ミック君の願いと【バージョンアップ】情報です
「気持ちいいねぇ、トシヤ兄ちゃん」
「そうですねぇ、ミック君」
チャポーン……と水滴が落ちる音が響く大浴場。僕はミック君と一緒にお風呂に入っています。
え?サーシャさんはって?仕事から抜け出したエルさんと一緒に喫茶店でパフェ食べながら待っています。ライ君とリルちゃんも一緒に。
そう、いつの間にか人数が増えている理由は……
帰って来た僕らが宿の入り口を開けると、「「うわぁぁぁん!!」」と泣き声が響いていたんですよねぇ。
「え?ライとリル?」「どうしたの?」
流石ミック君とサーシャさん。すぐ泣き声のする方向へ走っていきます。すると、どうやら食堂で大泣き中のライ君とリルちゃん。ミック君もサーシャさんも必死で慰めていますが、全く泣き止みません。他の家族も困り顔です。
状況がわからない僕に、エルさんがこそっと教えてくれたんですが、どうやら僕が原因みたいです。え?なぜ?
理由を聞くと、今日も僕のところに遊びに行く予定だったのに、みんなが昨日ホテルに入れなかったミック君とサーシャさんを優先させた事と、気がついたら僕らが出かけていた事がわかり泣いていたみたいですねぇ。
仲間はずれにされたと思ったんでしょうね。おやおや、と思っていると、真っ赤になった目で僕を見つけて「「ひっく、ひっく」」と言いながらヨタヨタ歩いて来る二人。
膝をついて待っていると、ライ君とリルちゃんがポスッと僕に抱きつき、ぎゅうっと掴んで離してくれません。置いていかれるもんかって思っているんでしょうか。
なんて可愛いんでしょう!
…… ハッ!ですから幼児愛好者ではありませんよ、僕は!ちゃんとお兄さんとして二人をしっかり慰めましたとも!
まぁ、後でエルさんに「トシヤ兄変な顔してた」って言われてショックだったのは置いておきましょう。
ともかくようやく静かになった二人に、ゼンさん達大人組もホッとした様子。流れで僕が預かる事を伝えたら、ゼンさんに満面の笑顔で「頼むよ」と言われました。ああ(察し)、おつかれ様です。
その後ライ君リルちゃんと手を繋ぎ(「エア」はサーシャさんが持っててくれましたよ)亜空間ホテルへ戻って来たら、ちゃっかり抜け出して来たエルさんもいたと言う訳です。
で、まだグズっているライ君、リルちゃんを「サーシャと二人で視てるから、ミックと一緒に先にお風呂入ってきなよ」と言ってくれたエルさん。おかげで僕らはお風呂にゆったり浸かる事が出来ています。
因みに、ミック君とサーシャさんは初来館キャンペーンで今日は無料ですが、エルさんとライ君リルちゃんは今日からは有料。グランのところで既に払い済みだそうです。24回券で。お買い上げありがとうございます。
これはみんなお風呂の沼に足を突っ込みましたかね、と考えていたらミック君から呼ばれました。
「トシヤ兄ちゃん。僕、ここで働けないかなぁ」
ミック君が言った後に口までお湯に浸かり、不安そうに僕を見てます。僕としてはいいのですが……
「どうしてそう思ったんですか?」
「僕ね、お父さんやリーヤ兄ちゃんみたいになりたいんだ。でもね、まだ僕やれる事少ないし、教えてもらう暇はないし。でもここにいたらキイさんいるでしょう。教えて貰いながら働けるんじゃないかって思ったんだ」
これは、お父さんお兄さんの仕事に憧れている少年ではないですか!なんて純粋な!って感動している場合じゃありません。
「ただ、僕の一存では決められませんね。ここは今日ゼンさん達から許可が出たら考えましょうか」
「やっぱりダメかなぁ」
「ミック君のその思いは立派です。応援しますよ。でもこの喫茶店では料理は既に出来た状態で出て来るだけですよ。それでも良いのですか?」
「うん。お兄ちゃんにお父さん良く言ってるよ。盛り付けも良く見ておけって。だから勉強になると思ったんだけど…… 」
これは本当によくみて考えたんですね。
「グラン、聞いていますか?」
『はい、オーナー。自分の管轄では聞こえています』
お風呂場にいきなりグランの声が響いて驚くミック君。グランの事だから、お風呂に居ても話せるだろうと思ったらその通りでした。
「スタッフ登録に年齢は関係ありますか?」
『いえ、自分で考え動けるのであれば可能です』
「スタッフ登録した後のスタッフへの福利厚生を教えて下さい」
『畏まりました。まず私かキイのどちらに登録しても条件は一緒でございます。ホテルでの宿泊、大浴場の入浴が無料、三食賄い付き。勤務時間は要相談となり、ミック様の場合成人までは臨時スタッフとして扱い、給料は月払いで金貨2枚の予定です。勤務日数は週休二日制を予定しております」
「ありがとうございます。わかりました」
『また何かあればお呼び下さいませ』
結構良いですね。これならゼンさんも納得してくれる可能性があります。黙って考える僕の横で不安そうに僕をみているミック君。
「ミック君。今日の夜ゼンさんとお話しがあるのですが、その時話してみませんか?ゼンさんから許可が出たら是非お願いしたいです」
「本当!!やったぁ!僕頑張って起きてるよ!」
浴槽から飛び上がって喜ぶミック君。頑張ってお父さんを納得させて下さいね。それにしても、お風呂場での相談が多いですね。裸の付き合いは気持ちを打ち明けやすいのでしょうか。面白いです。
さて、そろそろ長湯になってきたので、嬉しそうなミック君を連れて浴槽を出ましょうか。
二人で脱衣場に向かい、きちんと身体を拭いて髪を乾かし、喫茶店へ向かいます。ミック君嬉しいのでしょう。スキップしながら喫茶店に入っていきました。
ただ、入ったら「「遅い!」」の言葉で迎えられましたけど。おや?ライ君リルちゃん待ち疲れて舟漕いでいますね。まぁ、アレだけ力いっぱい泣けばそうでしょうね。
休憩所のリクライニングチェアに寝かせて来ましょう。毛布はオーナールームから二枚持って来ましょうか。
エルさんがリルちゃん、僕がライ君を抱き上げて、リクライニングチェアを寝かせた状態にし、二人を置きます。もう二人はぐっすり眠っています。オーナールームに行き毛布を取って二人にかけてあげました。
その後、エルさんとサーシャさんをお風呂に送り出して、僕は自販機からコーヒー牛乳を、ミック君にはりんごジュースを渡します。お風呂上がりは腰に手を当ててぐいっと飲むんですよ、と教えたら本当にそのままやるミック君。素直です。
その後はグランにライ君リルちゃんが起きそうになったら教えてもらう事にして、喫茶店でミック君の好きな物を頼んで貰います。意外にもミック君はバニラアイスクリーム 200ディア(MP2)だけで良いみたいです。
「お父さんの夕ご飯食べれなくなるから」なんですって。なんて微笑ましい。当然僕の奢りにしましたよ。
ミック君が食べている間、僕はちょっと気になる事をやってしまおうと思っていました。
「ミック君が食べている間、エアと作業していて良いですか?」
「いいよ。何するの?」
「買って来た魔石を使って【バージョンアップ】0/100(魔石数)をやろうと思いまして」
「ばあじょんあっぷ?」
「多分みているとわかりますよ。エア、《亜空間グランデホテル設定》の【バージョンアップ】0/100(魔石数)をやってみてもらえますか?」
「畏まりました。《トランクルーム》内にある魔石100個使用致しまして、【バージョンアップ】をさせて頂きます」
エアが言い終わると、どこかのゲームのランクアップ音と同じ電子音がなります。コレ、エア遊んでませんか?
「《亜空間グランデホテル設定》がバージョンアップされました。情報を開示します。画面をご覧下さい」
【名称】亜空間グランデホテル
【設定バージョン 1】1・カプセルホテル Aタイプ
2・カプセルホテル Bタイプ NEW!
【バージョンアップ】0/1,000(魔石数)
(ビジネスホテル Aタイプ)
【限定オプション店】喫茶店
(漫画喫茶〈喫茶店に併設〉MP45,000) NEW!
【空調設備】 ON /(OFF)一日MP100消費
【室内清掃】召喚時 ON/(OFF)一回MP1,000消費
【カプセル内防音、消臭】ON/(OFF)一日MP100消費
【音声対応設定】ON/(OFF) 初期搭載機能
《追加オプション》
【館内設備】
・スタッフルーム MP20,000 NEW!
(カプセルホテルAタイプベッド、サイドチェスト、トイレ付き)
・客室用カプセルルームタイプB[マットレス、敷き布団、薄がけ毛布、枕、リネン、サイドテーブル、椅子付き キャビンタイプ 1人用]MP20,000 NEW!
【取り扱い商品】(外界に持ち出し可能)
・石鹸(10個セット) MP100 NEW!
・シャンプー、トリートメントセット
(各種3本ずつ)MP120 NEW!
「うわあ!!これは凄い!」
「トシヤ兄ちゃんどうしたの!?」
あ、つい驚いておっきな声出してしまいました。ミック君驚いています。
「あのですね、今はできませんが、また設備が豪華になる事が分かったんですよ。ミック君が楽しめる施設も作れるかも知れません」
「ええ!?また増えるの?凄いや!」
ミック君が素直に感動してくれます。ですが、設置すると、コレは夢中になるものですよ!色々追加設備言及していきたいですが、僕、漫画喫茶優先したいです!
あ、でも女子の皆さんの視線が怖いですねぇ。
説得できないでしょうか。
ともかく話合いすべき案件が増えました。
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