オルガデュ国メンバーをおもてなししましょう 3
更新日ズレてすみませんm(__)m
「ようこそ!ビュッフェレストランottimo2号店へ!こちらはティモ師匠の1番弟子フランツが対応致します!さあ、まずはお好きな席にどうぞ!」
グランデショップの中に併設されていたレストランに、セラム王達をようやく誘導できた僕達一行。入り口にあるモニターでフランツの歓迎を受けています。
いやぁ、参りました。グランデショップ、広いし見どころ満載なんですよ。宰相のロイドさんとサムさんの進行速度が遅い事遅い事。まだ三分の一も回ってないんですよ?
セラム王とシュバルツ様も一つ一つ見ては政治的な話をしているから僕は割り込めませんし、お酒コーナーから動こうとしない方々がいますし。1番見て回っていたのがビルさんと書記のフェイさんなんです。但しそれでも三分の二ぐらいでしょうねぇ。
……これは食事の後でもまた見て回るでしょう。楽しんでいるようでいいのですが、ホテル紹介は遠いですね。まあ、次回もあるでしょうし、そこはシュバルツ様に丸投げしときましょう。
さて、フランツのお店の内装に話を戻しましょう。
こちらの店舗の雰囲気を伝えるならば、クラシカルモダンってところですね。正統派の高級レストランです。店舗の全体の色は清潔感のある白ですが、通路を抜けて入った店内でまず目に入るのは王宮にある様なシャンデリア。壁にはセンス良く配置された絵画や大きな窓には上品な赤のドレープカーテン。
大広間は高級感溢れる一人用革ソファーが丸テーブルに四脚ずつ配置された席が40席くらいでしょうかね。奥には勿論個室も完備されてました。個室の中は、さりげなく置かれているアンティークライトや絵の額縁の凝った装飾がピカピカに磨き上げられていますし、更にフカフカで座り心地のいい一人用革ソファーが長テーブルに10脚ありました。勿論各部屋大きな窓もついていて、そこから見える緑豊かな景色で部屋には圧迫感はありません。
そして肝心の食事ですが、大広間がビュッフェ形式で個室はなんとコース料理も選べるようになっていたんですよ!
因みに個室メンバーは僕、シュバルツ様、デノンさん、サムさん、ビルさん、セラム王、ロイドさん、フェイさん、騎士団長ギオンさん。大広間に騎士の皆さんとクライムメンバーとなっています。
「私は後程頂きます」という護衛職務に熱心なギオンさんを、セラム王が説得というか命令で共に座らせる一幕がありましたが、ようやくこちらも食事が開始です。真面目ですねぇ、ギオンさん。こちらの護衛のデノンさんは皆と一緒に座って既に食前酒飲んでますし、マイペースです。
「うん、美味いな。このワインは口の中が爽やかになる」
セラム王や皆さんが美味しそうに飲んでいるのは白のスパークリングワイン。個室専用モニターの中でウェイターの格好をしているフランツによると、
「こちらは白ワインに炭酸を加えたスパークリングワインでございます。口に含むと果実味が感じられ、炭酸ガスが含まれているため、爽やか・なめらかな飲み口が特徴の一品でございます」
と説明が。ふむふむ、飲みやすいですね。
そうそう、面白いのが長テーブル全体が黒い石盤になっているので、またシュッとグラスが出てきたりするんです。一人一人をどうやってサーブするのかと思っていたら、モニターの中のフランツが操作しているみたいですよ。いやぁ見事。
「さて皆様。本日のメニューでございます」
フランツが言い終わるとそれぞれの席にメニューが現れました。メニューの内容はこんな感じですね。
*****menu*****
食前酒 ブルガレアスパークリング白ワイン
前菜 トマトと生ハムのアントレ
スープ フィフス産グリーンポタージュ
魚料理 クオーク海産エンペラーフィッシュのマリネ
氷菓 レモネのジェラート
肉料理 オークキングのステーキ
チーズ フランデール産チーズフロマージュ
デザート ・ガトーショコラ
・エヴァンス産赤ワインのアイスクリーム
***** *****
「なに!既にフランデール産のチーズがあるのか!」
メニューを見て驚いているのは宰相のロイドさん。ほほう、布以外にチーズも名産だったんですねぇ。
「エルセラ国の名産も取り揃えていますし、いい選択ですね」
メニューを片手に頷くシュバルツ様。確かに色々揃っていますねぇ。シームズ特産のジャイアントシーウィードも何気に写真についてますし。記載がなくとも使われていそうですね。
え?それよりも味の方ですか?それは勿論……
「野菜の配置が一つの絵画のようで、視覚からも味わいを更に深めてくれますね」
「グリーンポタージュ、全く青臭みがありませんよ」
「美味い!このステーキ!なんて柔らかくジューシーなんだ!」
「やはりうちのチーズは素晴らしい」
上からロイドさん、フェイさん、セラム王、ギオンさんの反応です。オルガデュ側も満足してくれたみたいです。うちのメンバーはもう慣れたもの。マイペースに味わって食べるシュバルツ様、お酒のペースが早いデノンさん、話題を振りながら綺麗に食べるサムさん、頷きながら食べる僕。そんな感じで食事が進み、現在食後のコーヒーを頂いています。
「いや、堪能させて貰った。こんなに楽しく過ごさせて貰ったのは久しぶりだ」
セラム王が満足気に僕に語りかけます。
「お気に召して頂きこちらも安心致しました。しかし、まだまだ僕の亜空間には楽しませるものが沢山ございます。色々ご案内させて頂きたかったのですが……」
「おいおい、トシヤ君。頼むから普通に話してくれ。君の存在は少なくとも私以上だ。実際に目にして実感させられたよ」
「いえいえ、僕はただの一般人ですから」
「オーナー?いい加減観念して下さい。貴方のような一般人はおりません」
おや?シュバルツ様なんていう事を。僕の様な平凡な男はいないって言うのに。
「なんか、トシヤ君また変な事考えてそうだね」
「だな。だが、あれがトシヤだからなぁ」
む?サムさんデノンさんが何やらボソボソ話しています。なにを話しているのやら。……後で問いただしましょう。
「……成る程。シュバルツ、お前苦労しているんだな」
「セラム、貴方も似た様なものですよ」
「ふっ、まあいい。……決めたぞ、ロイド!本格的な交易を開始させてもらう為に、ウチからも魔石の寄贈をしようではないか!」
「畏まりました。議会の承認は私も協力いたします。王よ、差し当たってクイーンワイバーンの魔石を提供するのはいかがでしょうか?」
「おお!いいな。城に眠らせておくより有効な使い方だ。どうだろう、トシヤ君。受け取ってくれないか?」
クイーンワイバーンって?城に眠らせているって……よっぽど価値のある魔石って事ですよね……?うわぁ……いいのでしょうか?
どこまでも庶民感覚の僕に変わって、冷静なシュバルツ様が返答して下さいます。
「オルガデュ国の協力に深く感謝を。おそらくグランデAIRの出張扉分以上になるでしょう。そうなりましたら交易も勿論ですが、ゲセナ国共闘の件も確実にお願い致しますね」
「ああ、ゲセナ国に関しては我が国でも独自に動いているからな。信頼の証に情報を明かそう。最近諜報員がゲセナ国の反政府リーダーとの接触が可能になった。あちらさんは近くクーデターを起こす予定だ。その上で反政府メンバーの家族の保護を申し込まれたのだが、我が国だけでは正直動きが取りづらくてな。この件の協力体制も相談したい」
「成る程。やはり、セラムも動いていましたか」
「当然だ、シュバルツ。我が同胞も苦しんでいるからな」
おお!国の最新情報を開示してくれるとは⁉︎しかもオルガデュ国も動き出していたんですねぇ。
「では信頼の証にこちらも。ゲセナ国王宮内に諜報員が何名か潜入成功しています。それによると、まもなくエルセラ国内の奴隷狩りに向けてゲセナ国王都より兵士達の出発が控えています。動き出すなら急ぐ必要があるでしょう」
なんと!シュバルツ様も凄い!というか、いつの間に動いているんでしょう?この人達。寝てるんでしょうかね?
「ああ。そうなるとあちらさんが動き出して、こちらの国境に来るまで大体三週間だろう。それまでに防備の強化と共にこちらも迎え打つつもりだ」
僕が呑気な事を考えていると、デノンさんも真面目な表情でオルガデュ国側に情報を開示しています。セラム王とここにいるメンバーは僕の亜空間内に入れるくらいですし、シュバルツ様達からの信頼は厚いのでしょうね。
「……やはりそうか。だが、エルセラにもオルガデュにもゲセナ国からの諜報員が入ってきている。こちらの情報もある程度伝わっているだろうが……全ての鍵はトシヤ君の亜空間だな」
「ええ、この亜空間は悪意にはとても敏感ですから。現在ゲセナ国の諜報員は一切入ってきていないでしょう。勿論、オルガデュ国の諜報員もね」
「なんだ、シュバルツにはバレてたか。いずれにせよ、事前に調べられたらと思っていただけなんだがなぁ……」
「まあ、そこはお互い様でしょう。正直セラムでも亜空間に弾かれたら排除予定でしたからね」
「おいおい……」
……シュバルツ様最強説誕生の瞬間でしょうか。僕はこんな人を頻繁に怒らせていたのですか……今後、気をつけましょう。
「では、オーナー、ここまでよろしいですか?」
「はい!勿論でございます!」
「……まあ、良いでしょう。オーナーには申し訳ありませんが、これからかなりご協力を頂きます。宜しくお願いしますね」
おおう、微笑みのシュバルツ降臨です。
これは忙しくなりそうですね……
出来るだけ頑張りますか!
アクセスありがとうございます♪