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こっそり居ます。

 ふむふむ……カディル人さん達が多いですねぇ。

 しかも皆さんご苦労なさっていたのでしょう、痩せてますねぇ。これは機内食はまずはスープからですね。おや、もう次の方が来ましたか。

 

 「あ、ようこそ!グランデエアへ!お席番号確認しますね。……二階席の右側です。椅子に番号が有りますからね!ん?番号がわからない?はいはいご案内致しますよ」


 カディル人のご家族ですね。皆さんやはり整ってらっしゃる。これで後は笑顔があればいう事なしですけど。ん〜、挙動がオドオドしてますねぇ。


 「……トシヤ様、私がご案内を代わります。全く……大人しくしてて下さいよ」

 「おや?ハイリ君。いやぁ、僕も手伝えますからねぇ」

 「シュバルツ様に言われてるんですって。許可は出したけど見てるだけと言われてますでしょう?」

 「ウッ……何故それを……!」

 「今サポートしているスタッフ全員周知してますからね。さ、お待たせしました。こちらへどうぞ」


 あのお調子者ハイリ君がしっかりする様になって……(ホロリ)……というか、やる事ありませんねぇ。


 ええ、それもその筈。スチュワーデスならぬ、カディル人バトラーやカディル人メイドがスタッフとして乗り込んで居ますからね。ホテルでグランやジュニアに育てられた人達ですよ。成長が素晴らしいんです。


 とまぁやる事ないので、出発までこのジャンボジェットの紹介でもしておきましょうかね。


 我が自慢のG747-600はその名の通り600人乗り。今回は荷物庫が無いバージョンですから、人がゆっくり乗れる様になっていますよ。しかも二階建てです!


 圧迫感を感じる事のない高さの機内で、レイアウトも我がグランデホテルのイメージカラー緑が基調となっています。普通のジャンボジェット機と違うのは大型トイレの設置、シャワーブース、レストラン、機内売店がある事ですかね。


 まあ、仕組みは分かりませんが豪華で快適なのは良い事です。

 

 座席はファーストクラスとビジネスクラス、エコノミークラスの3種類。とはいえエコノミーも余裕を持って作られてますから、隣の人と肩が触れるなんて事はありませんよ。ゆったりサイズでフカフカ素材ですから、寝るのに最適!うん、既に寝ている方もいらっしゃいます。気持ち良さそうですねぇ。


 は!スタッフの視線を感じる!ファーストクラスに逃げましょう。


 そう、僕はゲセナ国に来る時既にファーストクラスの恐ろしさを味わっています。何です?この完全個室空間。後ろの人を気にしないどころか隣まで気になりませんよ?勿論足を伸ばせますし、なんならベッドにもなります。


 でもって流石ジャンボジェット機亜空間バージョン。ええ、一人用なのに三人用って言っても差し支えありません。


 配色も落ち着いた色合いで、膝掛けは勿論薄がけ毛布も上の棚に。うん、簡易ワインセラー付きとは恐れ入りました。


 ……こんなのに慣れたらもう他で移動出来ないでしょうねぇ。


 更にTVは勿論、最新の雑誌に……ん?グランデ新聞が更新されているじゃないですか?……書いたのファイですね。どれどれ?


 トップニュースはもちろんゲセナ国難民救助ですね。ほうほう、今回のカディル人の中にはアガル院長という副リーダーがいらっしゃる、と。……コハブ青年の幼馴染のご両親が大事に持ってる髪留めが希望とは泣かせるじゃないですか。星詠み……?どこかで聞きましたねぇ?ま、後で思い出すでしょう。


 ええと、貴族の集合場所にはシュバルツ様、下町のベルグ商会にはサムさん、孤児院にはデノンさんが行ったんですねぇ。3人の携帯には【空港ゲートアプリ】有りますからね。3人同時に開く事も可能みたいですし。うんうん、順調にこのジャンボジェット機に集まっているみたいです。


 おや、中にはゲートに弾かれた方が数名いる様ですね……デノンさんのところで三人、サムさんとシュバルツ様のところで二人?おや、ゲセナ国の諜報員ですか……!


 デノンさんは良いとして、サムさんとシュバルツ様大変じゃないですか!


 なになに……あの二人身体強化使えたんですか⁉︎で、ボコボコにした上で拘束⁉︎反政府軍に引き渡しとなりましたか……いやぁ、良かった。……うん、サムさんも怒らせない様にしましょう。


 「あの?貴方様がトシヤ様でしょうか?」


 新聞から顔を上げると、簡易ドレスを着た綺麗な女性が僕の前に立っていました。よくみると、その隣には可愛い女の子がいます。誰ですかね?


 「はい、僕はトシヤですが……?」

 「突然のご無礼をお許しください。私はセリア・シルディアと申します。この子はアリア・シルディア、私の娘です。ほら、アリアご挨拶は?」

 「はじめまして!アリア・シルディアともうしましゅ!3歳でしゅ」


 なんと可愛い子でしょう⁉︎うちの子達に負けませんよ!ってシルディア侯のご家族の方々でしたか。これはしっかりご挨拶しないと!


 「こちらこそ失礼しました。私はグランデホテルオーナーのトシヤと申します。セリア様、アリア様でございますね?シルディア侯のご家族をお迎え出来るなんて光栄です」

 

 僕がきっちり礼をしてご挨拶すると、セリア様が困った顔をなさいます。あれ?間違いました?


 「とんでもございませんわ。主人から聞いております。高貴な方に頭を下げさせてしまいました。私共にはどうぞお気を遣わずお話し下さいませ。そして、この度のご助力の感謝を改めてお伝えさせて下さいまし。アリア、感謝を」

 「ありがとうございましゅ!」


 おやおやご丁寧に。というか、シルディア侯何を言ってるんでしょう?高貴な方って誰?って感じですよ、もう!


 「ありがとうございます。むしろセリア様もアリアちゃんも普通に話してくださって大丈夫ですよ。あ、そうだ!この部屋の使い方を僕がご案内しましょう!」

 

 僕の提案に恐縮するセリア様ですが、ファーストクラスに先にいた者として当然ですからね。ん?シルディア侯爵家の侍女さん達も覚えたい?はいはい良いですよ。


 それにしても、みんなが良いリアクションを取ってくれるんです。リクライニングソファーに「まぁ!」、自動で出てくる飲み物に「まああ!」、TVの使い方を教えて「まあああ!」。セリア様も含めて「まあ」の大合唱でしたね。


 いや、反応が面白くてですねぇ。調子に乗ってホテルの商品も勧めていたら、うちのメイドさん達にやりすぎですって注意されましたよ。情報過多だと疲れますからね……失礼しました。大人しく席に戻りましょう。


 どうやら今回、ファーストクラスには僕とセリア様、アリアちゃんの3人だけみたいですね。シュバルツ様達3人も後で来ますけど。


 他の貴族様達はビジネスクラスですね。ここのちょっと狭い版ですが、基本的に豪勢ですからね。満足して下さっている様です。


 「あーだりぃ……」

 「この人数はやっぱり疲れたぁ……!」


 そうこうしていると、デノンさんとサムさんがファーストクラスに戻ってきましたね。僕も席を立って迎えます。


 「お疲れ様でした。ん?シュバルツ様は?」

 「あ、爺ちゃんが最後の確認に孤児院にいるよ。1番人数少なかったからって代わってくれたんだぁ」


 僕が迎えると、椅子に全体重をかけてグテッとしながらサムさんが教えてくれます。デノンさんに至っては無言でワインセラーに既に手をかけていますし。


 「ま、1番人数の多い俺の所で人が切れたからな。そろそろ出発して良いだろ」


 デノンさんが嬉しそうにグラスにワインを注いでいると、丁度シュバルツ様も戻ってきました。


 「オーナー、そろそろ出発しても良いと思いますよ」

 「シュバルツ様もお疲れ様でした。ではジーグ出発しましょうか」


 すると、ジーグが返事をする代わりに機内音楽を鳴らします。『間もなく出発致します。皆様ご指定の席にお戻り下さいませ』というアナウンスがしばらく流されましたね。そして全員が席に着いたのでしょう。再度ジーグのアナウンスが流れます。


 『皆様大変お待たせ致しました。当機はこれよりゲセナ王国首都オルビアより亜空間第三ターミナルへ向けて出発します。飛行時間は一刻を予定しています。離陸後しばらくはお席に着いたままでお待ち下さい。では皆様快適な亜空間、空の旅をお楽しみ下さいませ』


 まずは第一便出発ですね。

 僕の作戦は着々と進行中です!


 ………ええ、実行するのは僕じゃないですけどね。


アクセスありがとうございます♪ちょっと短めです。明日も更新しますよー!

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