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ターミナル定期会議ですよ

 『では、セクト、王都、ドルナウ、シームズ商業冒険者ギルド定期会議を始めます。司会は私サムが行わせて頂きます。って堅苦しいね。さ、ターミナル会議始めるよ』


 サムさんらしいですねぇ。まあ、サムさんだから出来るって事でしょう。あ、今僕らはターミナルのエグゼクティブクラスの会議室に居ます。今回も各席に設置されているヘッドフォン付きマイクを利用しての会議ですよ。


 メンバーは出張扉を設置した街の商業、冒険者ギルドのギルド長と副ギルド長達。グランデホテルからは僕とシュバルツ様です。

 「後でじっくり話を聞かせてもらいます」

 シュバルツ様に会って早々に言われちゃいましたねぇ。覚悟しますか。そんな事を考えている僕に関係なく会議は進行していきます。


 『さて今回初参加のシームズから現状報告をお願いしようかな。まずは商業ギルドのイアン良いかい?』

 『はい。改めて初参加をさせて頂きます、シームズ商業ギルド長のイアンと申します。現在問題となっていたマールクラインの討伐、ジャイアントシーウィードの撤去作業はほぼ解決の見込みとなっております。唯一心配なのは、新たなマールクラインの出現です。ですがこの事については、うちの冒険者ギルド長タジーより報告させて頂きます』


 立ち上がって報告をしていたイアンさんの隣に座っていたタジーさんも立ち上がって報告を始めます。


 『あー、シームズ冒険者ギルド長のタジーだ。堅苦しい言い方は苦手でな。始めに謝罪しておく。で、現在マールクライン討伐後、陸からだけでは警戒が難しい為、グランデホテルの旅行代理店の協力を得て警戒をしている。討伐から警戒までグランデホテルには世話になってばかりいる。改めてこの場で礼を言わせてくれ』


 タジーさんが僕らに向かって頭を下げると、イアンさんを始め頭を下げるシームズの皆さん。いやいや、お気になさらず、という意味を込めて頷く僕。シュバルツ様は黙って受け入れています。


 『話を戻すが、警戒に当たって海原への誘い(いざない)の扉を利用させてもらっている。ここもその扉だけ年間契約という特殊な契約をしてくれた事に感謝する。その扉を通して常に警戒をしているおかげで、今のところマールクラインの姿はみていない。おかげでうちの冒険者の間で人気の依頼になりすぎて、少々揉め事が多くなったがな。ウチは以上だ』


 苦笑しながら話を締めるタジーさんが座ると、今度は商業ギルドイアンさんが話し始めます。


 『更に商業ギルドでもグランデホテルにはお世話になっております。ジャイアントシーウィードの開発に当たり、我が街からも職員を派遣させて頂いております。また商品の販売権利を我が街とグランデホテル系列のみにしてくださった事により特産品が増え、漁師の収入増加により賑わいが戻って来ました。

 更に、最近各ギルドに設置された大型モニターにより人々の関心が高まり、料理の発展やギルドへの貢献度を積極的に取り組む姿勢が街中に広がっています。もはや、ターミナルへの入場権利やホテルへの宿泊権利は我が街ではステータスとして捉えられております。報告は以上です』


 イアンさんが僕に頭をぺこりと下げてから席に着きます。そうそう、後日知ったんですけど、貢献値が貯まると一日限定ホテル体験が与えられるんですって。なんせ今やシームズ人気番組の「グランデホテル物語」、繰り返し流されるホテルの施設の紹介、ターミナルやホテルで買えるショッピング番組が、かなーり影響を与えているみたいです。嬉しいですねぇ。


 更に嬉しい事にその商品番組からヒントを得て、独自の商品を街でも買える様に工夫する職人さん達が増えて来たそうです。創作は模倣から始まりますし、ドンドンやっていって欲しいものですね。


 僕がうんうん頷いていると、その様子を見てにっこりするサムさん。


 『うん、シームズはいい感じだね。じゃ、発展を遂げているドルナウからはビスタ、報告いいかい?』

 『はい。ドルナウ商業ギルド長ビスタと申します。ドルナウではターミナルとホテルの協力により、流通経路が大幅に変わり一部商店だけが利益を得るという悪循環から抜け出す事が可能になりました。更にセクトの街、王都からの大工職人の急激な増加により、破壊された家々の復興が全体の7割にまで上がっています。被災者支援も整い、ドルナウの街全体が以前の姿を取り戻しつつあります。ご協力頂いた各街の皆様、グランデホテルに改めて感謝を申し上げます』


 ビスタギルド長の報告に立ち上がり、礼をするドルナウ支部の皆さん。うんうん、カディル人問題も今や問題にすらなっていないんですよね。まあ、個人では色々あるでしょうけど。ま、これは時間のかかる問題ですからね。そう考えていると頭を上げたビスタギルド長が話を続けます。


 『そして、皆様にご迷惑をおかけしたこの男の処遇を、この場にて決議できたらと思いまして連れて参りました』


 スッとドルナウ冒険者ギルド副ギルド長のジードさんが立ち上がり、会議室の外から青白い顔をした若い男を連れて戻って来ます。


 『この男が元凶のドゴス(19)です。コバディ商店の職員の奮闘により、現在商店から追放され無職です。またドルナウの街にて、生活が困難の為一時ギルド預かりになっておりました。この男、偏見が極端になったのは隣国ゲセナに行ってからという事もあり、問いただしてみましたらゲセナからの刺客として送られて来た事が判明しました。この点はシュバルツ様も前回の定期会議の際、隣国に訪問し確認を取って来てくださいました』


 おや!こんなところで前回シュバルツ様が欠席した理由がわかるとは!驚き隣を見るとスッと立ち上がるシュバルツ様。


 『話の途中に失礼を。この男の処遇は王国預かりにさせて頂きます。現状詳しくは申し上げられませんが、いずれ報告致します』


 そして何処かへ電話をかけるシュバルツ様。すると、デノンさんと共に王宮の兵士さんが会議室内に入って来ます。兵士さんがドゴスを連れて会議室を後にした後、デノンさんがシュバルツ様の隣に座ります。道理で一つ席を空けていたわけですねぇ、と一人納得する僕。そしてシュバルツ様より報告が続きます。


 『ここで王直筆のお言葉をお伝えさせて頂きます。[この会議に出席している街の代表でターミナル議会を新たに結束する。グランデ国営化メンバーの下いずれ国内に増えて行く出張扉の設置統率権利を議会に授けよう。また設置予定の辺境伯の領地フィフスの両ギルド、ダンジョンの街ディゼラの両ギルド代表も議員予定とする]とお達しがございます。

 ターミナル議会が決定した事が民の声として、王またグランデ国営化メンバーのもとに直接届く事となります。是非皆様が公明正大に運営してくださいます様宰相代理として依頼致します』


 シュバルツ様が座った後もざわめく室内。そこをしっかりサムさんの声がまとめに入ります。


 『はいはーい。みんな急な事で驚くだろうけど、今やこのターミナルとホテルは国にとって重要な機関だからね。皆んなの腕が問われるよー!頑張っていこう!』


 サムさんの肩の力が抜けた言葉が、逆にやる気を与えたのか真剣な空気に切り替わった会議室内。うん、サムさん上手いなあ。すると今度はデノンさんから報告が入ります。


 『あー、いい感じになった所で、亜空間ターミナル運輸・配送・宅配総合管理職として報告させてもらうぞ。現在グランデ宅急便センター職員が辺境伯の街フィフスに後数日で到着予定だ。ドルナウ、シームズも引き続き援助しつつ、次はフィフスの街と繋がる事になる。冒険者ギルドの諸君!喜べ!あの強者達といつでも繋がる事が出来る様になるぞ!自分の街の冒険者を鍛えて貰え!商業ギルドは気をつけろよ〜!あの強かな奴らが参入だ。まあ、より活性化する事を期待する!以上だ』

 

 報告と共に両ギルドを激励するデノンさん。その言葉に各ギルドも顔つきが変わって来ましたね。


 いやあ、楽しみですねぇ。辺境伯の領地フィフスの街ですか!どんなところでしょうね!


 ワクワクしていた僕を見ていたサムさんが、進行を再開します。


 『さて、じゃあ僕から早速ターミナル議会に議題を提供しようか。議題は「出張扉を設置した各ギルドへの大型モニターの配置について」。みんなの意見を聞こうじゃないか』


 ニヤニヤしながら僕を見るサムさん。すると、シームズ以外のギルドの皆さんがバッと僕を見ます。あれ?なんかいやな予感がしますよ……?


 シュバルツ様は「影響力の事を考えて行動しないからですよ」とにっこり笑っているじゃないですか!えええ!だってティモからの提案だったんですよ!


 っていっても後の祭り。僕は各ギルドから年間契約金を頂いた上で、直接設置に歩く事が決定してしまいました。


 ……お金より僕にのんびり過ごす時間を下さい……

アクセスありがとうございます!さあ、ターミナル議会が出来ましたよ!そして次回は辺境伯の領地フィフスです!どんな街でしょうね?次回更新は7/1(土)です。宜しければアクセスしてみて下さい(*´꒳`*)誤字報告もいつも本当にありがとうございます!お世話になります!

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