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450日目その1 はっぴょー

「はい、当日なの。頑張れ☆頑張れ☆」


 !?!????



 ありのまま起こったことを話すぜ!



「御託はどうでもいいの。カットしただけなの。ていうか、その「!?!?」系列のは、前話の末尾でもやってたネタなの。天丼にもほどがあるの。ほらほら、がんばるの」

「え、うん。わかったわ」


 だからメタいとか、このネタかまさしてるのはこっくり達サイドではとか、言いたいことはあるけど、ぐっと呑み込もう。



「思ってる時点で、言ってるようなもんなのー」

「うるさい」


当日って思うと、めっちゃ不安。でも、カットした時間の流れの中で練習した記憶がある。大丈夫! エッグい回数修正したポスターを指定の場所にえいやっとはっつけて、そこで待機……と思ったけど、トイレ行ってこよっと。まだ始まるまで、時間あるしー。



 ふぅ、すっきり。戻…りたくないなぁ。なんか既に人がものすごくいる。



「あ。質問いいですか」

「はい。どうぞ」

「何でクロムを使おうとしたんですか?」


 い、言えない。ミスっただけなんて言えない……! でも、大丈夫! カバーストーリーは作ってある!



「はい、それはですね、クロムには(中略)だからです!」


 (中略)のとこはまともに説明してるけど、略してるだけだから安心してね!



「なるほど、ですが、クロムは重金属であり、特に六価クロムには強い毒性がありますよね?」

「作ることが目的だったので」


 そんなとこまで考えてないよ! 普通なら安全性とか考慮するんだろうけど、こちとら、怪異ぞ? そんなとこまで考えてないよ! 処分は廃液入れにポイしたらなんかいい感じになるし!



「今後はどういう方針で研究されるんですか?」

「両輪でやる予定ですね。量産化法を探しつつ、安全に作れる方法を探していきます」


 正直、量産化優先したいけど、今の時代の流れだとしばかれそうだもん! SDGs! SDGs! Sustainable Development Goals! 持続可能な開発目標ってうるさいからね!



「具体的な方法は?」

「量産化はこれを連続化しようかと。安全な方法は六価クロムが危ないですが、三価クロムはそれと比べると安全ですし、三価に出来ないかなと」

「なるほど。なら、こういう(すごく参考になる)方法はどう?」

「検討してみます!」


 いける気がする。ものすごく。



「審査員でーす。説明お願いします!」

「あ。了解です!ごめんなさい!安納教授」

「いえいえ。聞きたいことは終わったので」


 親切。よーし、なら、審査員さんと話さないと。



「では、私、雷 芽衣が発表させていただきます。近年、」


 ちゃんと指示棒で指さしながら、説明。練習のかいあって噛まずに、制限時間ほぼぴったりに答えられたはず!



「素人質問で恐縮ですが…」


 止めて。その枕詞は基本的に「お前を殺す」なことの方が多いって聞いてるやつら!



「この材料内ではどのような原理で超電導現象が起きているのでしょうか?」


 うわぁー! めっちゃめんどいやつー! 今調べてる最中で全然知らんやつー! でも、なんか答えないと「知らない」で議論が終わっちゃうから、今、立ててる仮説を喋るしかなーい! まぁ、想定質問なんだけど。



「|こういう《今考えてる、それっぽい》原理で…」

「ふむ、なるほど。ですが、それよりも|あれそれという原理《検討して違うかな?と思った仮説》がこうこうの(わたしが考えてない)観点からあると思うのですが?」


 あー。確かに。そっちのがありそう? あ、でも、



「今、手元にはないですが、こういう(説明にちょうどいい)データがありまして、その仮説とは反するような気がします」

「なるほど…。でも、今、見せてくれてる過程だと、そっちの方が……。うーん、やっぱりデータ足りてないね」


 それ、こっちが一番分かってる! 素材できた! やったー! を重視してるんだから、そっちまでやってるわけないでしょうがー! それまでわかったら、また別の学会出れるしー!



 さすがに論文は分けないと思うけど!



「なのですよね。なので、なんとかという(都合のいい測定)装置を借りて、調べるつもりです」

「なるほど。楽しみにしてる」

「ありがとうございます」


 よし、とりあえずこれで審査員さんその1は乗り切った!



「あ。終わった?なら、ここを簡潔に説明して」


 全部じゃないの!? 変則パターンもあるとは聞いてたけど、やーめーてー。もう賽は投げられてるから、止めようないけども!



「ここはこうなって(中略)(渾身の解説)です。ご質問はございますでしょうか?」

「了解。わかった。ありがとう」


 え。質問ないの……。それは楽だけど、ちょっと寂しい。



「あ、なら、聞いた人じゃないけど、俺から質問」

「どうぞ!」


 質問だけかー! 発表練習したのに、質疑ばっかしてるー!



『発表と質疑は基本1:1なのー』


 こっくり、あいつ直接脳内に!? って、遊んでる場合じゃなーい! 質問ちゃんと聞かないと!



「ここの定数の算出法は?」


 めっちゃ簡単だったー! やったー!



「これはグラフ使います。プロットに対して円を描いて、接線を引きます。接線がx軸と交わったところです」

「あー。そういうのなのね。意味は?」

(略)(簡潔な説明)です!」

「ありがとう」


 よっし! さぁ! 次!



「「「あ、じゃあ」」」


 ……被ったー!



「「「どうぞどうぞ」」」


 ……日本人特有のあるある。えぇーと、こういう時は一番お時間なさそうな人を…



「審査員でーす」

「はーい!ごめんなさい。後にしてください」

「「わかった。他行ってくる」

「私は全部聞かせてだったので」


 よし! うげ。なんかめっちゃ増えてる。でも、頑張る! わたしに、撤退は、許されない!

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