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動き出したゲセナ国 1

 僕、最近働いて居ると、思ってたんですけど……


 「お前、お茶飲んでるだけじゃねえか」

 「おやデノンさん。出張扉のチェックや、ホテルやターミナルの巡回だってやってますよ」

 「オーナー。その辺はグランや他のスタッフが働いていますから。それも常に」

 「それもそうですが、新しいドリームホテルの新人教育だって……」

 「貴方がする事じゃありません」


 シュバルツ様有無を言わせませんね……

 くう!今日こそ何とか休みをもらおうと思ってたんです!


 前回ヴァントさんのお店から連行された僕。何とセーガル国に連れて行かれる羽目になったんです。あ、エルセラ国の下の位置にある国で、最近同盟国となった国ですよ。グランデAIRのゲート設置が目的です。


 「そもそも既にグランデAIRに乗って居るんです。しかも、優雅にコーヒーと新聞広げたまま何を言っているんですか」


 まぁ、シュバルツ様の言う通り、ちゃっかりファーストクラスでリラックスモードになっていますからね。最近身についた、なるようになれです。


 そして現在の状況はこんな感じです。今回も活躍G747-600機で乗って居るのは、シュバルツ様、デノンさん、僕のいつものメンバー。更に今回は護衛役にカーヤ様と、クライムのメンバーも乗ってます。


 「凄え!これゲームし放題じゃん!」


 ゲームに食いついて居るのはザックさん。もはや立派なゲーマーです。休日をゲームに捧げていますからね。


 「セーガル地方の酒も入荷したのか」


 こちらはお酒マニアのガレムさん。最近「グランデ酒連盟」って会をジェイクさんと発足。しかし二人共リーダーはやりたくないからって、グラレージュの親父さんに押し付けたみたいです。


 親父さん嬉々としてやってますけどね。色んな酒を取り寄せては品評会をやっているみたいです。一回行ってみたんですけど、僕は会話についていけませんでした……味の総評、凄すぎました。ついでにグラレージュ本店の酒の種類かなり増えたそうですよ。流石、機会を逃さない商売人。


 「な、なんて事だ!苺大福にお酒が入っているとは!」


 ええ、こちらは勿論レイナさん。お取り寄せリストの新作チェックしています。目移りするんですよねぇ。小箱に入った絶品トリュフチョコレートに、ティモール監修鮮やかなフルーツタルト、プリン専門店開発の高級プリンセット等がパンフレットに所狭しと乗っています。幸せそうな顔のレイナさん見てるだけでほっこりしますよ。


 「あらやだ、ここの売店にG747-600の限定キーホルダー売っているじゃない。ちょっとトシヤちゃん!売店行きましょ、売店!」


 僕を誘うティアさんは最近小物集めにハマっています。限定品に弱いのは、コレクターとしての宿命でしょうかね。あ、でも売店前回いけませんでしたし、是非行きましょう!


 売店は一階の通路にあります。G747-600の内部はこんな感じですかね。


 2F レストラン ファーストクラス  ビジネスクラス 

 1F 売店 シャワーブース 大型トイレ エコノミークラス

 

 亜空間ジェット機ならではの作りですよねぇ。揺れないですから。あ、勿論席での食事も可能ですよ。各席にいつもの黒い石盤ついてますから。


 ん?ガレムさんも行くんです?超希少なお酒がある?……それはそれは……納得。今日は他のお客様がいませんからね。じっくり見れますね。


 しかし流石グランデショップG747店。面白いものいっぱいありました。まずは飛行機関連のグッズ。キーホルダー、模型、Tシャツ、マグカップ、財布にボールペン等。面白い事にパイロット用制服がありました。サイズ豊富ですよ。


 ……しかし、誰買うんです、これ?


 ティアさんは早速グッズ関連コーナーへ。キーホルダーを熱心に選んでいます。グランデレンタカーショップのキーホルダーもあるから結構種類豊富なんですよ。


 ガレムさんは、意外にも日本酒ケーキとブランデーケーキを手にしてますね。醸造元特製の限定ケーキ?ほうほう、なかなか手に入らないって?……いやいや買いすぎでしょう!何本買うんですか!今度のグランデ酒連盟で出す?あーじゃあ、足りませんもんね。


 そうやって楽しんで居ると、ジーグから曲と共にアナウンスが流れます。お、もうすぐ着くんですね。二人を連れて席に戻ると、シュバルツ様は音楽を聴いてましたし、デノンさんは眠り、カーヤ様は映画を見ていましたね。うんうん、それぞれ移動時間を楽しんで利用しているみたいです。


 『皆様お疲れ様でした。間もなく、時刻通りにセーガル国首都グレンダに到着致します。お降りの際はお忘れ物がない様お気をつけ下さい。また、当機が完全に止まってから、お席をお立ち上がりますようお願い致します』


 お、着きましたか。じゃ、そろそろ……


 ビービービービービー‼︎


 突然の警告音にゆったりした雰囲気が一変します。冒険者組は素早く警戒体勢に入ってますね。


 ……亜空間内に問題がある筈はないですから、あるとすれば到着予定地ですね。


 そう考えていると、ジーグのアナウンスが入ります。


 『現在到着予定地セーガル国首都グレンダにて、スタンピード発生中。このままゲートを開けると危険です。到着予定地の変更をご提案致します』


 何でスタンピードが⁉︎


 「ジーグ!モニターに外の様子を映せますか?」

 『畏まりました。皆様、大型スクリーンに映しだします。前方をご覧ください』


 すると、スクリーンに映し出されたのは……


 城壁の周りを埋め尽くす魔物の数。

 城壁の近くでは撲滅に動き出した冒険者や騎士達の姿。

 城壁内では避難する街の人々。

 叩きつけられる城壁。今にも崩れそうな箇所の城壁内では、待機する冒険者や兵士達と逃げまどう住民達。


 これを見て動き出したのはシュバルツ様。何処かに携帯で連絡をしようとしています。


 「……もしもしイクサ。状況を教えて下さい」

 

 そうか!イクサ様先行してセーガル国に行っているんでしたね!


 『畏まりました。今朝の早朝より、早馬にて王宮に連絡が入りました。発生源はここより南西にある初級ダンジョン。どうやら昨日いきなり溢れ出した様です。近隣の村は飲み込まれ、城壁のある都市が現在何とか抵抗中。

 それと同時に、気になる手紙がゲセナ国より届いております。エルセラ国との同盟を解除するよう指示する文面でした。不審に思い、現在ゲセナ国に侵入中のテラに連絡を取ったところ、最近魔物増幅装置が、ゲセナ国にて開発完成した話が市井に流れております』

 「流石イクサ。素早いですね。セーガル国の対応は?」

 『現在増援を各領地に要請中。1番近い街でも五日はかかるかと。まだ我がオーナーの力の認識は甘いのでしょう。こちらに増援要請はありません』

 「ふむ、そうですか」


 イクサ様の声の後ろでは、随分ざわざわした声が聞こえていますからかなり混乱中なんでしょう。その様子を聞いたシュバルツ様が、僕の方を向いて確認をしてきます。


 「オーナー。どうか指示をお願いします」

 「はい?僕ですか⁉︎」

 「ええ、私達はオーナーの指示で動きます。オーナーの助力があるならば、策はいくらでも出しましょう」


 真剣な表情のシュバルツ様。通話先のイクサ様もそれで動いていないのですね……でも考える時間もいりません。僕の考えは決まっていますから!


 「シュバルツ様、イクサ様、皆さん。力を貸して下さい!僕は精一杯フォローします!」


 僕にできるのは、守りのみ。

 でもそれに特化した最高のギフトがありますからね!


 僕の決意に応える様に「おお!」と声を上げる冒険者組。シュバルツ様は早速イクサ様に何やら提案をしています。レイナさんも何処かへ携帯で連絡中。僕はメインゲートを開き、グランデホテルとグランデAIRを繋ぎます。


 僕は神様じゃありません。

 

 全てを救うなんて事は不可能だってわかっています。


 でも、目の前で起きて居る事を見過ごせる様な人にはなりたくないんです!


 だからこそ、手を尽くしましょう!


 それが僕の役割です!

アクセスありがとうございます!さあ、始まります!亜空間ホテル無双!

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