シトロンとパルスの紹介と出張扉の設置ですよ
珍しいですねぇ。女性に押されるボルクさんとジェイクさんがいます。スレインさん、グレッグさんは他のメンバーと話をしています。親交を深めるのは良い事です。あ、因みに僕に全員紹介済みですよ。
まずはボルクさん、ジェイクさんにまとわりつく小さな女性はドワーフ族のクエラさん(17)。小さな体に似合わず怪力の持ち主。動きも素早いんです。そんなクエラさんを落ち着かせようとしているのがリーダーのリムスさん(20)。大きな身体と真面目そうな雰囲気の好青年です。そしてその様子を笑ってみているのが双子のプルさん(19)、ケートさん(19)。整った顔にスラリとした体格の男性。あ、でも雰囲気で区別つきますよ僕。落ち着いた感じがプルさん、元気な感じがケートさんですね。この4人がパーティ名「パルス」のメンバーです。
で、グレッグさんとスレインさんと話をしているのが、これまた異色の全員魔法使いのパーティ名「シトロン」。但し強力な魔法使いだらけですって。で、髪の色で僕は見分けています。
青の短髪の青年はイコルさん(20)、リーダーで得意なのは光魔法ですね。赤のロングの青年はビインさん(20)、得意なのは風魔法。緑の短髪の青年はラセスさん(19)、得意なのは雷魔法。金の短髪のトルさん(19)、得意なのは火魔法ですって。いやぁ、良く覚えたと思いません?僕。
あ、そうそう。なんでクエラさんがボルクさんやジェイクさんを気に入っているのか理由を聞いたら、アイスドラゴン戦で2人がクエラさんを庇ったからですって。クエラさん小さくて可愛いですけど、女性扱いされる事が少なかったからと言う事もあって2人のファンになったそうですよ。
「おい、トシヤ。ここまで詳しく教えたんだ。そろそろ良いだろ」
「ああ、すみません。助かりましたよ、ナイツさん。あ、じゃあ出張扉設置してしまいますね」
あ、ここは冒険者ギルドの大会議室ですよ。出張扉を設置する前に確認していたんです。僕ナイツさんに手伝ってもらって、やっと名前覚えたんですよ。人の名前を一回で覚えられる程の頭はないですからねぇ。いや、助かりました。
さて、ナイツさんにもうタブレット渡していますから、入館登録はお願い出来ますからね。まずはエアにお願いして、いつも通り出張扉・パスポート申請機を設置します。これには背後からざわめきが聞こえて来ましたね。
そしてそのまま大型モニターを設置しに一階へと向かいます。ですが、有名パーティーをゾロゾロ引き連れて、ギルド長のナイツさんまでいるんですよ。「なんだ?」「何始まるんだ?」って更に僕の周りは野次馬で溢れかえります。いやぁ、屈強な冒険者に囲まれるよりは綺麗なお姉さんに囲まれたかったです。
ま、やってしまいましょう。
「ナイツさん、大型モニターを設置する壁は、入り口横の壁で良いですか?」
「ああ、その方が良いだろ。休みながら見れた方が良いから、食堂に近づけてもらっても良いか?」
「あ、そうですね。じゃ、エア頼みます」
「畏まりました」
エアの返答の後にいきなり現れた大型モニターに、周りからは「うおおお!」と野太い合唱を頂きました。そしてプツっと電源が入り出て来た映像は……
「おい!あれブランドのスラストじゃねえ!」
「あいつが苦戦する魔物ってなんだよ!」
「待て、あれはシーアの大森林じゃねえぞ!」
「は?アセルが足を止められている?」
「キプルとファムまで囲まれているぞ!」
おや?何故にアルコの風の痕跡への誘いの場面が流れているんでしょう?確かブランドメンバー帰って来ていませんっけ?
『はーい!フィフスの皆さん!初めまして!この映像はビフラス渓谷での戦いの映像ですよー!そう、なんと三強の一角ブランドメンバーでさえ苦戦する魔物達がウヨウヨいる場所。そこに貴方も挑戦できます!是非今日ギルドに設置したばかりの扉を使って、グランデホテルまでお越し下さい!はい、どうせそこにいる残りの2パーティーも来るんでしょ!来るならサッサと来てください。多分強制送還になるでしょうけどね!』
あ、アルコやっぱり怒ってました。と言うか開き直りましたねぇ。いやぁ、最後は煽っていましたけど大丈夫ですかね?
「おい!グレッグ!今すぐあそこへ連れて行け!」
「冗談じゃねえ!俺らがそうそうやられるかよ!」
「これはこれは見過ごせませんね」
「おい、イコル。だがビフラス渓谷って言わなかったか?」
「怖気ついたんか、ビイン。いずれ挑戦したい場所だったろうが」
あ、皆さんやはり血気盛んな冒険者なんですねぇ。アルコの挑戦に乗っています。と言うか他の冒険者もテラに詰め寄っています。全く……アルコ仕方ないですねぇ。
「エア、なんとかなりませんか?」
「大丈夫です。今ビニーが出ますから」
ん?ビニー?
『静まりやがれ!まだ説明の途中だろうが‼︎ 」
耳がキーンとするほどの大音量でビニーが出て来ました。これには流石に静まったホール内。ビニー……まだ耳が痛いですよ……
『まあったくもう!駄・目・よ。焦って良い事はないわ。まずは一般市民、冒険者のみんなは地元の依頼をこなす事ね。じゃないと、ホテルには入れないわ。なんせ入館登録しなければいけないもの。それはギルド長に任せているの。そしてギルド長の許可を得てから来れる夢の楽園なのよ。だ・か・ら……てめえらぁ‼︎しっかり働きやがれ!』
ええ、筋肉隆々の男が出て来たと思えば女言葉で話しますからねぇ。その場にいる全員が一斉に引きましたよ。でも流石ビニー。最後は冒険者のやる気に火をつけましたね。
おや、残っている人たち向けには、グランがホテルの設備や施設案内を始めています。ホール内はモニターに釘付けの人達と、受付に依頼がないか問い詰める人達で溢れていますね。あ、ナイツさんも囲まれています。……うん、頑張って下さい。
「悪い、トシヤ。すぐにホテルに戻れねえか?」
周りを見ている僕にげっそりしたボルクさんが声をかけて来ました。おや、足にがっちり捕まっているクエラさん引きずってますよ。と言うか、フィフスの皆さんやる気に満ちてますねぇ。いやいや、僕を睨まないで下さいよ。
「そうですねぇ、やる事はやりましたし。帰りましょっか」
「頼む。俺らはホテル戻ったらあいつら案内してくるから、お前は休憩所でちょっと待ってろ。セイロンに護衛頼んでくる」
「あ、良いですよ。僕も一緒に行きます。この後は予定ないですからね」
「お前……シュバルツ様との予定はどうした?」
ん?シュバルツ様?……ハッ!いけません!
「あー大丈夫です。忘れてませんよ?」
「忘れてましたね?オーナー」
……なんと言うタイミングで来るんでしょう……シュバルツ様、デノンさん引き連れてわざわざ迎えに来てくれるじゃありませんか。
「ボルク、ここからは私達がオーナーの護衛も引き継ぎます。フィフスの皆さんの案内に移行してください」
「助かります。シュバルツ様、デノンさん」
そう言ってボルクさんはシトロンとパルスを連れて行きました。僕はと言うと……
「さあ、オーナー行きますよ。待ち人もいますからね。先に最近設置されたコンドミニアムスーペリアに行ってもらっています」
「すっげえ、良い景色の場所だったな!」
と言う2人に挟まれて歩いて向かっています。うーん、連行されている気分です。でもそう言えば、今朝エアに何か言われた様な気がしますねぇ。
ま、いけばわかるでしょう。
誰でしたっけ?待ち人って?
アクセスありがとうございます!さてさて多忙なトシヤですが、誰が待っているでしょうね。次回は7/26日更新になります。すみません!私個人的に多忙期の為、週1の更新に変わります。多忙期が過ぎたら更新を徐々に増やしていきますので、ご了承下さいませm(__)m