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僕が寝ている間の事 シュバルツ様の話

 あの後いきなり倒れた僕を、すぐ現れたエアが支えてくれたそうですが……


 「な、なんだ?どうしたトシヤ⁉︎」


 いきなり倒れましたからねぇ。デノンさんを始め、クライムのみんなは、エアが現れた事より僕の心配をしてくださったんです。嬉しいですねぇ。


 倒れた僕の様子を見て、すぐにニックが診察。魔力切れ寸前と言う事で一旦エアが僕をグランデクリニックに運び、治療してからオーナー室に運んでくれたんですって。お手数おかけしました。


 その間に、グランが改めてシュバルツ様達に挨拶に来たそうです。


 「この度我らに力をくれた主人に代わりまして、グランデホテルスタッフ一同シュバルツ様にご協力をさせて頂きます」


 いきなり実体化して現れたAI達に流石に言葉を失ったシュバルツ様達。でもまぁ、僕の事だから……と割とすぐ納得したらしいです。なぜでしょう?僕が納得出来ないのですが。


 まあ、一つ一つ突っかかっていると話が進みませんね。ええと、シュバルツ様の話に戻りますと……


 「セーガル国の方が怪しんできましてね。イクサが協力を申し出てもなかなか上陸許可が出なかったんです。気持ちはわかりますけど、我らを疑うとは……ね」


 説明をしながらもシュバルツ様の声が怖い怖い。うん、セーガル国とは接点が少なかったから仕方ないですよね。まあ、怒ったのはシュバルツ様だけじゃなかったですけど。


 「イクサもちょっと思うところがあったのでしょう。ならばこちらはこちらで動かせて頂きますと言って王宮を後にして、現場の方へ直接赴いたそうですよ」


 にっこりと笑って教えるシュバルツ様。うわぁ、セーガル国上層部怒らせちゃいけない人を怒らせましたね……


 そして現地に赴いたイクサ様。シュバルツ様達に連絡をとり、人目のつかない場所にグランデAIRのゲートを繋げたそうです。そこで合流したイクサ様から状況を聞いて、セーガル国上層部を切り捨てたシュバルツ様。


 「皆さん。市井の方々に思いっきり接待を致しましょう」


 微笑みのシュバルツによって、動き出したグランデスタッフは動きが素早かったそうですよ。


 まずは大勢の冒険者を引き連れたアルコ。いきなり街の中から現れた異国の冒険者達に驚くセーガル国の冒険者達。そんな視線も気にせず通りすぎるアルコ側の冒険者達の腕には、「風の痕跡への誘い」の扉のブレスレットが嵌められています。


 よくよく見ると武器もアルコ製の武器だったんですって。ブレスレットは装着者の潜在能力を何段階も上がるもの、武器はそれぞれの力を引き上げるもの。


 ……ビフラス渓谷のAランクの魔物達に対抗出来る物ですよ?初級ダンジョンクラスにはオーバーテクノロジーでは?


 聞いていた僕がそう思うんです。実際に指揮をとっていたアルコによると……


 「ふふふ……全員Aランク集団に仕立てあげました。但し、ブレスレットを取ると、脱力感に襲われて動けなくなりますけどね。命に変えられないのと予約制の「風の痕跡の扉」の武器です。みんな喜んでつけてましたよ♪」


 うーん、アルコ本気モードですね。


 そして実際に戦闘に参加した際には、圧倒的武力を持つうちの集団が、魔物をあっという間に蹴散らしていったそうです。おかげでセーガルサイドの前線部隊は後方に周り、一息つく事が出来たみたいですね。唖然としていた人達が大半だったそうですけど。


 そして、出し惜しみをしないアルコ。ある程度空間ができたら、「大地の赫への誘い」の扉から、一人専用の特別戦車をオートモードで6台出現させて、元凶の初級ダンジョンに向けて発進させたんです。アルコも乗り込んだみたいですね。


 それはもう魔物にとっては災害でした。灼熱のマグマにも耐える装甲、更に隙の無いオートモードによる攻撃によって、バタバタと倒れて行く魔物達。特別戦車の通った後には、魔物の死体が道を作り、その道は初級ダンジョンまで続いていたそうです。


 なんと、そのまま初級ダンジョンに入って行ったアルコ達。最深部で増幅装置を発見。魔導具を破壊した後また魔物の死体ロードを作って帰って来たそうです。


 ………アルコ、あなた旅行代理店担当ですよね……?


 思わずひきつった僕の様子に、笑いながらシュバルツ様の話は続きます。


 街に入って来た魔物を退治する為に、奔走していたセーガルサイドの冒険者や騎士達や兵士達。そこでグランが首都グレンダ全体を亜空間で覆い尽くします。当然魔物は外に追いやられますよね。


 僕のオリジナルゲートが開いている土地にのみ出来る芸当だそうですよ?


 え?僕が倒れているのになんでグラン達がそういう芸当が出来るのかって?


 亜空間ホテルのグランの機能には、魔力蓄積増幅機能が隠されていたんですって。これは僕も最近疑問に思って聞いてみたところ、サラッと答えられましたけど。僕が毎日寝ている際に、使ってないMPを吸収していたそうです。


 どうせ僕は日付が変わったら、MP完全復活しますからねぇ。気づかない訳ですよ。


 グランによると、現段階で僕が100年くらい寝ていても通常営業可能な位あるんですって。で、そこから各AI達が毎日補給して活動していたそうです。


 あ!この話は亜空間ホテルとあなたの間での秘密にして下さいね。まぁ、シュバルツ様達もついさっき知ったそうですけど。


 え?シュバルツ様なんです?誰と話しているんですって?いやぁ、そこはスルーでお願いします。


 ……コホン、さて話を戻しますね。


 グランによって安全は確約されましたが、街には至るところで怪我人が溢れていたそうです。負傷した兵士さんや騎士さん達も多かったですからね。ここで活躍したのがインフォメーション8人娘と、宅配センターの5人衆。


 8人娘達が怪我人のレベルを見分け、軽症や動ける者は各自で移動を指示。重症者は見つけ次第宅配センターの5人衆を呼び、素早くニックとヤクの待つ商業、冒険者ギルド前に。


 軽症者がヤクの待つ冒険者ギルド前、重症者はカプセル型治療器を呼び出したニックが待つ商業ギルド前に集められたそうです。リハビリ担当リョウはニック側についていたそうですね。


 勿論、地元の回復担当の神殿側も奮闘。おかげで街では、亡くなった人は魔物に襲われた数人だけという結果に。被害ゼロって訳にはいかなかったみたいです。


 そして治った人、怪我のなかった人達は続々と亜空間ホテルやターミナルへご招待。


 ここでインフォメーションセンターで募っていた、エルセラ国のボランティアの方々が大活躍。勿論自国のディゼラからの避難民の案内もしながら、セーガルの方々を食事やお風呂へご案内してくれたんです。


 お風呂はグランデホテル大浴場、ドリームホテル全室、スパリゾート癒が開放されました。ほぼ使い方を知らない方々に担当がつき、しっかり体を洗わせてからお湯につからせたそうです。


 それはもう、入った人達全てを魅了したそうですよ。いやあ、そうでしょうとも!


 因みに、グランデホテルとスパリゾートが街の人達と兵士達。ドリームホテルが騎士達と貴族達という感じで、分けて使用させたんですって。うん、その気遣いや良し!


 でも大勢招待すると、中に混ざって居たらしいんですよ……一部、強欲な貴族達が。当然、即座にその貴族の従者達ごとホテルから追い出し、永久出禁にされたそうです。


 それはグランよくやりました!そういう人達に構っている場合じゃないですからね。


 あと、カディル人を差別する方も何名か出たそうですね。その方々もお帰りしてもらったそうです。それを見ていた殆どの人が、ここはそういう差別を嫌う場所と認識してくれたみたいで、カディル人の案内も受け入れていたそうです。

 

 全く、好意に対して悪意で返す人達っているんですねぇ。困ったものです。


 さて、スッキリサッパリしたら、お腹が空きますよね。食事はオッティモ、Green Garden、ティモール、キッチンカー、ターミナル商店街で大盤振る舞いしたみたいです!流石うちのスタッフ!わかっていますねぇ。

 

 「さぁ!本日はオーク肉が沢山手に入りマシタカラ、お肉フェア開催中デスヨー!皆サーン、満足スルマデ食べて下さサイネー!」


 ティモは相変わらず元気に接客。片やティモールは……


 「どうぞ、本日のアペリティフは我が国自慢のエヴァンスの赤ワインです。しっかりとしたボディと、芳醇な香り、飲んだ後の舌に広がる魅惑的な味わいをお楽しみくださいませ」


 一人一人に優雅に接客したそうです。対照的ですよねぇ。


 「本日はエルセラ特産ディッシュをご用意しております。ワンプレートで我が国の美味しいものが楽しめるようになっております。女性の皆さんどうぞお越し下さいませ」


 キイは女性目線ですね。多くの種類を楽しみたい女性達が集まったそうですよ。キッチンカーでは「持ち帰りもできるっすよー!」とレンが大勢に呼びかけ、これまた大盛況。ターミナル商店街は、気楽に食べたい兵士さん達や商魂逞しい商人さん達で賑わっていたそうですね。


 うんうん、我が食事所は各店の特色が出ていて良いですねぇ。


 「……というところで、オーナーが起きたんですよ」

 

 おや、そうでしたか。ありがとうございます、シュバルツ様。


 「そうすると、現在の状況は?」

 「私が代わりにお伝え致します」


 ずっと話しっぱなしのシュバルツ様の代わりに、僕の質問に答えてくれたのはグラン。現在はもう夜の9時を回った辺りなんですって。セーガル国グレンダに溢れていた魔物は一先ず鎮静化。現在アルコの特別車両が、城壁外をオートモードで巡回中。


 セーガルの冒険者や騎士達、街の人達は本日ホテルに宿泊しているんですね。勿論うちの協力者達も泊まってますよ。疲れを取って帰って欲しいですからね。


 そしてセーガル上層部は、慌ててこちらに謝罪をして来たそうですよ。グレンダ市井や貴族さえもほぼこちら側に付きましたからね。明日、王宮にて上層部会談が行われるそうです。


 ……シュバルツ様かなり絞りとるつもりですね……笑顔が怖いです。ん?そういえば……


 「あれ?デノンさんやうちの専属護衛達はどうしたんですか?」

 「一部うちのスタッフを連れてオルガデュ側に行っています」


 グランが言うにはオルガデュ側も魔物の数が多かったらしいので、即座に対応しに行ったそうです。


 「オーナーご心配なら、明日オルガデュ側に行ってみたらいかがですか?」

 「え!僕、セーガルとの会談に出なくて良いんですか?」


 シュバルツ様の提案に即座に乗る僕。いや、だって慣れませんよ。王族とかお偉いさんに会うのは。


 「当然です。セーガルごときにオーナーが出る必要はありません。むしろセラム王の方を見に行ってくれたら助かりますよ」


 シュバルツ様の言葉にはグランやエアやキイも頷いています。うん、セーガル上層部がこちらの印象をよくするには、時間がかかりそうです。まあ、そこは政治的判断にお任せしましょう。


 ん?ディゼラの方にはアルコ達が明日加勢に行くんですね。

 それなら安心です。

 

 さてさて、オルガデュサイドはどうなっているんでしょう?


 うん、明日の為にもう一眠りしますかね。

アクセスありがとうございます♪

次はオルガデュ国とディゼラサイドです。良かったらまたアクセスしてみて下さいねー!

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