ストレージスキル
ストレージスキル
ドワーフの少女マリーは最初に金貨10枚と言った通りそのぐらいの能力を持っていた。
彼女はいわゆるストレージスキルという能力を持っていた、彼女の話だと持ち運べる重さは3トンぐらいだと言う。
今でも洞窟内に入り、大人に混じって荷運びの仕事をしているが。
通常背負子で運べるのは大人の力持ちでもせいぜい300kまでが限界なのに、彼女はその10倍もの荷物を運べると言う。
父の回復を目のあたりにして、マリーはその後すぐに雇用契約を結ぶことになった、もちろん当初提示された金貨10枚ではなく通常の雇用契約料金貨1枚、そして経費は出来高制。
港町まで何日かかるかわからないのと、彼女実は冒険者でもあると言う事で戦闘まで請け負う契約だ。
ストレージに3トンもの荷物を詰め込みそのうえ背には戦闘用の槌を背負うと言う。
勿論、鉱物資源掘削にも使える槌で、少し特殊な形をしている、洞窟内を進むには時折道が埋まっている場合もあり、そういう道具が必要なのだとか。
「良いぜあたいに任せてくんな」マリー
「なんかレドラに似てるな」ドーン
「背の高さは違うけどね」アリスリア
「姉御!」マリー
「よろしくな!」レドラ
姿かたちは違うが着ている服は要するに乳バンドとホットパンツ、そして槌を背負うための皮紐、後は皮の靴とヘルメットといういで立ち。
背はラポーチより低い150センチぐらい、小さいながらもそのスタイルは抜群で本当にレドラの縮小版と言っても間違いはない。
一行は新たな仲間が加わり、その日のうちに近衛隊100人と合流しノースランド山脈青の洞窟へと向かって行った。
先頭には帝国近衛兵の隊長が立ちすぐ後にアリスリアそしてドーンたちが続く、始め100人隊が先頭に着くと言ったがそうなると魔族が現れた時対応が遅れると犠牲になる人数が増えて、行軍時間に支障をきたすとかで、隊長以下の順番を変更してもらったのだ。
ちなみに最後尾にはボルケーノとジャクライン、そして新しく加わったマリーが付く。
もし後ろから襲われてもこの陣形ならば安心できる。
「地図によると最初の町はファウストとかいう町だな、ここから10k先か」
「まさか洞窟の中がこんなに広いとは」レドラ
「すんごーい天井がキラキラしてるー」ラポーチ
「ありゃ水晶だな」ドーン
「ここの洞窟は交易通路でもありますが、鉱山の一面もあります」マーベル
「あんた詳しいね」レドラ
「はい前に領主に連れられてここを通りましたから」
マーベルは奴隷として買われた領主によって帝国内をよく連れまわされたそうだ、護衛として荷物持ちとして。
領主であるトマスコートマンは奴隷の売買はもちろんの事、帝国内で買える珍しい物には目がなかったそうだ。
ちなみにトマスコートマンは、隷属魔法をかけて強制労働に従事させている、
エイジアル王国バラン領アルミナス市は現在復活した王により統治されることになった、近いうちに爵位持ちが派遣されてくることになっている。
混成キャラバンは最初の内休むこともなく歩いていたが、そこは岩があちこち突き出た洞窟の道。
近衛兵も軽量装備に換装して雇った荷物持ちに重量のある装備は預けているが、それでも体力は徐々に失われて行く。
それに洞窟の中へ進めば進むほど息も苦しくなってくる、いわゆる酸素欠乏症だ。
この人数で進めば仕方のないことかもしれない。
「皆、無理はするなよあと少しで最初の町に着くそこで休憩しよう」ゼック隊長
歩き始めてすでに1時間近くが過ぎたが道は上下にも左右にもくねっており、さらに平らな場所などほとんどない状態、まあそれでも5千メートル級の雪山を登るよりははるかにマシなのだ。
「ここまでは分かれ道はないようだな」ドーン
「最初の町からはたくさん増えますよ」マーベル
「遅れず付いて行かないとすぐ迷子になりそうね」アリスリア
「わくわく」ラポーチ
「あんたは気楽で良いわね」アリスリア
「ク~」
「聖竜様の事じゃないの、ポーチの事よ」
ラポーチの頭の上に乗り時たま首を伸ばしては魔法を使い飛び回る幼生の竜、時折暗い洞窟の中で光ったりするのでランタンなどの灯りが必要無いのが有りがたいが。
「そういえば聖竜に名前は付けたのかい?」レドラ
「この子の名前はオーパよ」
「なんだ、もう名前つけたんだ」
「違うよ自分から名乗ったんだよ」
「あんたやっぱり竜とも話せるんだ」レドラ
「この子は頭の中に話しかけてくるんだよ、こないだマリアルーナお姉ちゃんにおでこくっつけてから話せるようになったんだよ」
どうやらエイジアル王国の第5王女である聖女マリアルーナからテレパシー能力を授かったらしい。
その能力で聖竜ともお話ができると言う。
「もしかしてマリア様からも連絡来てたりするの?」アリスリア
「うん、たまにだけど」
「じゃあ今までの事も伝えてたり?」
「うん、聞かれたから答えておいたよ」
ドーンもレドラも、そしてアリスリアもそれを聞いてため息を漏らす、確かにそういう時が有り皆もそれを見ている。
但しその時だけの一過性の能力だと思っていたので、詳しく聞くことまでは無かったのだ。
「じゃあ他の聖女とも話したり?」
「ううんマリアお姉ちゃんとだけ」
どうやらマリアルーナの能力がテレパシーであり自分が認めた人とだけその能力を使えると言う事らしい。
アリスリアはこの行軍の前にエイジアル王国へ連絡しようと、一度手紙をしたためていたりする。
まあそれはブリタス聖王国に残した旦那への手紙も含めてであり、まさかこれほどの旅になるとは思っていなかったのだから仕方がない。
だがラポーチの話を聞いて若干肩の荷が下りた、何かあったらラポーチに頼めばエイジアル王国にいる王妃様には情報が伝わると言う事しかも即日、それは非常にありがたいことだ。
「じゃああなたに頼めばマリア様には連絡できるのね」
「うん、でも夜は止めておいた方が良いよ」
「まあ夜は避けるけどね」
「お肌に悪いからだって言ってた」
「ああ…そういうこと…」
一行は最初の町であるファウストに無事到着する。




