鳴らせない風鈴
嫉妬深いです。
どんな風になら
涼やかな鈴の音を聞かせてくれるのか
願わくば あんたを揺らす風になりたい
おれは まだちゃんと
その音色を鳴らせちゃあいないだろうから
風のない昼さがりのはなしなら あきらめもつくものを
おれが吹きやんだそのあと のらりと やってきた風に
あんたは ちりんと鳴ってみせやがる
おれにしてみれば どこぞのだれかのためにゃあ
鈴の音を聞かせてやるなんて
どこの風になら
ころがした鈴の音を聞かせてくれるのか
叶うなら あんたと揺れる風になりたい
おれは まだきっと
その音色を知らないままなのだろうから
風のない夕闇でのはなしなら 悔しさも紛れるが
俺が吹き荒れるそのあいま そよりと わりこんだ風に
あんたはちりんと鳴ってみせるのさ
あんたにしてみれば どこぞのだれかのおれにゃあ
鈴の音を聞かせちゃあくれねえよな
愛しいひとよ
おれはあんたを鳴らせる風に
いつかはなりたいもんだぜ