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帰ってきた元魔王

帰ってきた元魔王


自分の部屋に置いてあった魔法装備を身に付けジオルクは、転移魔法を使い魔女協会があるマジカルシティダフネ市へと来ていた、そこには魔女協会の本部がある。

この町には現在数万人の魔女が住み、日夜魔法の研究を行っていると言う。

ここへ来たのは久しぶりだった、千年近くの月日が流れ、昔はここまで家屋敷が建っていなかったが、さすがに月日が流れると街並みも人も様変わりしている。


「おお さすがに900年経つと家並みはかなり違うな…」


あれから900年と少しが経った魔女協会のあるダフネ市、この町で禁呪である能力激増千年魔法と言う禁呪を使い眠りについた、魔女ドロフィーナが作った究極の禁呪だった。

魔王だったジオルクは彼女の話に乗って魔女ジャクラインを追い出しドロフィーナを魔女協会のトップへ添えることにしたのだ。

そのためにジャクラインの妹も罠にはめることになった、この時魔女協会は100人以上の離反者が出た。

未だに魔女ジャクラインを慕う魔女は数人いる、あれから千年近くたっても魔女ジャクラインは正当な魔女協会の創始者でありいつかは彼女が戻ってくるものだと信じている者もいるが。

現在は魔女ドロフィーナの弟子たちが魔女協会を牛耳っているはずだった。

だが…ジオルクが誤って召喚魔法で呼び出されたところを見ると、今の情況はかなり自分の考えとはずれている可能性が高い。

それを魔女ドロフィーナに問いたださなければいけないのだが、まずは魔女ドロフィーナが生きているかを確認してからだ。

魔女協会の建物はまるで博物館のような佇まいだった、確かにあれから千年近く経つのだ壁には蔦が這い、屋根には鳥の糞があちらこちらで白い模様を作っている。

ジオルクは建物の正面玄関から開いている扉の中へと入っていく。


「どちら様でしょうか?」

「ふむ ここの責任者は?」

「責任者はロワールローズ様です」

「ではそのろわーずとやらに合わせろ」

「アポイントは、お約束はございますか?」

「なんだそれは?」

「ですから今日すぐに合わせることはできません、こちらにも都合と言う物がございます、まずはアポイントをおとりになり謁見の許可が出るまでお待ちください」

「それは無理だな、待つのはわが道に反する、まずはこの建物は俺がもらうとするか」


そういうとジオルクガイオウはギガチャームの魔法を使った。


「我が力にひれ伏せ、従えギガチャーム!」


その一言で魔女協会本部内にいた全員がジオルクの配下へと強制的に変更させられた。

もともと隷属系の魔法には自信があった元魔王、魔力が1,5倍以上になったこともありその威力は普通の魔法使いの10倍以上、この建物にいた全員36人が彼の手下になった。


「それでロワールとやらにはいつ会える?」

「ジオルク様すぐ連絡を取りますので少々お待ちください♡」


先ほどまでその眼鏡を指でクイクイと触りながら冷たい口調で対応していた受付の魔女ポロイドはまるで恋人と話しているかのように口調も態度も急変していた。

さらにほかの魔女達もジオルクに熱い視線を送っている。


「ジオルク様応接室でお待ち下さい♡こちらです」


他の魔女がジオルクの元へ来ると協会の応接室へとジオルクを招き入れた。


「こちらでお待ちくださいそれとも私と…ウフフ♡」


案内してくれたのはとても若いとは言えない外見の少し肥えた魔女だった、確かにふくよかではあったが。


「いや下がってくれ」

「かしこまりました」

(特に好みはないが誰でもいいわけでもなし、というか今はそんなことをしている暇はない)


待つこと1時間、応接室には一人の女性がやってきた、紫色の法衣を纏いその髪まで紫色をしていた。


「私の仲間に何をしたのです!」

「言う事を聞いてもらうために少し魔法をかけただけだが」

「う っ この魔力は…」

「わが名はジオルクガイオウ、先々代の魔王だ」

「な なんですと!」


魔女協会本部にいる魔女は全部で100人近いが、今いるのは30人そこそこ、その中で全権を担っているのが魔女ロワーズロール。

紫色の法衣が魔女協会トップであることを示していた。


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