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ティモールとハイエンド館ですよ

 「ブハッ!トシヤお前、おぼっちゃまって感じじゃねえ?」

 「紳士の皮を被ったデノンさんが、僕にそれを言いますか?」

 「二人共お似合いで……ププっ!」

 「サム……。オーナー、良くお似合いですよ」


 シュバルツ様が僕をフォローしてくれますが、ええ、わかっています。僕が服に着せられている感満載なのは。くうっ!だから僕は遠慮したかったのに!


 そう僕は結局7Fのティモールレストランに連れて来られています。勿論正装して。……逃げられませんでしたね。


 まぁ、似合う似合わないは別として、我がホテルの縫製部門によるフォーマルスタイルの服は、素晴らしい出来なんです。


 こんな時用に、黒のウェストコートにトラウザーとヘッセンブーツまで作ってくれたんですよ。あ、お貴族様の格好だと思って下さい。僕一応ただのスーツで良いって言ったんですけど……かなり気合いの入ったものを作ってくれましたねぇ。


 シュバルツ様は当然ですが、デノンさんもサムさんも素が良いですから似合っていていいですよね!ふんだ!


 ……しかし顔がどんなに整っていようとも男四人ですよ……華が欲しいですよね。


 「皆様、お待たせ致しましたわ」

 「おまたしぇしました!」


 なので、セリア・シルディア様と娘のアリアちゃんをお呼びしましたよ。二人共ドレスが良くお似合いです。やっぱり着慣れてますよねぇ。


 「セリア様、アリア様、大変お綺麗でいらっしゃいます。セリア様、月の光を浴びて咲き誇る月花のようにお美しい貴方様をエスコートする特権を、私にお与え下さいませんか?」

 「まぁ、光栄ですわ」


 流石、シュバルツ様。流れるような所作で、セリア様をレストランにエスコートして行きましたね。僕には言えませんよ、あんな言葉。……ん?


 僕の足元で服をクイクイっと引っ張るアリアちゃん。僕を見上げてニコニコしています。


 「これはこれはお姫様。お待たせしてすみません。どうか僕とご一緒して頂けますか?」

 「はい!」


 可愛いアリアちゃんに跪き、手を差し伸べるとキュっと握ってくれる小さな手。可愛いすぎます。


 「トシヤ君、ロリコンだね」

 「あいつ、ライリルにも弱いからな」


 アリアちゃんと手を繋いで行く僕の後ろ姿に、サムさんとデノンさんが何か言ってますね。聞こえてますよ!僕は可愛い子が好きなだけですって!……いや、本当に違いますからね。


 正装した僕らが入るレストランティモールは、見事なシャンデリアに照らされた落ち着いた店内。調度品から家具に至るまでアッカド製品、つまり一級品で整えられているんですって。ヒエエ……


 でも煌びやかすぎずモダンでシックな雰囲気の店内。六人用の円卓のテーブルが並ぶ一席に、セリア様とアリアちゃんをエスコートして僕らも席に着きます。


 ピアノの心地よいバックグラウンドミュージックと共に、始まる食事はコース料理です。アペリティフから始まりデザートまで、本日のシェフのお勧めメニューが運ばれてきます。


 今日のメインは、キングホワイトカウのシャトーブリアンステーキだそうです。柔らかくて味わい深い逸品ですって。楽しみですねぇ。


 あ、料理は運ばれるというより、各席にいつもの石盤があり現れるといった表現が正しいですね。因みに侍女さんや侍従さんが運べるパターンもあるそうですよ。今日は、シルディア家の侍女さんたち後ろで待機してますけど。


 「旦那様が危険を冒そうとしている時に、私達だけこんな贅沢をさせて頂くのは僭越ですが、とても美味しいですわ」


 シュバルツ様達が会話でもセリア様をエスコートする中、セリア様ご本人はやはり遠慮気味です。アリアちゃんは侍女さんたちのお世話のもと「おいしい!」っていい笑顔ですけどね。


 「ご安心下さい、セリア様。シルディア侯には各国のサポートがつきますから」

 

 シュバルツ様が笑顔でセリア様を安心させる情報を伝えます。そうなんです。オルガデュ国をはじめ、隣国セーガル国も対ゲセナ国としてエルセラと同盟関係を結ぶ事になったんです。地図的に言えばこんな感じです。


ク    オルガデュ       

オ             クエンゼン

ー  エルセラ   ゲセナ

海    セーガル


 ライル王の地道な説得とオルガデュ国の後押しもありましたからね。対するゲセナは東のクエンゼン国を持ち出してきましたけど。


 「ゲセナと共闘する姿勢を取るクエンゼンも、今内政が荒れてますからね」


 サムさんが補足するように伝えてきたクエンゼン国。ゲセナと密接な関係を保つ国で、この国も奴隷制と上層部のみ富を蓄える国なんですよ。第二のゲセナ国ですね。


 諜報員によると、現王政派閥対王太子派閥で既に内政がゴタゴタになっているそうですよ。でもって、エア曰く王太子派閥はライル王と懇意だそうで、すでにこちらからの援助を受け入れています。あちらからは情報ですね。最近イクサ様どこ行くのかと思っていたらこっそり動いていたんですね。


 「なんかトシヤも動いているんだろう?」


 ニヤっとしながら僕を見るデノンさん。僕もニッと笑いかえしておきます。ふふふ、最近僕が亜空間から出ないという事は、専属護衛達の手が空いているって事ですからね。


 今専属護衛も【空港ゲートアプリ】使えるんですよ。一組だけ亜空間に残して、二組がゲセナ国とクエンゼンに密入国中。ちょっと情報を広めて貰っています。何かは後ほどわかると思いますよ。


 「それでもゲセナ国から兵士がこちらに向かって出兵したと伝え聞いておりますわ」


 不安そうなセリア様。確かに逃げてきた国に向かって、本国の兵士が攻めて来るのはなんとも言えないでしょうね。でもシュバルツ様もデノンさんサムさんも、セリア様に告げるのは安心して下さいとのことだけ。


 僕も知ってますけど、食事の場でいう事じゃありませんし。


 そんなセリア様を、会話でフォローをするシュバルツ様の話術は凄いの一言です。豊富な知識と経験がものを言うのでしょう。僕には到底真似できませんよ。頼りになる人ですねぇ。


 その後は、終始穏やかに食事が進み、食事が終わる頃にはセリア様もいい笑顔になっていました。僕もマナーを気にしながらの食事が終わってちょっとホッとしましたよ。


 『ご満足いただけたでしょうか、オーナー?』


 帰り際モニターで見送りをする、ダンディなコックの姿のティモール。そう、ちゃんとこのレストランにもAIいたんですよ。ただティモのように主張するわけではなく、料理で語らせる為に最後の見送りのみにしているんですって。……ティモ聞いたら絶対反論しそうですね。


 「はい、美味しかったですよ。ところで、ブラッセリーの方もティモールが担当しているんですか?」

 『はい、そちらも私が担当させて頂いております。朝はそちらでお召し上がり下さいませ』


 ティモールはどこまでも紳士的に振る舞うんですね。これはティモとはまた違うタイプで面白いですし、おもてなしの幅が広がります。


 丁寧な挨拶をするティモールを後にした僕らは、セリア様とアリアちゃんを6階貴賓室フロアまでお送りします。


 「本日はありがとうございました。トシヤ様、明日からもお世話になります。どうぞ宜しくお願い致しますわ」

 「よろしくおねがいしましゅ!」


 別れ際にお礼を言うセリア様とアリアちゃん。そう、貴族の皆さんは【世界樹本館】ではなく【ハイエンド館】の方へ長期滞在予定なんです。


 「しばらくご近所様になりますね。こちらも宜しくお願い致します」


 そう言うのはシュバルツ様。実はシュバルツ様達もこちらにお引越しします。ボードン一族にハイエンド館の一室をお渡ししたんですよ。ハイエンド館はいわゆるお屋敷型の宿舎なんです。勿論設備は最新式。


 世界樹の近くさらに森の中の家をエルフの皆さんが逃す筈はありませんからね。引越し提案すると、すぐ了承もらいましたもん。


 それに伴い、ホテルでバトラー、メイド訓練をしていたカディル人の方々の仕事先にさせてもらいました。まだまだ雇う人はいっぱいいますし、来る予定もありますしね。


 そうそう、世界樹本館と広い通路で繋がっている各ハイエンド館の設備は次の通りです。


 【ハイエンド館】15LDK +2S

  設備:主寝室(トイレ、露天風呂付き)、寝室(トイレ、シャワールーム付き)、リビング、ダイニング、キッチン、食堂応接室、書斎、図書室、ドレッシングルーム、大浴場、温室、物置等


 いやはや、大きなお屋敷というか城ですね。でもそれがまた木々に溶け込む景観になっていますから、本当にファンタジーの景色で趣きがあります。


 こんな感じなんですけど、改めて凄い豪華なんです。これからは迎賓館として利用する感じですね。

  

 そしてセリア様と別れた僕らも、今日は貴賓室フロアに宿泊です。僕は一人部屋フロアでいいと言ったら連れて来られました。「オーナーがそんなんじゃ俺らが泊まり辛い」ってデノンさん談です。


 仕方ないから、今日は贅沢に使わせてもらいましょうか。部屋付きの大きな露天風呂を独り占めです!で、ゆっくり休みましょうかね。


 明日はグランデホテルの方の様子も見たいですし。

アクセスありがとうございます!ドリームホテルの中をあまりかけませんでした……

おいおい書いていきます。明日も更新予定です!宜しければアクセスしてみて下さいませ!

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