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世界を手に入れるということ
整備された港には幾百の艦船がずらりと並び、優雅な装飾が煌めく石作りの巨城には、幾千の旗が旗めいている。赤地に金色の剣が交差する旗は、100万を超す城下の民達の情熱の象徴となっている。
人と富、そして自由な情熱が溢れるこの街は、とある領主が1世代で作り上げたものだった。それも、彼が作り出したのは街だけでは無い。人間の営みそのものだったのだ。
これは、時代の転換点に生まれた貴族の少年が、人が生きることにとことん向き合い、多くの人の人生を変えて行く物語だ。