フィフスの冒険者ギルドに行きますよ
ルー爺とサムさんとの宴はかなり遅くまで続きました。いやぁ、2人の話が面白いったら。さすが多くを経験している人生の先輩達です。そして僕は流石に眠くなり、この日はコンドミニアムスーペリアのお部屋で就寝。
朝スッキリとした目覚めでしたね!寝心地は最高!お酒もしっかり抜けて僕のお腹が空腹を訴えています。着替えて顔を洗ってリビングに朝食の準備をしに行くと……
「おはよう!トシヤ君!」「おそようじゃの」
何と!2人が僕より早く起きているじゃないですか!……ちゃんと寝たんですかねぇ。
「ん?気持ち良かったぞい。スッキリ起きるのは久しぶりじゃ」
「ここの寝心地最高だよ!毎日寝ている僕でさえスッキリ感が違う事がわかるよ」
どうやらしっかり寝たみたいですね。チラッとベランダを見ると、宴の片付けは朝の館内清掃の際に綺麗にされたみたいですね。いやぁ、助かります。2人は朝風呂も既に済ませたみたいですよ。やはり、お年寄りは朝が強いですねぇ。僕もちょっと寝過ぎたみたいですし。
「朝食はどうしますか?ここで食べてもいいですし、食べに行ってもいいですよ?」
僕が聞いたら、2人共ビュッフェレストランでの朝食がいいみたいですね。サムさん熱弁したんでしょう。「楽しみじゃ」とワクワク顔のルー爺を連れてエレベーターで一階に移動する僕ら。
朝から賑わうフロントでは、サーシャさんミラルさんが頑張っています。
「おはようございます!」
と朝から声を揃えて挨拶をしてくれる、グランデホテルのベルボーイ&ガールのライ君達に挨拶をしながらレストランに向かいます。
休憩所では本日も護衛のテラが待機してくれていますねぇ。あ、はい。ご飯食べに行って来ます。お客様もゆったりと過ごしていますし、ここも問題ありませんね。
「オハヨウゴザイマース!本日ハフィフスヨリ届イタ食材ヲ使ッテオリマスヨ!グレートボアのハンバーガー、新鮮ナトーマヲ使ッタミネストローネスープ、更ニライッチノシャーベットガ追加サレテマース!ゴユックリオ楽シミクダサーイ」
レストランに着くと、朝から元気なティモの声が僕らを迎えます。おお、ハンバーガーにローストサンドイッチも人気ですね。あ、サムさんがルー爺にまた説明してくれています。僕出番ないですねぇ。まあ、今日はまだ始まったばかりですし、席の確保に行きましょう。
そうそうルー爺の希望で、個室じゃなくて大広間の方で食べる事にしたんですよ。ワイワイしたところが好きなんでしょう。お、あの真ん中あたり空いてますね。
「おー!トシヤ達も今から食事か?」
「おや、ブライトギルド長にヤンさん。それにナイツさんにベルノさん、おはようございます。昨日はいかがでしたか?」
フィフスの冒険者ギルドを接待していたブライトギルド長もいましたねぇ。僕が皆さんに感想を聞くと、ベルノさんが興奮して話出します。
「素晴らしいですね!レンタルオフィスは勿論、会議室の設備、医療施設の充実、配送、大型モニター、全てが新しく我がギルドにも早速設置して頂きたいものばかりです。ホテルも、食事からフリードリンクコーナーから余暇の過ごし方まで新鮮な事ばかり!早く帰って協議する話を今していたところです!」
「まぁ、ベルノがここまで興奮するのもわかる。なんせ商業ギルドの連中は王都のギルドに遅れをとるまいと、今朝早くギルドに戻って行ったんだぜ。アイツら負けず嫌いだしなぁ」
「ナイツギルド長!何悠長な事言ってんですか!私達もこの後すぐ会議かけますよ!これから冒険者も移動してくる事が多くなりそうですし!」
「待て!ベルノ、例の風の痕跡何ちゃらに挑戦させてくれ!アレブランド挑戦して来たんだろ!で、奴らでさえ時間いっぱい出来なかったと聞いた!この機会逃すわけにはいかん!」
おやおや、ナイツさんも戦闘狂ですねぇ。と言うか、ブランドパーティも強制送還ですか。アルコ怒ってないですよね……?まさかまた何もつけずに行ったとか?
「おお!お前らも今食事か!ここは美味そうなものが多くて目移りするのぅ」
僕がアルコの心配をしていると、ルー爺とサムさんが食事を持って席に来ました。ナイツさんとベルノさんが言い合いしているのを見て「またやっとるんかい」と呆れて席に着くと、隣りでガタッと席を立つ2人。
「ルー爺!コイツまだ甘い事言ってますよ!ギルド長になったって自覚足りないんじゃないですか!」
「ルー爺!ベルノの石頭に何とか言ってくれ!時間がある今がチャンスなんだ!」
今度は2人共ルー爺を囲んでギャイギャイ言い出しています。なんか子供の喧嘩みたいですねぇ。
「じゃかましいわ‼︎お前らここはギルド内じゃないんじゃ!静かにせい!……全く……飯もゆっくり食えん。そもそも冒険者ギルドにまだ扉設置しておらんだろうが。今回はベルノの言う通りじゃて」
ルー爺の一喝で大広間のざわめきまで止めてしまいましたね。あ、サムさんは鼻歌歌いながらのんびり食べてますよ。マイペースです。そしてティモが優雅なクラシック音楽を流して、場の雰囲気を戻し、またざわめき出した大広間。流石のルー爺に言われるとナイツさんも弱いのか、悔しそうに座り直しています。ベルノさんは「流石ルー爺」とホクホク顔です。
「ウチの悪ガキ共が済まんの。トシヤ、悪いがこの後はワシも戻る事になる。執務を中断させて来たからの。ウチの執事と息子がうるさいんじゃ。で、さっそくで悪いが、冒険者ギルドにも出張扉設置してくれんか。案内は此奴らにさせよう」
「構いませんよ。ルー爺のお願いですからね。まあ、そのつもりでしたし」
と言う一幕がありましてね。ルー爺はフィフスに戻るそうなので、お土産コーナーから手土産を持って行く事を提案をする僕。ホクホク顔のルー爺は嬉しそうに何本もお酒を選んで行きましたよ。息子さん達のご機嫌直るといいですねぇ。
「またちょくちょく顔出すのでな!トシヤもフィフスの街に来る際は気軽に遊びに来るといい」
ルー爺はそう言い残して出張扉から戻って行きました。うん、これからはルー爺にはいつでも会えますからね。……寂しくなんかないですよ。
「さて!今度は俺らのギルドに来てもらうか!」
「全く……ルー爺に一喝して貰わないといけないの何とかしてくださいよ」
ぼやくベルノさんと一転してやる気を見せるナイツさん。僕はテラと合流していますよ。因みにブライトギルド長はヤンさんに引っ張られてセクトのレンタルオフィスに戻って行きました。
ナイツさんが先導し、向かうはフィフスの冒険者ギルド。フィフスも商業ギルドと冒険者ギルドは隣り合わせになっているみたいです。歩いて数分で到着出来る距離なんですよ。そして中に入ると冒険者ギルドの中は、流石に屈強な冒険者だらけです。
「おう!ギルマス!なんか面白い事なっているんだって?」
「ベルノさん!俺らも気軽に使える様になるんすか?」
「あれ?テラじゃねえ?おい、誰か「シトロン」と「パルス」呼んできてやれ!」
「あ?アイツらギルド長室で待っているって言ってなかったか?」
「ギルド長!ようやくお戻りくださいましたか!」
いやあ、中に入った途端ナイツさんとベルノさん、声かけられまくってます。僕が見たところ、ギルド内部は商業ギルドとほぼ一緒です。違いは左側が食堂になっているくらいでしょうか。中央に受付、右に依頼板があります。……しかし、今の時間でも人がいっぱいいるものですねぇ。
「おい、ボルク。アイツらいるらしいぞ」
「うわ……面倒臭え。トシヤ、さっさと終わらせて帰ろうぜ」
グレッグさんがボルクさんに話しかけてましたけど、アイツらってアイスドラゴンを倒したパーティですかね。ん?何か問題でも?
「アイツらの中で、唯一ボルクが苦手にしている奴がいるんだ」
僕が不思議そうな顔をしていたら、スレインさんがニヤニヤしながら教えてくれます。ん?何です、ジェイクさん?ああ、ジェイクさんも苦手なんですか。それはそれは……逆に会ってみたいですねぇ。
「トシヤ、待たせて悪いな!まずは……」
「ボルク!ジェイク!会いたかったあー‼︎」
受付嬢さんと話をしていたナイツさんに僕が呼ばれたタイミングで、何やら弾丸の様に2人に向かって行く人影がいるじゃないですか。
「げ!見つかった!」「クエラか!」
護衛をしている事もあって逃げられない2人に、ドーンと身体ごとアタックして行く小柄な女の子。ええ!あの2人を押し飛ばすなんて!
「こらー!クエラ!まーた先走りやがって!」
「おっせえよ、リムス。もう2人捕まってるぞ」
「お!スレイン、グレッグ久しぶり!ってああもう!」
おや、その後を大柄な男性が追いかけて来ましたね。しかも見てみると、片足ずつ掴まれたジェイクさんとボルクさんが痛がってるじゃないですか。あの2人かなり頑丈なはずですけどねぇ。
「わりー、止められなかったわ」
「お!初めましてだな!あんたトシヤか!」
「これだからパルスとテラ会わせらんねえんだよ」
「全くです。話が進まないんですから」
「お、ひっさしぶり!」
「元気だったか?」
これはまた後ろから強そうな方々が来ましたねぇ。しかもテラの皆さんを知っていますね。と言う事は……
「コラー!てめえら、俺が話してるんだっつーのに!勝手に出て来んな!ギルド長室で待ってろって言っただろうが!」
ナイツさんが後から来たメンバーを叱りつけてますが、軽く流されてます。ギルド長を軽くあしらうって事は三強の中の残り二パーティですかね。
これまた人数が増えましたねぇ。
僕覚えられるでしょうか?
アクセスありがとうございます!さてさて揃いましたよー!アイスドラゴン討伐勢が!次回は紹介+出張扉設置です。そして次回は7/19(水)ですね!宜しければアクセスしてみて下さいませ(*´꒳`*)