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動き出したゲセナ国 2

すみません!遅くなりました!

 僕がやれる事ーーー


 「エア!本当ですか⁉︎」


 『はい。先程オルガデュ国宰相ロイド様より通信が入りました。首都フランデールもまたゲセナ国より警告文あり。直後首都に魔物が押し寄せてきて現在交戦中。また現在エルセラ国ディゼラのダンジョンにて同様にスタンピード発生の報告も届いております』


 まさか三カ国同時に攻撃を受けるとは……

 ゲセナ国にしてやられました!


 ……でもこのままにはしませんよ!


 「シュバルツ様!」

 「オーナー、ライルより連絡がありました。『我が国は大丈夫だ。出張扉の開通により戦力を現地にすぐ送る事が出来る。是非セーガルの支援を優先してほしい』だそうですよ」

 

 僕が振り返ってものを言う前に、にっこりと報告を下さるシュバルツ様。は?いつの間に連絡を?なんと!ライル王もメール使える様になった?それは素晴らしい!ならば……


 「デノンさん!」

 「ん?オルガデュだったら既に要請来てるぞ。というか、グランデAIRの一機をしばらく専属で借りたいって言う内容だが。後はグランデAIRに繋がる待機場に避難民を受け入れる許可が欲しい、と言っていたから許可出しておいたぞ」


 ええと……僕まだ内容伝えてないのに、既に対策が出来上がっている!何と言うか楽ですけど、有能な人って凄いですねぇ。それでは……


 「トシヤ、テラとセイロンがもうすぐ第三ターミナルに着くそうだ。あいつらそれぞれ敵国でこの情報掴んで、すぐグランデAIRで合流して戻って来たらしい。ホテルにオリジナルゲートが開かれているのを伝えといたぞ」


 ニッと笑うレイナさん。僕、目線しか送ってないのにわかってくれるとは!仲間って素晴らしい!ん?エアどうしました?

 

 『オーナー、グランより報告です。ディゼラからの避難民は各出張扉を通じて、エルセラ国内の宿にて受け入れ体制があるそうです。また、ターミナルインフォメーションセンターに多くの人が詰めかけているようで、映像が送られて来ています』


 映像付きとは、何かありましたかね?


 エアが先程の大型スクリーンにターミナルのインフォメーションセンター前の様子を写し出してくれます。


 『はーい、ディゼラから避難して来た方は1−3の窓口で受付して下さいねー!』


 『セーガル国に協力してくださる冒険者の皆さんは、4番、5番の窓口で手続きして下さーい!手続き後グランデホテルのエントランスで待機していて下さーい!』


 『セーガルからの一時避難民に案内をご協力できる方は6から8番の窓口でインカム受け取って下さいねー!その後インカムからの指示に従ってくださーい!』


 映像に映ったのは、インフォメーションセンターに並ぶ大勢の人達と案内スタッフ達。


 おお!インフォメーション8姉妹フル稼働ですね!というか、凄いですよ!この人達の数!僕でさえさっき知ったってのに、もう協力者がいるんですか⁉︎


 僕が驚いていると、画面がまた切り替わります。


 『オーナー!こちらアルコです!バージョンアップ可能になりました!「風の痕跡への誘い」の扉と「大地の赫への誘い」の扉を一旦閉じる事により、その扉で使用されていた武具や戦闘車の外界使用が可能になります!是非ご検討下さい!』


 『こちらはレンっす!グランデレンタカーショップ内でも避難民の飲食が可能にしているっす!キッチンカー勢揃いっすよー!』


 『こちらはニックです。救急処置は迅速に対応可能です。ヤクのポーションも現在量産中。いつでもお声がけ下さい』


 『ティモデース!レストランオッティモもフル稼働して待ってマスよー』


 『キイです。Green Gardenもいつでも受け入れ可能です』


 『グランです。グランデ、ドリーム共にホテルの受け入れ体制は整っております。……そして、オーナーに全スタッフからのお願いです。オーナーを支える為に、我々にも動く許可を頂けませんか?』


 次々とグランデAIスタッフに画面が切り替わり、最後はグランが僕に許可を求めて来ます。


 ん?どういう事です?既にみんな動いてくれているじゃないですか?


 そう思いながらも許可を出す僕。

 グラン達の事信頼していますからね。


 「勿論良いですよ」

 

 そう僕が了承の言葉を言った後、全AIの感謝の声が聞こえて来たんですが……





 気がついたら、僕オーナー室のベッドで寝ていたんですよねぇ……

 

 「オーナー、気がつきましたか?」


 横を向くと、ベッドの横には見た事のない青年が立っています。はて?誰でしょう?こんなに整っている執事風の青年は見た事が無いですが、……声に覚えがあります。もしかして……


 「……エア?」

 「はい、オーナー。気づいて下さいましたか?」

 

 次の瞬間、部屋中に僕の叫び声が響いたのはいうまでもないでしょう。ガバッと起き上がり、思わず肩や頭を触り確かめる僕。


 ホログラムじゃないです……


 更に驚き混乱する僕を落ち着かせて、エアが事のあらましを説明してくれたんですけどね。


 どうやら以前からAIスタッフ達全員が、僕に完全に仕えられない不満を持っていたらしいんですよ。


 特に、エアやグランやキイの初期メンバーですかね。スタッフが足りない時に僕を動かせたりする事に不満を持っていたらしく、ずっとどうにか出来ないかスキルの中で試行錯誤していたらしいんです。


 そして見つけた実体化という機能。これにより、名前を持つメインメンバーは僕を実際に守れるだけでなく、亜空間の中と同等の力が外でも使える様になるそうです。


 但し、この機能の解放には、亜空間に訪れるかなりの来客数が関係していたそうなんです。そこで全スタッフが協力し、宣伝する為に番組を作ったりPRをしていたんですって。そんな時にゲセナが仕掛けて来たじゃないですか。


 その時点で、実現まであと少しである事がわかっていたエア達。常に情報を取り入れていたグランが先行して動いたそうです。僕らよりグランの方に早く情報が来ていたんですね。


 無事、機能解放来客数まで達した後は、僕からのGOサインさえあれば全て出来る様にしたグラン達。そして僕が許可を出した事により、実体化が可能になったそうです。僕はほぼMPを使い果たして、昏睡状態になったわけですけど……


 「ふむ。それで今、土下座をしている訳ですか」

 「まさかこれ程までオーナーの負担が大きいとは……我らの独断で大変申し訳ございませんでした‼︎」


 頭を床にピッタリつけて土下座をするエア。


 うーん、謝られましても……僕が寝ている間本当に心配していたみたいですし、僕は実体化したエアに会えて嬉しいぐらいですしねぇ。特に怒るつもりもないんですけど……


 「よし、わかりました!エアに命令です!これからは隠し事はしない事!そして……エアもせっかく実体化したんです。エア自身が楽しむ事を覚えましょう。出来ないとは言わせませんよ、エア?」


 僕の言葉に顔をあげるエア。その顔は嬉しい様な拍子抜けした様な複雑な表情をしています。丁度その時、バタンッと扉が開くじゃないですか。驚いて入り口を見ると……


 「オーナー!起きたっすか!」

 「オーナー!良かったデス!」

 「こんな事になるとは思ってなかったのよぉ!」

 「おい、ビニー。男がナヨナヨするんじゃない。オーナー、このファイをどうとでもお使い下さい」

 

 僕が起きた事をグランが知らせたんでしょう。実体化したAI達が僕の部屋に押しかけて来ました。


 うおっ!ビニー、実際に見るとおっきいですね!しかもティモも入って来たら急に空間が狭くなったような……ああ!レンは泣かなくて良いですから!うわあ、インフォメーション8人娘をなんとかしてください!


 次々と抱きついて来る実体化したAI達に囲まれる僕。そんな中、僕達の様子を部屋の入り口で嬉しそうに見ている熟年の執事と、綺麗なエルフの女性が目に入ります。


 「グラン?それにキイですか?」


 囲みから抜け出して確認する僕に、綺麗な所作で礼をするキイ。


 「はい、オーナー。やっとこれからオーナー専属の侍女として仕える事が出来ます」

 

 綺麗な笑顔で応えるキイの次に、スッと前に出るグラン。僕の前で恭しく執事の礼をします。


 「このグラン、ようやくトシヤ様のお側に来る事が出来ました。更に誠心誠意お仕えしていく所存でございます。いつでも私めをお呼び下さいませ」


 実体化してもグランはグランですねぇ。僕を最初から支えてくれていましたから、全く初めての気がしません。そんなグランの手をとり改めて握手をする中、コンコンッとドアを叩く音がします。


 「感動の再会もいいですが、そろそろ皆さん宜しいですか?」


 おお!シュバルツ様!そろそろって……ああああああ‼︎


 「シュバルツ様!セーガル国は?スタンピードどうなりました?オルガデュ国やディゼラは⁉︎」


 そうですよ!

 今は緊急時でした‼︎

 あれからどうなったんでしょう⁉︎

 

亜空間ホテル無双の為のその一。AIスタッフの実体化。

うん、賛否ありそうですが突き進みマス。


アクセスありがとうございます♪

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