわからないけど、これ腹持ち良さそうだし、スプーンが進むわ。
それにスープが味わい深いのよぉ。濃厚でいて複雑な味わい。オムライスにも合うわぁ。スープの中のお肉が柔らかいし、味が染みててまぁ美味しい事!
気がつけば二皿目に突入していたわね。あらレイナも?お互いにダイエットは明日からね。でもやられたわぁ。まさか更に隠し玉持ってるなんて。
「ティア!凄い!これめちゃくちゃ甘くて美味い!」
「本当に凄いわね。果物がいっぱい乗っていて綺麗だし」
レイナが興奮するのはわかるわぁ。甘いものなんて高いから滅多に食べないものね。って、はぁ!?ここだと600ディアでこれ食べれるの!?ありえないわ!止まらないわ!
でもガレム、あなたパフェ何杯目なのよ。確実に三杯は食べているわよね…… 。ザックは当然の様に食べてるし。ウチはAランクだけどお金にうるさいのは食費のせいなのよねぇ。
もう本当にみんな胃袋掴まれちゃったじゃない。
これは言わなくても結果バレバレねぇ。
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〈トシヤサイド〉
うわぁ、流石冒険者ですねぇ。食べる量が半端ないです。これお食事券の方が喜びましたかね?いやでもあれだけ食べれば、宿代だって馬鹿になりませんし。ここは当初の案で行きましょうか。
「いやぁ!食った食った!」
「もう入らないわよぉ」
「満足だ」
「それにしたってお前ら食い過ぎだ!遠慮しろよ」
喫茶店からお腹をさすりながら出て来た「クライム」のメンバー。うん、うん。満足しているみたいですねぇ。
皆さんをリクライニングチェアに一人ずつ座らせて、僕はコーヒーの用意をします。そうそう、ライ君、リルちゃんは空いている椅子でおねむの時間ですよ。可愛い寝顔で癒されます。
「トシヤ、もうなにも構わなくて良いぞ。本当に十分だ」
僕がコーヒーを用意しているとレイナさんが申し訳なさそうに話しかけてきます。
「ま、ゆっくり食後のコーヒー飲みながら休んで下さい。ところで皆さんお風呂はどうでしたか?」
僕は皆さんにコーヒーを渡しながら感想を聞いてみます。興奮して話し出すザックさんに、サウナが気にいったらしいガレムさん。レイナさん、ティアさんはお風呂は勿論、お肌のケアに満足しているみたいでしたね。エアとカルナさんありがとうございます。
あ、エアはさっきティアさんから受け取りましたよ。「また教えて欲しいわぁ」ってエアに言ってましたから、頑張ったんですねぇエア。
「トシヤ、今みんなに専属契約の意見聞いてみて良いか?」
レイナさんがどうやら僕にもみんなの意見を聞かせたいみたいですね。
「勿論です」
「ふふっ、流石余裕だな。さて、みんな。専属契約とギルド長への繋ぎの件だが、どう思った?」
レイナさんの言葉に最初に意見を言ったのはザックさん。
「はーい!俺反対」
ええ!!あれだけ好感触だったのに!?僕が驚いているとティアさんとガレムさんも「そうねぇ」「確かに」って言うんですよ!何か気に入らない事ありましたかねぇ……
「ははっ、みんなそれだとトシヤに伝わらないぞ。明らかに私達の方が貰いすぎだとな」
ん?話の方向性が変わってきましたよ?
「いやぁ、悪い。してやられてばっかりで悔しくてな」とザックさん。
「そうねぇ。入浴だけでも凄いのに、これで宿泊までタダになるならこのまま契約にOKは出せないわ」とティアさん
「専属護衛つけても良いんじゃないか」とガレムさん。
みんなの意見を聞いて満足そうなレイナさん。僕の顔を真っ直ぐ見て話し出します。
「なぁ、トシヤ。私らはここが気にいった。まだ宿泊もしてないのにな。だが、今ある施設だけでも今後増える宿泊施設にも期待が持てる。多分いい意味で予想を裏切ってくれるだろうってな」
「そうそう、休憩するだけでこんな座り心地のいい椅子用意するんだぜ。あり得ねえよ」
「そうねぇ。ザックの言う通りだわ。これで未完成なんて凄すぎるわ。将来性を考えれば恐ろしいわね」
「ティアが言ったとおりだ。だからこそ護衛が必要になるだろう。だったら俺らが先に護衛の権利が欲しい」
「そうだなガレム。みんなもガレムの意見に同意で良いか?」
「ああ」「勿論」「俺はそう言ってる」
「トシヤ、聞いての通りだ。Aランクパーティ「クライム」を専属護衛とする事を了承するなら、トシヤの提案に乗ろう。どうだ?」
レイナさんがニヤっと笑って僕に聞いて来ますが、「どうだ」だって聞かれるまでもないですよ!
「勿論!願ってもありません!お願いします!」
僕の声に「「「よし」」」(一人頷き)と言ってくれたクライムのメンバー達。
まさか護衛まで言い出してくれるとは、考えていませんでした。頼もしい人達が更に僕らに加わってくれるとは嬉しいですねぇ!
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