ティアさん登場です
さて、グランに出してもらった【亜空間グランデホテル設定】の中の二つ。【(備品発注)】と【(お土産コーナー)】が、なぜこの状態なのか確認しましょう。
「グランとりあえず、【(備品発注)】を更に開いて貰えますか?」
「畏まりました」とグランが画面を切り替えます。
【(備品発注)】0/100(魔石)
テーブル備品、サービス備品、会計備品、スタッフの制服、ネームプレート、靴など取り扱い有り。魔石100個で取得可能。
これは業務に必要な物ですね。後で必ず取りましょう。さて、もう一つの方にも切りかえて貰いますか。
【(お土産コーナー)】0/10,000(魔石)
亜空間グランデホテル厳選のお菓子、酒、アメニティ、お茶、コーヒー、パジャマ、ガウン、リネンなどを販売するコーナー。魔石10,000個で取得可能。
うわぁ、欲しいものだらけじゃないですか!…… しかし、また魔石です。これは早急に対策が必要でしょう。
「成る程。わかりました。とりあえず本格的な開業までになんとかしたいですね。グラン、【備品発注】は取得しておいてくれますか?」
「畏まりました」
ふぅ、なんか異世界きてからバタバタですね。今日はのんびりしたいものです。木陰の宿の方の様子も知りたいですし、ちょっと食堂に顔出して来ますか。
「グラン、キイに伝えてください。もしミック君達に僕の事聞かれたら宿の食堂に居ると伝言をお願いします、と」
「畏まりました。では、行ってらっしゃいませ」
後はグランに任せて、僕は「エア」を持ってフロントを後にします。正面玄関で靴を履き替え木陰の宿へ。
「エア」に確認すると今は三の刻、地球時間で朝10時。朝食はとっくに終わってますねぇ。食堂は静かだろうなぁ、と思って歩いていたら、賑やかな声が聞こえて来ます。どうやらお客様いらっしゃるようですね。
「だからぁ、その髪と肌の理由教えなさいよぉ」
「うふふ、秘密。ティアは良いじゃない、そのままで」
「メイ姉に深く同意。ティアさんそのままでいいと思う」
「駄目よ!振り向いて貰わないといけないんだから!」
「いや、なんか逆に離れて行きそう…… 」
「ちょっとエル!縁起でもない事言わないで頂戴」
メイさんとエルさん仲良さそうに話していますねぇ。ただ話している方って…… ?僕が疑問に思っているとエルさんと目が合いました。
「トシヤ兄、おはよう!丁度いいからちょっとこっち来て!」
走って来たエルさんに腕を掴まれ、メイさんたちの所へ連れて行かれます。な、なんでしょう?
「トシヤ兄、こちらは「クライム」のティアさん。で、ティアさん、トシヤ兄が私らの髪と肌の理由を知ってる人」
エルさんが紹介してくれた方はどう見ても男性です。逞しい筋肉をお持ちで顔も男らしいのですが、名前が女性なのが気になります。
「まぁ!是非教えて頂戴!私も綺麗になりたいのよ!」
ティアさんと呼ばれている男性にガシッと両手を掴まれる僕。余りの迫力に引いてしまいましたが、あれ?「クライム」ってレイナさんのところのパーティですよね。
「悪い!まだティアここにいるかい?」
「ま〜だやってたのか?フリード」
「…… 」
タイミングよく昨日会った「クライム」の三人が食堂に入ってきます。「その名で呼ぶんじゃねえ!」とメンバーに向かって野太い声で怒るティアさん。あ、本名はフリードさんですか。
「あら、失礼、私とした事が。私の事はティアと呼んで頂戴。可愛いものと綺麗なものが好きなのよ。でも安心してね。私好きなのは女性だ・か・ら」
ティアさんにパチンとウィンクされてしまいました。居るんですねぇ、異世界でも。
「ティアさんですね。僕はトシヤと申します。宜しくお願いします」
僕は普通に挨拶しただけですが、ティアさん驚いています。エルさん「流石、トシヤ兄」ってなんですか?
「凄え。ティアに引かない奴久しぶりに見た」
「この宿使い始めて以来じゃないか?」
ザックさんとレイナさんがそんな会話をしています。いや、僕も引いていましたけどね。
「嬉しいわぁ、受け入れてくれて!トシヤちゃんだったわね。こちらからも宜しくお願いしちゃうわ。で、早速だけどメイやエルやフラン、カルナさんまで髪は艶っとしてるし肌はぷるんとしている理由教えて欲しいのよ!」
再び両手でガシッと掴まれました。…… これチャンスですかねぇ。エルさんやメイさんに目で確認すると、二人とも笑顔で頷いてくれます。何か思いついたように、エルさんがレイナさんに話しかけます。
「ねえ、レイナさん。今日は依頼あるの?」
「ん?余り良いのが無くてな。今日は休みにする事をティアに伝えに来たんだが…… 」
「じゃあさ、トシヤ兄の相談乗ってあげてくれないかな?で、ティアさんの疑問も解けると思うよ」
エルさんが、ナイスな橋渡しをしてくれました。ありがとうございます。
「まぁ!何かしら?教えてくれるならいくらでも乗るわよ」
「ティア、簡単に言うな!とりあえず話聞くだけでも良いか?」
ティアさんは簡単に頷きますが、レイナさんは慎重です。「なんか面白そうな匂いがする」とザックさんは言ってますし、ガレムさんは相変わらず黙ったままです。
これはAランクパーティの協力が得られるかもしれない機会です。逃しちゃいけませんね。
「ではここでは何ですし、僕の部屋に移動しても良いですか?」
「構わない」
レイナさんが代表して答えてくれたので、エルさん達に感謝のお礼をして、僕達はまた部屋に戻ります。しかしみんな体格良いですからねぇ。とりあえず中に入って貰ってさっさとホテルに移動しますか。
先に「クライム」のみんなに部屋に入って貰い、扉を閉めてから改めて挨拶します。
「さて、改めて僕はトシヤと申します。まずはガレムさん、冒険者ギルドでは大変失礼しました」
「別に気にするな」
「主にコイツのせいだしな」
まず僕はガレムさんに謝る事から話し始めます。ぶっきらぼうに答えるガレムさんとそれにツッコミを入れるザックさん。「何かあったの?」と聞くティアさんに「いつもの事だ」と答えるレイナさん。
「実はあの時も僕は魔石を買いに行っていたのですが、これからも大量に必要としているので、信頼できる協力者を探していたんです。その理由もティアさんの疑問の理由もお教えしますので、その前に改めて皆さんの名前と年齢教えて下さいますか?」
「ん?まぁ良いけど私から言うか。改めてレイナだ。歳は20だな」
「次は私ね。本名はフリードだけどティアって呼んでね。21よ」
「じゃ、次俺な。俺はザック。19だ」
「ガレム。21」
おや、ザックさん僕と同じ歳ですね。後は皆さん年上でしたか。職業は言わずとしれた冒険者ですしね。エアを見ると、ちゃんと登録してくれています。後は触って貰うだけです。
「ではレイナさんからこの板の丸い部分に人差し指を軽くおいて下さいませんか?僕が魔石が必要な理由が見えますから」
少し警戒しつつもエルさんから頼まれた事もあってでしょうね、レイナさんが黙ってエアに触ってくれました。
「な、なんだ急に扉が出て来たぞ!」
入館者登録をしたレイナさんが驚きの声を上げます。構わず僕はティアさん、ザックさん、ガレムさんにも触って貰う様に促します。当然「ええ!?」「うおっ!?」「…… っ!」と驚きの声をあげる「クライム」の皆さん。
「皆さんが今見えている扉が僕のギフト「亜空間グランデホテル」です。魔石が必要な理由と、ティアさんの疑問の答えですね。詳しくは中に入って話しましょう」
さぁ、「クライム」を巻き込む為に頑張りますか!
…… 僕こっち来てから働きまくってますねぇ。
ゆっくりはいつ出来るんでしょう?
アクセスありがとうございます!いつも読んで下さってありがとうございます(≧∀≦)嬉しいなぁ。今日は夕方もう一本頑張りますね!こちらもアクセスしてみて下さいませ。