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ドルナウの街の再興に向けて 提案発動ですよ

 「トーシーヤー!お前は専属護衛を何だと思っているんだ!」

 「れーなひゃん、いひゃい、いひゃい!」


 はい、現在レイナさんに頬を引っ張られている僕です。

 なんでって?


 「良いか!確かにデノンさんは強い!が!お前と専属護衛契約したのは私達だ!なぜ一言も言わずに動く!」


 そう、実は僕、昨日護衛メンバーに会ってないんですよ。なんかすれ違いだったらしくて、ようやく捕まえたのは昨日の夜僕が寝ていた時で、レイナさんの怒り爆発。で、今日起きて来て挨拶したと思ったら冒頭の状況です。いやぁ、面白いくらいすれ違ったんですねぇ。って、呑気に思っていたら、顔に出てたんでしょう。頬から手を離してベシッと頭を叩かれました。


 「あだっ!うう……顔が伸びるかと思いましたよ」

 「もう一発喰らうか?トシヤ?」

 「いえ!以後気をつけます!」

 「絶対だ!」「はいい!」


 未だ怒り足りないレイナさん、腕を組んで仁王立ちしています。僕も流石に悪かったなぁ、と思って土下座している様子を爆笑して見ていたザックさん。


 「だあっはっは!ひー、やべえ!トシヤの顔ツボったわ!なんだよあの顔!どこまで伸びんだ!」

 

 僕の様子を見て、床に転がりながらお腹を抱えて大爆笑中です。ガレムさんなんか「トシヤはスライムだったか」と真面目な顔でいうものですから、「や、やめろ!ガレム!これ以上笑わすな!」とザックさんをより笑わせています。でも怒っているのはもう1人。


 「じゃあ、次は私の番ね」と指を鳴らしながらティアさんが近づいてくるじゃないですか!ひええ!笑っているのに怖い!


 「良いかしら!こうなりたくなかったら絶対忘れないことね!」

 「あだだだだ!ギブ!ギブですってぇ!」


 なんと僕を肩に担ぎ上げ、のけぞらせた状態にし、腰を圧迫するアルゼンチンバックブリーカーをかけているティアさん。こ、腰があああ!その後も、僕の背後から片足を僕の片足に絡ませ、僕の片腕をティアさんの脇で圧迫してのけ反らせ、ティアさんの両腕で僕の首を固定して圧迫するコブラツイストをかけられました。ぎええええ!ロープ!ロープ!


 「……全く、今日はこれくらいで許してあげるわ!」とティアさん。うう……護衛は怒らせるものではありません。そしてプロレスは冒険者に見せるものではありませんね。肝に銘じておきましょう。ってザックさんが笑いすぎてピクピクしてますよ!ザックさん!ザックさん!


 「まいったぜ……笑い死にするところだった」

 「そんなやわな身体してないだろうが」


 しばらくして復活したザックさんの呟きに、ツッコミを入れるガレムさん。いやいや、こっちは本気で死ぬかと思いましたから!そんなやりとりをしながらヨロヨロ歩いている僕とザックさん、平然と歩いて行くレイナさん、ティアさん、ガレムさんの5人で向かっているのはターミナルです。


 「あー!やっと来た!……ってなんでトシヤ君そんなヨロヨロなの?」


 目的地のインフォメーションセンター前のドルナウ救助本部(仮)に着いた僕を見て声をかけるサムさん。僕が理由を伝えると……


 「そりゃトシヤあんたが悪い」とアインさん。「あははは!なにその技!」とかけられた技に注目するシャラさん。「護衛対象が捕まらなくてどうする」と呆れた様に言うジードさん。「お!凄えなそれ」と一日すれ違いだった事に興味を示すブライトギルド長。隣りのヤンさんの目が光ってますよ。「まぁ」「おやおや」とニコニコ今日も優雅なシロカ様とキーン様。他のメンバーは苦笑してますねぇ。


 そうです。昨日の3都市ギルド&グランデホテル合同会議のメンバーが今日も朝から揃いぶみです。昨日の僕が言った宅配センター(亜空間外出荷可能)MP120,000の設置を見るためです。当然今日はこの人もいますよ。


 「その気持ちよくわかります。オーナーはもっと自分の立場の認識を高めてもらいたいものです」


 そう、シュバルツ様も本日はご出席。ユーリ様、イクサ様、デノンさん、カーヤ様もいますよ。みんなシュバルツ様の言葉に頷いてますけど、僕一般人だと思っているんですけど……え?こんな一般人いない?おやまぁ、まぁ気にせず設置しちゃいましょう。


 「ではエア!やっちゃいましょう!」

 「畏まりました。MP120,000消費して宅配センター(亜空間外出荷可能)を設置致します。皆様目を閉じて下さいませ」


 エアが珍しく目を閉じる様に指示を出す事に、即座に理解したメンバーは目を閉じましたが、慣れていないドルナウメンバーは「うわぁ!」「これは!」「なんだいなんだい!」「くっ!目が……」とタイミングを外したみたいです。ありゃりゃ。


 「設置完了致しました」というエアの声に目を開けてみたら、なんと!インフォメーションセンターの隣りにカウンターができているじゃないですか!もちろんカウンターには固定タブレットが5台、その後ろには大型モニターが設置されています。これは……!


 「初めましてオーナー!設置ありがとうございます!グランデ宅急便センターのハヤテです!宜しくお願いします!」「同じくヤスです!宜しくお願いします!」「同じくシンです!」「同じくセイです!」「同じくソクです!」


 おおう!今度は爽やか青年男子5人組の登場ですか!大型モニターにアップに映ってから、カウンターの固定タブレットに左から順に入って?行くハヤテ達。帽子と同じ宅配便コスチュームを着た5人。みんな某宅急便の様に爽やか青年はいいのですけど、名前が気になる僕。左から「早い」「安い」「安心」「正確」「即日」配送って事でしょうか。うん、安定の僕テイストな名前です。


 「ええと……ハヤテでしたか?グランデ宅急便センターの内容を教えて下さい」

 「はい!まずはこちらをご覧下さい!」


 〈グランデ宅急便センター〉

 【営業時間】24時間営業

 【業務形態】配送、運送、宅配

 【亜空間倉庫】時間停止、現状維持、AIによる荷物識別管理、グランデ宅急便配送車付属タブレットでの出し入れ可能。梱包不要。

 【配送車メンテナンス】全車両毎日 ON/(OFF) MP5,000

 【スタッフ認証発行機】未設置(設置にMP10,000必要)

 【亜空間車庫内空調、防臭、防音】常時 ON/(OFF) MP3,000

 【……】


 「となっております!因みにオーナー、スタッフ認証発行機を設置したいのですが宜しいですか?」とハヤテ。うーん、相変わらずAI有能です。許可を出すとスウッとカウンター前に出てくるスタッフ認証発行機。この発行権限はハヤテ達AIと僕のみ。どうやらカウンター奥の扉の入室、配送車の鍵代わりになるそうです。当然、盗難対策、個人識別機能搭載だそうですよ。


 「まずは依頼方法からご説明します!」と今度はヤスがモニター画面も使って説明します。どうやら受付は基本ここですが、商業ギルドの許可さえあれば受付だけは、各商業ギルドの窓口で行えるそうですね。但し、訓練したグランデ宅急便の職員がタブレットで受付するそうです。これを聞いたサムさん、シロカ様は即座に挙手。ビスタギルド長はレイノルさんと確認後挙手をして提携を確約。


 具体的な流れはこうだそうです。


 商業ギルドもしくはグランデ宅急便センターで受付&清算→スタッフが専用配送車にて集荷に訪問→タブレットで亜空間倉庫に収容→ハヤテ達により配達員に連絡→新たなスタッフが配送先へ専用配送車にて現地へ直接お届け→タブレットから荷物を出して、受取り完了サインもしくは押し印(指でも可能)を貰って完了。だそうです。勿論長距離かけて商品を仕入れに行くのも可能ですって。……ほほう、いいじゃないですか。僕の考えていた通りです。


 「そうでしたか。オーナーはグランデ宅急便センターで輸送問題と雇用問題を解決するおつもりですね」とシュバルツ様。それを聞いたドルナウメンバーは、バッと僕を振り返ります。


 「そうなんですよ。これで街の人も真面目に勤めて頂けるなら、雇えるかなぁって。ついでに始めの方でサムさんと約束していた街にも出張扉付き専属車で移動してもらって、どんどん出張扉の開通を目指していけたらなぁって思いついたんですよねぇ」


 気の抜ける僕の話口調に何故か頭を抱える皆さん。どうしました?


 「……ぶっ、あっはっはっは!成る程ねえ!これがすぐに準備出来ちまうとは!恐れいったよ!」とアインさんの声を筆頭に笑い出すみなさん。「ははっ!なんでしょう、私達が悩んでいた事が一瞬で解決手段が見つかるとは!」とビスタギルド長。「まだ中を見ていない状態でこれですからね」とくすくす笑いながらレイノルさん。「こいつぁ、驚いた」とジードさん。ドルナウメンバーが嬉しそうに笑っています。うんうん、いい事です。でもまだですよ!


 「まぁまぁ皆さん、まずは中も確認しましょうよ」


 僕の声に「相変わらずだ」「トシヤ君だからね」「全くです」と言いながら移動し始めるセクト、王都ギルドメンバー。ニコニコのシュバルツ様達を含め、「さーて今度はどうなっているんだ?」とクライムメンバー達。みんな慣れて来ましたね。さ、ドルナウのギルドメンバーの皆さんも行きましょう。


 そして入った内部は……


 「何だここ……」「めちゃくちゃ広いじゃねえか!」「うおー!俺らでもみた事ねえ車じゃね?」「は?ターミナル内ですよね?」「どうなっているんだ……?」「すごいじゃないか!」……などなど圧倒される皆さん。いや、僕もですけど。


 飛行機の格納庫ですか?というくらいの広さに50台はある小型車と長距離専用の車両がズラリと並んでいます。入り口扉のすぐ左横には男女別トイレ、右横には男女別ロッカールームに20人は休める休憩所もあります。


 ズラリと並ぶ車はシンが亜空間車庫の館内アナウンスを使って説明してくれます。


 『まずは1人用M(魔素)V自動車のTO◯OTAのCO◯Sデザインの配送車!1MPで25km走行可能。誰でも運転可能な安心設計、低燃費、亜空間セキュリティ機能搭載!狭い道でもラクラクの配送車!』

 「「「「「おおおーー!!」」」」」


 なんでしょう、モーターショー見てる見たいですよ。なぜにスポットライトがあるんでしょう?この車庫?みんなが驚いている中、1人ツッコミを入れる僕。そんな僕に構わず紹介は続きます。


『次に長距離用配送車の説明は私ことセイがご案内します!長距離に適したミニバン!◯産セレ◯e-POWER デザインのMV車です!モーター駆動のため、加速性能も申し分ありません!こちら1MPで20km走行可能!距離数は少ないですが、フル乗車人数でも変わりません!勿論亜空間セキュリティ機能搭載、個人認証機能搭載、更に出張扉もつけば日帰りでの勤務も交代も可能!ここはオーナー宜しくお願いします!』

 

 「成る程!」「スタッフ専用か」「俺らにはレンの車があるしな」とここは慣れているメンバーから声が聞こえて来ます。ドルナウメンバーは「「「「おおー!」」」」って驚いていますけどね。そして最後にソクがまとめます。


 『最後に補足事項は私ことソクがお知らせします。基本車庫に戻って来た車体はすぐメンテナンスに入ります。車内清掃、エンジンルーム点検は怠りません。そして車内に搭載されているタブレットは集荷、お渡しの際に取り外し可能。タブレットには現地までのナビゲーターも搭載。迷子はありません。さあ、後はスタッフだけです!皆さん、まずはやる気のある方を面接にカウンターまでお連れ下さい!』


 ソクが言い終わる頃には、既に3都市両ギルドの面々で話し合いが始まっています。主にドルナウから来るでしょうけど、人数は欲しいですからねぇ。


 あ、デノンさんを始めシュバルツ様達、クライムメンバーも早速乗ってますねぇ。ここ広いですし、試乗運転も可能ですからね。ああ、ここにいる人達は試乗可能にしといたんですよ。絶対乗りたいって来るでしょうからと思って。うん、やっぱりですね。さて、僕も話し合いに加わりますか、と動き出したらエアを通してレンから連絡が。


 「オーナー!ちょっと見に来て下さいっす!これ凄いっすよ!」


 おや?レンがそういうのは珍しいですねぇ。

 どれ、行ってみましょうか。

アクセスありがとうございます!遂に100話目です!皆さんに勇気づけられてここまでこれました!という事で6/4の近況ノートにて100話達成記念SS「護衛メンバーとトシヤの過去」を掲載します!これの背景は34話「さあ宴会です」の一場面。現在執筆中にて予告です。すみません、今日に間に合いませんでした^_^;お待ち頂けたら幸いです!え?なんでこっちに更新しないかって?すみません、需要あるかなぁって思いまして(>_<)←ヘタレです。

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