表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生精霊女王の気ままな第三勢力始めました  作者: シロヌッチ
女王☆爆誕
16/25

少年視点

こんぬっちー

俺の名前はライアン。単なる精霊の森の近くの村に住んでいる農民のせがれだ。


俺の住んでいる村はとても新しい。なにせ20年ほど前に作られたばかりだ。

俺が生まれる10年前、オラグリアという大陸一の広い領土を持つ国から若い領主によって作られた。


当初の理由は森の木々を切り倒し、材木や木炭などといった加工品にして国に納めるために作られた。


この森の木々は他の森や林などの木よりも頑丈で太く、とても質の良い木材になるのだとか。

まぁ農民の俺らからしたらどれも同じに見えるが。


そして俺が13になる頃。その時には妹と弟が生まれていた。弟は10歳、妹に至ってはまだ2歳だ。それぞれクリスとマリーという。


その日、俺はいつも通りに親父の畑仕事について行き、クリスと共に手伝いをしていた。


ちょうどジャガイモの収穫の日で、3人でそれぞれ同じ本数選び、誰の選んだやつが1番じゃがいもの量が多いかで競ったりしていた。ーちなみに1番多かったのは親父の選んだもので俺とクリスは同点だったー


3人でたくさんのジャガイモを抱えて持ち帰ると事件は起こっていた。


帰ってくると床にへたり込み咳き込む母と、そのすぐそばで大泣きしているマリーがいた。


「母さん!どうしたんだ?!どこか苦しいのか?!」


「母さん!大丈夫?!兄さん!どうしよう…!」


俺とクリスはジャガイモをその場に転がし、すぐさま母のもとに駆け寄って呼びかける


親父は先に農具を片付けにいっていたため少し遅れて入ってきたが、俺たちを見てすぐさま血相変えて寄ってくる


「か、母さん!どうしたんだ?!ひどい熱じゃないか!しっかりするんだ!ライアン!井戸から水を汲み上げてきてくれ!クリスはマリーをあやしとくんだ!ほら、母さん、ベッドに行こう!」


俺は慌てて井戸に走って行った。


母さんをベッドに寝かせ、井戸水で冷やした布を額につけ、落ち着かせてから村にたった一つの治療院にいるお医者様に見せてみた。どうやら風邪らしい。それもかなり酷い。下手したら死に至るそうだ。それだけでもまずいのに、不運はやはり続くのか、ちょうど数日前にも同じ風邪で寝込んでいた家庭ーここからうつれたらしいーがあるらしく、そこで薬を使ってしまったため、切らしてしまっているのだそうだ。


このままでは母さんは……なんとかならないかとお医者様に聴いてみたところこの森の中にその薬の材料である薬草が生えているのだとか。


だが、その薬草が生えているのはどうやら森の少し奥の方で、ゴブリンなどの魔物が生息しているのだとか。


定期的にきてくれる冒険者にとってきてもらうか、ここから1番近い街に買いに行くか…冒険者が来てくれるのは十日後、街に買いに行くとしても、街にたどり着くまで早くて七日、往復するだけで十四日掛かってしまう……


そこで俺は決意した。


「俺が薬草を取ってくる!父さんとクリスとマリーは母さんのそばで見守っててやってくれ」


「に、兄さん?!だめだよ!さっきの話聞いてた?ゴブリンだよ?!魔物だよ?!食べられちゃうよ!」


「そうだ!クリスの言う通りだ!大人しく冒険者が来るまで待とう!」


2人して俺を止めてくる……だが…


「そんな悠長に待っていたら母さんが死んじまうかもしれないだろ!!……大丈夫、ちょっと取ってくるだけさ…魔物に見つかっても、ごぶりんぐ来なら走って巻けるだろう。」


そう言って俺は採取用のナイフと入れるための袋、それと水を入れた皮袋と食料として黒パンを持って森へと飛び出した。



森に入ってから数時間。そろそろ魔物が生息する区域に入りそうだ。俺は近くの木の下に腰掛け、黒パンを齧り、水を口に含んでほぐしてから飲み込む。


「あと少し……もう少し行けば薬草が手に入る……待ってろよ母さん……すぐに薬草を持ち帰ってやるからな…」


そう呟きながら少し休んでいる……すると頭の上に何かが落ちてきた感触がした……


なんだ?葉っぱでも落ちてきたか?


ポタッ……ポタッ…


いや違う……これは…水?


しかし雨が降っているわけではない…俺は恐る恐る上を向く……そこには…



こちらを見下ろしながら涎を垂らした緑色のツノの生えた生き物……そう、ゴブリンがいた。


「……で、でたぁぁぁあ!!!」


俺は慌てて立ち上がり、森の奥へと逃げて行った。そう、村の方へ逃げればまだ助かったのかもしれないのに…



森の奥へ走ってすぐにまたゴブリンと遭遇した、しかも複数体だ。前方に三体、さらに後ろには、先ほどのゴブリンと他にもう二体…どうやら囲まれたらしい……



そういえば……こんな話を聞いたことがある……

ゴブリンは見た目からは想像がつかないほどに知能が高く、集落を作り、集団で生活し、集団で狩りをするそうだ……さらにはオオカミといった獣を従えることもあるのだとか……



最初からゴブリンは一体で動くと思っていた俺はなんと愚かだったのだろうか…


「……くっ!そこをどけぇ!」


採取用のナイフで前方のゴブリンに斬り掛かる……


しかしそれをゲラゲラと笑いながらゴブリンはひらりと避け、他のゴブリンが背中のガラ空きな俺に容赦なく錆びついた剣を振り下ろす。



「がぁぁぁあっあ?!」


その件は迷いもなく俺の背中を斬り血を滴らせた


俺は背中に激つを感じつつもフラフラと立ち、さらに奥の方へと逃げて行った





何時間逃げたのだろう。もしくは何時間も経っておらず、数分しか経っていないのかもしれない。


もはや時間が過ぎているのかさえもわからない。


ゴブリンたちは相変わらず俺を追いかけて愉しんでいる。たまにこちらに小石を投げてくる……それが当たる度に、背中の傷が痛み、転ぶ……そしてまた立ち上がり逃げる…完全に遊ばれている…


誰か……助けて…


そう願った瞬間…周りの木々から枝が伸び…俺を通り越してゴブリンたちの方へと伸びていく……


今度はなにがきているんだ?!訳がわからず、とにかく助かりたい俺はまだ逃げる…


しばらく逃げ回っていると……空から女の子が降りてきた……身長は俺よりも低く、クリスと同じぐらいだから10歳ほどだろうか…?とても綺麗で、その女の子のまわりはキラキラとした光が舞っている


それと同時に後ろを見る……先ほど伸びていた枝がゴブリンに突き刺さっている


な、なにが起こっているんだ?


訳がわからずオロオロしている俺を見てその女の子は一言……


「………大事はないか……人間よ」


「………あ……え……き、君は?」



思わず聞き返してしまう


「我は精霊の女王、この森を統べる者だ」


とても神々しく煌めいていた……命を救ってくれた女の子は……精霊の女王だった。

少年の名前地味にかっこよくない?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ