山岳都市アルパス
山岳都市アルパス
所は変わり魔族を全員帰国させた帝城内の会議室、そこには夜になっても灯りが燈り。
続々と都市の奪還の知らせが届いていた。
「では南部の町は全て取り戻したのだな」宰相アルト
「はい」兵士
「王様北部の町に異変が」
「どうした」
「北部の港町トローレが魔族の侵略を受けております」
「部隊を送ろう」王
「お待ちください、今から派遣しても間に合いません」宰相
宰相はそういうと首を振った、首都ベルゼアにいる兵士は全部合わせても1万にも満たない。
民は魔族により虐げられていたこともあり、そこから又戦争のために食べ物を供出させるのは無理に近い。
今から行っても無理な行軍により兵は疲弊し無残に敗走するのが目に見えている。
「あ!」ラポーチ
「まてまて、それは難しいだろう、やめてくれ」ドーン
「北行きの魔法陣ってまだ使えるよね」ラポーチ
「アルパス行きの魔法陣か?」宰相
「魔王国行の魔法陣は止められたが、国内転移の魔法陣はまだ生きているはず」クリン執政官
「アルパスからトローレまでは140k弱です」トンド執政官
「どちらにしてもその手前で魔族を食い止めなければならないな」宰相
ラポーチの目がキラキラ輝いている、まるで私に話を振ってくれと言わんばかりに。
「聖女殿まことに心苦しいことですが、今この時点では我々には魔族と戦う力がありません、聖女様のご協力をお願いできませんでしょうか?」宰相
「あ~言わんこっちゃない」ドーン
「諦めなよ」レドラ
「運命です」マーベル
帝城の会議室では聖女ラポーチとレドラそしてドーンが北部山岳都市へ転移魔法陣を利用して魔族を向かい打つ為に宰相と各執政官らと対魔族戦の作戦を練ることになった。
一方ジャクラインとアリスリアそしてボルケールは、まだ転移館において魔法陣の管理と隷属した魔族の今後について話し合っていた。
「魔族はこのままでいいんじゃない?」アリスリア
【かわいそうだが仕方ないか】
「魔法を解いて解放しても国に帰れば拷問の後に奴隷まで落とされるわ」コッテロール
「それにしても聖竜様がポーちゃんになついちゃったのは残念ね」ジャクライン
【それを言わんでくれ】
ボルケールは残念そうな顔をするが、それは仕方のないところ。
逆に聖竜が聖女といることにより、聖竜の成長は何倍にも加速する、本来10年以上前に生まれているはずだったのだから。
【だがわしでは聖竜様の助けにはならんから、これでよかったのであろう】
「これで私の呪いも解消したし、肩の荷も下りたわよ」ジャクライン
「呪い?」コッテロール
「竜王の呪いよ、約束したのよ虹の王卵を守るために永遠の命を与えてもらったのよ」
当時の竜王アルカルカタスは聖竜とまではいかないが白竜というボルケールより上の存在だった、その血は飲めば永遠の命を得ることができると言われていたが、その代わり呪いを受けるとは思わなかった。
2千年に一度転生する聖なる竜の卵を産む役割を白竜が担っていたとは、そしてその白竜が死ぬと言う事は代わりの者が引き継がなければならない。
たまたまその時身を寄せていたジャクラインが代わりを引き継ぐことになったのだが、途中で当時の帝王に卵を奪われ、さらに魔王の策略に乗ってエイジアル王国攻略の片棒まで担がされたのだ。
「ではあの聖竜が死ぬとあなたも死んじゃうの?」
「いいえ多分もう約束は果たしたから、すぐ死ぬことは無いと思うけど」
「え~そんな…聖竜様はなんと?」
「お役目ご苦労様だって、でも先の事までは何も言ってなかったわ」
【多分すぐには死なぬよ、わしらと同じ後数百年は生きるじゃろ】
「まあいいわ、長生きしたし色々見られたからね」
「それでコッテはこれからどうするの?」ジャクライン
「もう魔王国には帰れないしここにいるのもなんか気が引けるわね」
「それじゃ私たちと来ない?」
「良いのですか?」
「だって魔王国を追われた身と言う事は立場は私と同じでしょ」
「そういえば、そうでしたね」
そこにアリスリアとラポーチ達がやってくる。
「あ 聖女様」
聖竜はラポーチの頭に乗りパタパタと羽をはばたかせ落ちないようにバランスを取っている。
聖竜は時折首を伸ばしてはラポーチの胸に飛び込むとラポーチは聖竜を抱きかかえる。
「あダメだよ~おとなしくしていないと~」
「キュー」
「ジャクライン様、ボルケール様これより聖女様は北部山岳都市アルパスへ出兵いたします」
「おじちゃん達も一緒に行く?」ラポーチ
【聖竜様が行くならわしも行く】
「仕方ないわね付き合うわよ」ジャクライン
「と言う事は私もなのよね」コッテロール
「大丈夫ですよ、聖女様と一緒なら」マーベル
「我らもお供します」帝国兵
「アルパスからは歩きになるが、どうやら港町までは地下道があるらしい」ドーン
「天井が高いと良いけどね」レドラ
「その前に隷属魔法の主従を変えておかないとね」アリスリア
勇者としてラポーチに付いて行くならば転移館にいる魔族の主従を変更しておかなければならない、そうしなければアリスリアはラポーチ達と同行できなくなる。
そこで宰相がアリスリアの代わりを務めてくれることになった、隷属化した魔族8人の主を宰相のアルトトリアデンに変更すれば転移館の管理も楽になるだろう。
「あとはお任せください」宰相
「吉報をお待ちしております」政務官
昨日まで敵だった帝国兵百人を連れ山岳都市アルパスへとラポーチ達一行は旅立った。




