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ゼンさん家族集合です(成人組+未成年一人ですけど) 其の参

 チャポン…… バシャバシャ!


 「くぅぅぅ!気持ちいい〜!」


 リーヤが大浴槽に入って浴槽のお湯で顔を洗っています。気持ちいいんですよね、これ。


 「これは贅沢だ。王侯貴族だってこんなお風呂入った事ないだろうな」


 頭を大浴槽の縁に乗せて身体を伸ばして浸かっているゼンさん。気持ち良さそうです。ん?僕ですか?僕も大浴槽に入っていますが、リーヤの隣りでぼーっとしてます。…… 正直疲れました。


 この二人タフなんですよ。それにもう一つ、研究気質なんでしょうね(遠い目)。それは脱衣場に入った所から始まりました。


 「父さん、トイレがこんな所に!こんなトイレみた事ないよ!」 

 「リーヤ、こっちも見てみろ。なんだこの綺麗な洗い場は。しかもみた事のない備品がいっぱいだ!」

 「凄い!このトイレ水が流れるよ。これで汚物を流すのか!匂いもないしスライムトイレより気持ちよく使える!」

 「これはなんだ?変な形の道具に刃がついているものだ。ん?シェービングフォームとは?なんか使い方が絵で書いてあるな。…… これは髭剃りに使う泡か!この変な形の道具で剃るのか!どれ…… 」

 「なんだ?この洗い場に付いている魔導具。この突起部分を押すと良いのか?」ブォォォォォ「凄え!あったかい風が来る!これ、もしかして髪乾かす物だろう!なぁトシヤ、そうだろう?」

 「トシヤ君。これは綺麗に剃れる物だな。しかもこの小さなブラシがついたのは何に使う物なんだ?」


 もうどこから手をつけたら良いかわかりません。二人は一つ一つ試しては聞き、感動しては聞き、脱衣場から中々先に進まないんですよ。


 それはやっとの事で入った大浴場に入っても同じ。


 洗い場の数に驚き、シャワーに、シャンプー、トリートメントに感動し、サウナまでしっかり堪能してくるこの二人。サウナの後の水風呂に「「うぉぉぉ」」と気持ち良さそうな野太い声をあげ、ジェット、泡風呂も堪能し、今ココです。


 僕はエルさんの気持ちがわかった気がします。楽しんでくれるのは良いですが、この世界の人が入る場合、慣れるまではサポート役絶対必要だと心から思います。僕はもうサポート役は嫌です。


 なんて事を考えていたら、ゼンさんから真面目な声で呼ばれます。


 「トシヤ君。まずは君が俺の家族を受け入れて、このギフトに招いてくれた事を感謝する。そしてこれ以上のない歓待にも家族代表としてお礼を言いたい。ありがとう」


 僕の方に向き直り頭を下げて感謝を伝えるゼンさん。


 「いえ、それには及びません。実は下心もあってやっていた事ですから」


 「トシヤ、喫茶店でも話しかけていたよな」


 「そうなんです、リーヤ。話は長くなりますが…… この亜空間グランデホテルはご存知の様に未完成です。それに、実は僕この国にはつい最近来たばかりで何も知りません。でもこのホテルには信頼出来るスタッフや試してくれる人、僕も自衛手段が必要です。そんな準備段階の時期に、木陰の宿で先に気づかれちゃいました」


 「エルの看破スキルだな」


 「そう、リーヤの言う通りエルさんの看破スキルです。見つかってしまいましたが、このスキルを持っている人が働く宿屋の皆さんなら、それが全員家族で経営しているのであれば、より信頼出来るのでは、と考えました。

 ですからこのギフトを明かした上で、協力者になって欲しいと思っています」


 「ふむ、協力とは?」とゼンさんが興味を示してくれました。


 「ゼンさんご家族がまずはこのホテルの利用者になって、この国の人が使う上で困る事、わからない事を僕らに伝え、逆にこの国の事、取り分け信頼出来る人を紹介して欲しいのです」


 僕の言葉に少し考えこむゼンさん。


 「いいじゃないか!父さん。トシヤは協力者が欲しい。俺たちはこのホテルを利用したい!お互いの利益がかみあっているんだ。悩む事なんてないだろ?」


 嬉しい事にリーヤは僕に協力的です。でもゼンさんは頷きません。…… まぁ、理由は当然でしょうね。同じ宿屋です。このホテルが世間に知られた時、正直な話「木陰の宿」は勿論、近隣の宿屋にも影響が及びます。体感したゼンさんが一番それがわかっているからこそ、頷くのにためらいますよね。


 「ゼンさん。僕の今後の展開予定を聞いてくれますか?」


 「話してくれ」


 「このホテルは一般には公開しないつもりです。街の宿屋全体を巻き込んで、どこの宿でも構いませんが100回食事や宿泊したお客様にこのホテルの大浴場や喫茶店を公開し、1000回で宿泊も可能という感じに、地域と協力体制を敷いた上でホテルを公開したいと思っています。

 その為にもまずこの街の商業ギルドを巻き込み、自衛の為に冒険者ギルドも巻き込みたいと考えています」


 「地域と協力体制か。バックに商業ギルドと冒険者ギルドがつけば、貴族も無理は言えないだろうし、王家も手を出すのは難しくなるとは思うが…… 。だが、入り口は一つだろう?どうしても混乱は必死だ」


 「ゼンさん達にはお話しますが、魔石の数さえあれば入り口は増やせるんです。それに、入ってきた入り口からじゃないと帰れない様に設定しますから、知らない人がいきなり木陰の宿に入ってくる心配はありません」


 「まだ頷くには難しい。何せ客がどんどん離れて行く事になる。その点はどう考えているんだ?」


 「宿の住み分けをしようと思っています。ウチは高級志向でいくため、宿泊値段設定は高めにします。でも一般の人でも頑張ってお金を貯めたら泊まれる設定にします。更に優良宿屋には木陰の宿の様に店に直接入り口を作り、お互いに行き来出来る様にするつもりです」


 「成る程。そこまで考えていたのか。だが、トシヤ君。そう考えているほど、簡単ではないぞ」


 「そうですね。ですから地道に進んでいくしかないと考えています。まずはゼンさんご家族を巻き込むのを成功させないと、話は始まりません」


 ここまで黙って聞いていたリーヤが「二人とも、ここまで考えていたのか…… 」とボソッと呟いています。実際上手くいくかはわかりませんし、問題は幾つも出てくるでしょう。


 でもゼンさん家族を招いて、僕も腹を括ったんです。こんなにも人を笑顔に出来る施設なんです、独り占めはもったいなさすぎます。


 「良し、わかった。リーヤ、ウチの家族は協力する方向で行こうと思うがどうだ?」


 「俺は勿論賛成!」


 「そうか。だがトシヤ君、他の家族とも話しあいたい。明日の夜にもう一度時間をとってはくれないか?」


 「僕は勿論良いですよ。いくらでも待ちます。時間だけはいくらでもありますから。それより長湯になっちゃいましたね。そろそろ上がりましょうか?」


 「本当だな。これは怒られるな」と苦笑しながら、浴槽から出るゼンさん。「え?早い方じゃね」とリーヤ。


 女性は待たせると怖いぞ、と僕は爺ちゃんから教えられてきましたからねぇ。ゼンさんの方に僕も同意です。


 ほっかほかの体をふんわりタオルでよく拭き、着替えて出て行った後は、やはり女性達から「「「遅い!」」」「あらあらまぁ」と言葉を貰った僕達。

 

 すっかり夜も更けて遅くなったので、今日はこのまま解散。メイさんフランさんが渋ってましたが、入浴回数券も今回は購入見合わせだそうです。


 そしてゼンさん曰く「一眠りしたらすぐ朝の仕込みだな」だそうです。誰からも反対意見は出ません。なんてタフな人達でしょう。


 そうそう、女性陣はなんだかんだで結構飲み食いしていた事が判明。キイ曰く「タダの時なんてそうないんだから」「ダイエットは明日からにするわ」「私成長期だし」「ウフフフ」という事を言っていたらしいです。


 僕はというと、初めてギフトにお客様達を招いて気を張っていたんでしょう。オーナールームに戻り、ベッドに入ってすぐ寝落ちしました。


 これでまだ異世界二日目なんですよねぇ。なかなか濃い日でした。

アクセスありがとうございます!なんという事でしょう!!評価者が三人になっていました(≧∀≦)

なんて有り難いんでしょう!テンション上がっております。これは頑張らないといけませんね!

もう一本書く時間はあります。今日中は難しいですが、また3/19 0:00に更新したいと思います。宜しければアクセスしてみて下さいね。

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