ジオルクガイオウ
ジオルクガイオウ
魔女協会の建物は古い教会のような外観だが、中は3階建てになっていて、3階は宿泊施設。
1階が事務所2階が協会長のオフィスや応接室など。
協会長の部屋には本来いないはずの男性が椅子に座り考え事にふけっていた。
横には紫色のローブをはだけさせ以前より煽情的な服を身に付けた協会長が立っていた。
「ふむ 協会長の椅子も悪くはないな」
「さようでしょうか?」ロワーズ
ジオルクの体から見ればその椅子はかなり小さいが、女性用としてはかなり頑丈に作られていた。
ジオルクは先ほどまで纏っていた鎧やマントからいかにも魔法師と言うようなローブへと着替え、指にはアシスト系の魔法が掛かった指輪を6つ付け、背もたれにもたれかかる。
魔女協会にいる20人からの魔女へは先ほど命令を出しておいたドロフィーナを探せ、もしくはドロフィーナの弟子を探せと言う命令。
勿論粛清する為では無く禁呪のその後を知るためである。
だがその調査は難航した、先代の魔王ダハークはよほどジオルクを敵視していたのだろう、それまで常に2番を強いられて。
いつか魔王の座を手に入れてやろうと虎視淡々と狙っていたのだ、そしてチャンスはやってきた。
ジオルクが竜王に負け逃げ帰った後魔女ドロフィーナの禁呪で眠りについたと聞き、ドロフィーナを罠にかけ殺害しジオルクが復活しないように禁呪を全面禁止にしたのだから。
その時魔女協会のドロフィーナ派は全部で15人、その中でも師匠と呼べるほどの魔女は5人で、全員がすでにこの世にいないと言われているが。
先日ボルケールと戦った死霊術士が持っていた分霊箱と言われる遺物、もちろん形は箱の場合や石の時もある、自分が生き返る時に一時的に魂を入れておく箱なのだが。
今回ジオルクは宝石の中に自分の魂を入れておくことにした、いずれこの宝石を手にした者が子を授かる時に転生魔術が発動するようにだが。
本来の持ち主であるドロフィーナが死んでしまいその遺物が誰かの手に渡ったのだろう。
そのルートを探ることができれば、禁呪を知る魔女を探す手掛かりにもなる。
勿論遺物が魔術師に渡らずオークションなどに掛けられたり、誰かが盗み出したりという可能性もあるが、それらも魔法を使えば出所を割ることは可能だ。
ダダッダダ
「コンコン!ミリンダです」
「入れ」
一人の魔女が階段を駆け上がり協会長の部屋へと入ってきた。
「見つけました禁呪魔女ドロフィーナの弟子を」
ジオルクの顔が見るからに恐ろしい笑顔へと変化する、だが見つけた弟子がドロフィーナの事や自分の事を知っているかはまだ分からない。
先代魔王ダハークは禁呪魔女の駆除をかなりしつこく行った節がある。
その先代魔王の後を今のバイパークが次いでからはそこまでの風当たりは無いと言う話だが、まあ魔女ジャクラインや竜王とも手をつなぐような状況を作り出していたのだからあながち嘘はないのだろう。
20年も他国を食い物にしていたのだからそれはそれで称賛できるが、最後の詰めが甘かったのはいただけない。
その分自分に有利に働くのだから運はこちらに味方してくれる、全てはこれからの行動にかかっているのだから。
ジオルクは禁呪魔女の情報を手に協会長のロワールローズを伴い情報に有った廃棄街を訪れることにした。




