フォース村
フォース村
地底湖から約1時間歩くと4つ目の村が現れた、その洞窟には空から明りが燈っていた。
そこは不思議な空間、外の灯りが水晶鉱石に反射して、昼は明るく夜は暗くなる。
そして最大の特徴、その村には畑が有った。
「ようやく半分か」ドーン
「ここまでで約60kぐらいかしら」アリスリア
「見えて来たぞ」隊長
「わ~明るいね」ラポーチ
洞窟の先が明るくなってきたため何故か足取りも軽くなって行く。
「お~よくきたのう」フォース村村長 ダダン
「ゴッゾニア帝国近衛隊隊長ゼック・ガラナンだ」
「ようこそわが村へ」
進んで行くと中はかなり広く、そして数キロはあろうかという広さが有り、そこには畑が有った。
「へ~畑が有るんだね」レドラ
「こりゃシャクイモか?」
【ニジンもあるな】
畑のあちこちでは収穫と同時に種植えも行われていた、洞窟の中は基本的に温度が一定だがこのフォース村だけは違っていた。
日差しが入る昼間は28度まで気温が上がり夜になると15度まで下がる。
植物も太陽光が入ることにより光合成ができる為、葉物の植物も育成可能になっている。
但し水は貴重なため田んぼは難しいと言う。
畑の中ほどまで進んで行くと居住区が見えて来た、そこには石作りの家が立ち並ぶ。
「いい匂いがしてきた」ラポーチ
ラポーチがそういう間もなく聖竜オーパは頭から飛び立つと匂いの方へと飛んでいく。
「あ!」
そこには屋台が出ていた石作りの屋台が数軒並んでいる、そこへ向かって飛んで行くオーパ。
だがそこにはこの村で暮らすはみ出し者が一人待ち構えていた、その男はオーパを見て害獣だと決めつけ持っていた棒で攻撃してきた。
「バシン!」
「この虫が!」ガット
「キューキュー」
「何するの!」ラポーチ
ラポーチがオーパを抱きかかえると、目の前の男はさらに暴力を振るおうとするが、その前にアリスリアによってその振り上げた棒は腕ごと弾き飛ばされた。
「シュッ!バシッ!」
「ぐあ~」
「あんた何するんだい!」レドラ
「くそ~いて~覚えて居ろ」
「覚えたくないからここで死んでもらうよ」レドラ
「な なんだと~」
「聖女様になんてことを!」マーベル
「せ 聖女!」
「こちらは聖女様と聖竜様だよ」レドラ
「うそだろ、やっと飯にあり付けると思ったのに…」
「こ これは!」村長
「この場で裁こう、お前は帝国法により奴隷に落とす、本来ならば死刑のはずだが聖女様は死を好まない、すぐ奴隷化の儀式を」
「あたしが請け負うよ」アリスリア
(痛い)
「ごめんね…」
(そなたのせいではない、うっかりしておった今までが夢の様だったので忘れておった次からは気を付けよう)
「この者の傷を癒せパーフェクトヒール」
「ば 化け物!」
「傷を治すのが化け物なら、傷をつける奴は悪魔じゃないか、やはり死んでおくかお前」アリスリア
「ぐ~」
「お前は今日から奴隷だ、魔族撃退の先兵としてこき使ってやるからそのつもりでいろ」
「そ そんな~」ガット
「よかったな食い物には不自由しないぜ」ドーン
「その代わり死ぬまで奴隷かもしれないけどね」レドラ
「聖女様こんなに罪が軽くていいのでしょうか?」マーベル
「オーパちゃんどうする?」
(憎しみで心を支配されれば大勢の命が失われます、罪には罰をそれは生者でなければ賄われぬこと)
「オーパちゃんは生かすって」
「甘いかもしれないですよ」コッテ
「いいえ死より生きる事の方がつらいことです」ミュール
【その通り】
時間は午後2時と言った所、まだ日差しは高いがこの場所は通過地点に過ぎない一行は気持ちを切り替えて次の村へと移動する。




