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お買い物に出かけましょうーAランクチーム「クライム」登場ですー

 両手いっぱいにおかしやジュースを持ったリーヤが「仕事の時間だから先戻ってるわ」とホクホク顔で戻って行ったあと、エルさんも「あ!私も行かなきゃ、フラン姉に怒られる!」と急いで戻っていきます。


 残されたのは僕とミック君とサーシャさん。魔石の事聞けなかったですねぇ。二人は知っているでしょうか?


 「ミック君、サーシャさんは時間大丈夫ですか?」

 「僕はそんなに仕事ないから」

 「今日は私も無いの」


 二人共ちょっと寂しそうですね。手伝いたいのに手伝えないってところでしょうか。でも僕にとっては丁度いいですね。

 

 「では僕の用事に付き合ってくれませんか?」

 「うん!」「いいよ!」


 二人共元気に頷いてくれました。良かった良かった。


 「二人は魔石ってどこで手に入るかわかりますか?」

 「魔石?どのくらい?」


 ミック君が反応してくれました。お、わかるんでしょうか。でも量は結構必要なんですよね。【追加機能】も欲しいですからねぇ。


 「ええと、かなりいっぱい欲しい時はどうすればいいのでしょう?」

 「冒険者ギルドがいいんじゃない?」

 「依頼出すといいんだよね」


 二人が顔を見合わせて答えてくれます。お手伝いした事あったんでしょうね。


 それにしても、定番の冒険者ギルドが来ましたか。ここは一つ確認の為、散歩がてら冒険者ギルドに行ってみましょうか。


 「ありがとうございます。じゃ、冒険者ギルドに行ってみたいのですが、二人共教えてくれますか?」

 「いいよ!やり方教えてあげる!」

 「私も行った事あるから教えてあげる!」


 二人に元気よく了承を貰い、「エア」を持って出かける事に。正面玄関に行き靴を履き替え、グランの「行ってらっしゃいませ」と言う言葉で一旦ホテルを後にします。


 宿に戻ると、二人に家族から冒険者ギルドに行く事の許可をもらってくる様お願いします。ダッシュで食堂に向かい、行ったなぁと思ったらすぐにダッシュで戻ってくる二人。「良いって!」「ちゃんと言ったから大丈夫!」と戻ってくるなり僕の手を取って「早く早く」と引っ張ります。


 小さな弟妹がいたらこんな感じなんでしょう。僕は道中二人が色々街の様子を教えてくれるのに相槌を打ちながら歩いていきます。楽しく会話しながら歩いて来たので、あっという間に冒険者ギルド前に到着した僕達。


 初めて見る冒険者ギルドは、大きな扉が開け放たれていて、中の様子が外からも窺えます。右側に依頼書が張り出され、正面が窓口、左側には食堂があります。人の少ない時間なんですね。パラパラとしか、冒険者らしい人達がいなかったので絡まれるテンプレは起こらなそうです。良かったぁ。


 「こっちこっち」「ヘレナさんのとこだよ」と二人は慣れた様に窓口に僕を連れていきます。どうやら家の魔導具で必要な魔石を良く買いに来ているみたいです。


 魔導具あるんですねぇ。僕のホテルにある備品も魔導具に当たるのでしょうか、と呑気に考えながらついて行くと、二人が窓口のお姉さんに「ヘレナさん!」「こんにちは!」と話しかけています。


 窓口のお姉さんは同じ獣人さんなんでしょう。整った顔は最早驚きません。優しそうな方ですね。


 「あら?ミック君、サーシャちゃん今日もお使い?偉いわねぇ」

 「今日は違うの。トシヤ兄ちゃんが用があるんだって」


 ミック君が僕の事を伝えてくれます。


 「こんにちは。こちらで魔石が手に入ると聞いたもので依頼に来たのですが」

 「はい、畏まりました。魔石のご依頼ですね。どのランクの魔石がご入用でしょうか?」

 「すみません。初めて買うもので説明して頂けますか?」


 嫌な顔一つせずに丁寧に僕に説明してくれるヘレナさん。ヘレナさんによると、一般的なゴブリン、スライムの魔石がDランク、10個単位で1,500ディアから。ランクが上がるたびに金額も上がるそうですが、試しにDランクを1,000個買ってみます。


 「はい。大量にお買い上げありがとうございます。では準備して参りますので、お待ち下さい」


 アレ?依頼出さなくても買えましたよ?


 「今日はいっぱいあったんだね」「いつもなら依頼書出すのにね」とミック君もサーシャさんも不思議そう。結構すぐに戻って来たヘレナさんいわく、最近大討伐があったばかりで在庫が潤沢にあったらしいです。


 「でも1,000個お渡しできるのは今回のみとさせて頂きます。街の人達との兼ね合いもありますので」


 申し訳ない表情をしながら言うヘレナさん。それは仕方ないですね。支払いは商業ギルドカードでの支払い可能と言う事で簡単だったのですが、残金が乏しくなって来ました。


 大袋に入った魔石は「エア」に《トランクルーム》に入れて貰い、今後もっと欲しい場合はどうすればいいか聞いてみます。


 「冒険者と専属契約はいかがでしょう?そちらの斡旋も出来ますがいかがなさいますか?」


 良い提案を頂いたのですが、だれでも良いわけでもないですし……


 「う〜ん、ちょっと回答は持ち帰らせて貰います」

 「畏まりました。ではまたのご利用お待ちしております」


 ヘレナさんと笑顔でやり取りの後、窓口を離れます。ミック君、サーシャさんはヘレナさんに手を振っています。子供に好かれる人は良い人なんですよね。僕も覚えました。


 目的のものは手に入りましたし。まずはゼンさん達との話し合いの後でも大丈夫でしょう。そう思って安心していたら、ドンッと肩がぶつかってしまいました。


 「うわっ」


 同時にぶつかった筈なのに吹き飛ばされたのは僕だけ。ぶつかった大きな冒険者の男はびくともしていません。


 「トシヤ兄ちゃん!」「大丈夫?」


 ミック君とサーシャさんが心配して駆け寄ってくれます。小さな子達に心配はかけられません。すぐに立って「大丈夫ですよ」と二人の頭を撫でてながら、ぶつかってしまった人にも声をかけます。


 「大変申し訳ありませんでした。そちらは大丈夫ですか?」


 相手を見上げると、大きな強面の冒険者らしき男性でした。は、迫力がありますね。思わず及び腰になっているところに「あー!ガレムまたぶつかっただろう!」と大男さんに関わりのあるらしい冒険者男性が後ろから走って来ます。


 「ごめん、ごめん!ウチのガレムが迷惑かけて」


 人懐っこい笑顔をこちらに向けて、逆に謝って来ます。


 「…… 別に迷惑はかけてないぞ」

 「人にぶつかって弾き飛ばしたのは何回目だ?ガレム」

 「知らん」

 「お前なぁ」


 大男のガレムと言う男と軽口を叩ける青年は仲間なんでしょうか。こちらの存在を無視してコントみたいなやり取りをしている二人を、今度はその二人の頭を後ろからバシバシ叩く豪快な冒険者女性が現れます。


 「まぁったく!ケガが治ったと思えばコレか!ごめんな、兄ちゃん。コイツ言葉が足りなくてなぁ。ってアレ?木陰の宿のミックかい?」

 「あー、レイナさんだぁ!お帰りなさい!」

 「レイナお姉さん?いつ帰って来たの?」


 なんと豪快な冒険者女性とミック君、サーシャさんは知り合いみたいです。二人とも女性に駆け寄っていきます。


 「お?サーシャもいるのか。今日はお使いか?」

 「ううん。トシヤ兄ちゃんを案内してたんだ」

 「魔石買いに来たんだよ」

 「そうか。良く案内してあげたな」


 レイナお姉さんと呼ばれている女性は二人の頭を優しく撫でてあげています。二人ともかなり気を許しているみたいですね。僕も挨拶しましょう。


 「二人のお知り合いでしたか。失礼しました。僕はトシヤと申しまして、今木陰の宿にお世話になっている者です。もしかして皆さんはパーティメンバーですか?」


 「ああ、ガレムの馬鹿にぶつかられたのはあんたかい?悪かったね。どうも普段はボーッとしてる事が多いヤツで、しょっちゅうこんな事してんだ。悪いヤツじゃないんだがね。

 それでチーム「クライム」のレイナだ。あそこでコントしてるのがガレムとザック。もう一人、今買い物に行ってるティアってヤツと四人パーティ組んでる。一応Aランクだ」


 そう言って僕に手を差し出して来たので、僕も「宜しくお願いします」と握手をします。


 「凄いですね。Aランクパーティとは。どうりで全く動かないわけです」


 「あいつが頑丈なだけさ。私らも木陰の宿に後で行くからさ、また宿で会ったら声でもかけてくれ。ほら、ガレムにザック、とっとと依頼完了済ませちまうよ」


 レイナさんはまだ言い合っている二人を掴んで、さっさと窓口へ向かっていきます。


 いやぁ、かっこいい女性って感じでしたね。でも僕ガレムさんにあったらもう一度謝った方がいいですね。うやむやになった感じでしたし。


 「トシヤ兄ちゃん、レイナさん達で良かったね」「レイナさん、ウチのお宿に来るたびに良く構ってくれるんだよ」


 笑顔で僕の手を掴んで来る二人にもお礼を伝えて、ようやくギルドを出てゆっくり宿へと戻る僕たち。


 これは帰ったら二人をお風呂に入れて、喫茶店でデザートご馳走しないといけませんね。

 

アクセスありがとうございます!読んで下さる皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

明日も投稿がんばります!午前中にあげると思いますので、宜しければアクセスしてみて下さい(*´꒳`*)

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