ゼンさん家族集合です(成人組+未成年一人ですけど) 其の弐
ちょっと短めです。
「すまない、トシヤ君。熱中してしまった…… 」
「凄え勉強させて貰った!トシヤ君、いやトシヤって呼んで良いか?俺ここ通いたい!」
少し冷静になったゼンさんに未だ興奮しているリーヤ君。なんだかんだでキイと一時間以上話していました。疲れ知らずですねぇ。
でもまだ女性陣帰ってきていないんですよ。こちらも凄い。女性は長湯と聞きますが、本当ですね。いや、考えてみたら男湯でこれですよ。女湯出したらどうなるのか…… 帰ってきますかね。
内心ヒヤリとしながら二人に笑いかける僕。
「ゼンさん気になさらずに。リーヤ、僕もそう呼ばせていただきますね。この口調は素なので慣れて下さい。さて、リーヤからの提案ですが、その件についても詳しく話し合いたいのですが…… 」
カランカラン。
「もーう最高よぉ!」
「ちょっと!リーヤにお父さんも入ってきたほうが良いって!」
「あらぁ?良い匂いがするわねぇ」
「トシヤ兄戻ったよ〜!」
…… 丁度女性陣が戻ってきましたねぇ。これは今日は無理でしょう。取り敢えず女性観点の感想聞きましょうか。
「皆さんおかえりなさい。大分ゆっくり楽しんで頂いたみたいですね」
僕の言葉に被せる様に女性達が話し始めます。
「なにあの凄いお風呂!たっぷりのお湯!あんなに贅沢したのは初めてよ!」
興奮たっぷりに両手を組んで話し出したのは長女のメイさん。
「それにあのシャンプーにトリートメントが凄いわ!アレを知ったらもう無かったことになんかできないわ!」
「「ね〜」」とメイさんと頷きあっているのは次女のフランさん。
「メイ姉もフラン姉も凄いんだよ。サウナにも入ってしばらく出て来ないんだもん。全部のお風呂堪能するのにも時間かけるし。なんかライとリルを面倒見るより疲れたよ」
疲れ切った表情をするのはエルさん。みんなの案内役ご苦労様でした。僕は無理です。
「ねえ、トシヤ君。入り口の布に書いてあった字はなんて書いてあるのかしらぁ?」
ウッ!奥様のカルナさん、なんて目敏いんでしょう……
「え〜と……「男湯」って僕の国の字で書いているんです…… 」
なんでしょう?カルナさんから妙な迫力が感じられるのですが、気のせいですかねぇ。
「うふふ、やっぱりトシヤさん異国の方だったのねぇ。あと、今日だけ無料って言っていたけど、また使いたいときはどうすればいいのか教えて頂きたいわ。料金お高いのかしら?」
頬に右手を当てながら僕に聞いてくるカルナさん。やはり鋭いところをついてきます。そして女性達から一挙に期待の視線を浴びる僕。
「えーと……… エア教えて下さい」
「畏まりました。まずは皆様、私はトシヤオーナーの補佐役エアと申します。以後よろしくお願い申し上げます。では概要をお伝え致します。
基本的に一度入館登録した方は、今後もトシヤオーナーが扉を出している時であれば、いつでも入館可能です。入館だけでは料金は発生致しません。
ご質問の入浴に関してご利用頂ける時間に制限はございませんが、1回の使用料金は成人が500ディア、未成人が250ディアでございます。
また現在お買い得なプランといたしまして12回分が一纏めになった入浴回数券が、2回分お得になって5,000ディアで販売しております。更に24回分の回数券は4回分がお得になって10,000ディアで販売しております。
お買い求めの際には正面フロントグランよりお求め下さいませ。お帰りの際には是非ともご検討をお願い致します」
僕も初めて知りましたよ、エア…… 。でも回数券ってなんか懐かしいですねぇ。
「因みに、オーナーがパスポート申請機を設置していただければ、月十回無料になる月間パスポートや一ヶ月無料になる年間パスポートも発行可能です」
いや、エア。それみんなの前でいうことじゃないですよね。後で業務連絡していただければよかったのでは…… ?
なんとなく期待の視線が強くなった様な気がします。これは逃げましょう。あ、でもその前に。
「安いわ!お買い得よ、これ!24回入浴券買って帰りましょうよ!」「まず12回からで良いんじゃない?」「パスポートは魅力的ねぇ」と嬉しそうに相談している女性陣から、エルさんだけをカウンター内に呼びます。
「エルさん、女性の皆様に喫茶店も利用して貰いたいのですが、ここに立ってキイの言う通りに動いて貰って良いですか?勿論、皆さんの飲食代は今日だけは僕が出しますから」
「いいの?トシヤ兄。私たちばっかり得してるよ?」
エルさん、良い子です。思わず頭を撫でてしまいます。
「ありがとうございます、エルさん。今後僕がかなりご迷惑おかけする予定ですからね。今日は先行投資です」
「ふーん、わかったよ。じゃ、ご馳走になるね!」
「楽しんでくださいね。その間に僕ら男性陣がお風呂に入って来ますからよろしくお願いします。キイも皆さんの注文した品のお代は僕から払う様にして下さいね」
「畏まりました。こちらはお任せ下さいませ」
頼りになりますねぇ、本当に。さて残りの皆さんは…… ?とカウンターの外に目を向けると、カウンター席に女性陣を座らせたゼンさん、リーヤが後ろからメニュー内容について説明しているところでした。流石宿経営しているだけあって、良く気づいて下さいます。
「皆様、本日はオーナーからのご厚意で、全て代金は無料となっております。ご自由にお好きな物をお選び下さい」
キイの言葉に歓喜の声を上げる女性陣。「これ美味しそうよ!」「メイ姉半分ちょうだい」「じゃ、これ一緒に食べてくれる?」「あらぁ、こんなに良いのかしら」と次々声が聞こえてきます。後はキイに任せて大丈夫そうですね。
「じゃ、ゼンさん、リーヤは大浴場の方へ移動しましょう。僕がご一緒します」
女性陣の賑やかな声が響く喫茶店を後にし、嬉しそうな二人を大浴場に案内します。
さあて、男三人でゆったりまったり入ってきましょうか。
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