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魔王バイパーク・ドラグラス

魔王バイパーク・ドラグラス


魔王城がある魔都マルジェン市は谷と山に囲まれた山岳都市、山の上には魔城がそびえたち、そこには魔王が住む、築1万年そこに行くには当然のことながら転移魔法かもしくは飛行魔法が欠かせない。

山裾には数千もの家屋敷が建ち、夜にはそのあかりが沢山見えるのでかなり奇麗だが。

魔王城では今問題が起こっていた。

魔王バイパークが目覚める少し前、そこには先々代の魔王ジオルク・ガイオウが魔法により生き返り、昔住んでいた懐かしいわが城へと帰ってきたのだ。

ここまでは勿論空を飛んで来た、そして城の中央にそびえたつ一番大きな塔の中ほどにあるバルコニーに降り立った。

ジオルクがその窓から中へと入っていくと、彼はまず挨拶をしておこうと考えた、うまく行けば又自分のために働いてくれる部下たちを見ておこうと、そう思っての事だった。


「ふふふ、帰ってきたぞ」

「だだれだ!」

「わが名はジオルク・ガイオウ、おぬしの名は?」

「執政官のカンザルファルコンだ!ジ …ジオルクだと!千年前に死んだはず」魔王城王宮執政官カンザル・ファルコン

「それより今生の魔王は何処だ?」

「魔王様はまだ就寝中だ!」

「おぬし言葉は気を付けた方が良いぞ、多分この後魔王の座はわしに代わるからな、まあ良い勝手に探す」

「お お待ちください!」


魔王が寝ている寝室にジオルクは勝手に入っていく、カンザルや警備兵が止めても無駄だった。


「ここか?」

「ジオルク様お待ちください」

「お待ちください!」兵士


戸を開け中に入るとそこには大きなベッドが有り全てが黒で統一された室内、窓もなく暖炉さえない。

ベッドの大きさは4メートル四方はある円形の物、魔王バイパークはこの部屋では一切仕事を行わないようだ。


「おい、起きろ!」

「ん むむ 誰だ!わたしを起こすのは?」

「お~なかなか立派な身体じゃな」

「だれだお前は!」

「わしか?わしは先々代の魔王ジオルク・ガイオウじゃ」

「先々代?死んだはずだ!」

「死んだのでは無い眠っていただけじゃ」

「嘘だ!」

「どうして嘘だと?」

「わが父、今は亡き先代魔王ダハーク・ドラグラスは先々代が死んだから王位に就いたのだ、そうでなければ王にはなれないはず」

「わしは魔女協会の禁呪魔法師に頼み力を蓄えるために眠りについただけじゃ」

「眠りだと!」

「禁呪の一種で千年眠ると数倍の能力が手にはいると言う、おぬしも聞いたことは無いか?」

「そんな魔法は知らん!」

「そうかまあ良い、だがおぬしこのままだと大変なことになるが良いのか?」

「何のことだ?」

「そのうち分かる、まあわしは城を一回り見て回るから何かあったら呼ぶが良い、ふふふ」


そういうとジオルクはパッと姿を消してしまった、彼には城に戻ってすることがあった。この城に隠したお宝の数々。

勿論そこには自分しか入れないように魔法がかけてある、その中にはたくさんの財宝と一緒にマジックアイテムが沢山しまい込まれている。

転移魔法でその部屋へと入る、自分だけの宝物庫 座標が分からなければ入ることもできないジオルクの秘密の部屋だ。

部屋の広さは50メートル四方、転移魔法でその部屋へと移動すると自動で灯りが燈る。

部屋の一角は執務室のように机と椅子が有りその両側には本棚がずらりと並べられている。

机の前には棚や箱が置かれており、それぞれが名のある名工が作り上げた武具や装飾品。

その中から千年前に着ていたマントと服そして鎧を手に取り着けていく。

魔法により保存状態も万全、埃や汚れも一切付いていなかった。


「うぬ これでも以前の倍までか…」


本来ならばあと100年は眠っているはずのところを、900年で目覚めてしまった。

多分禁呪魔法師から弟子へと受け継がれたときにしっかり説明されていなかったのだろう。

生身の状態で前の1,5倍と言った所か、本来しっかり千年後に転生していれば3倍以上の能力を得ていたはずだ、それを転生ではなく召喚で呼び出されてしまった事により能力は半分までの増加で留まってしまった、まあそれでも前よりは上がっているのだが。

何故ジオルグが禁呪を使い眠りにつくことになったのかと言うと、原因は先代竜王アルカルカタスに勝てなかったどころか、かなりの深手を負わされたからに過ぎない。

魔女ジャクラインを粛清する為そして竜族を傘下にする為、ドラグニアへと攻め入ったのだがこっぴどくやられてしまったのだ。

間一髪で転移魔法を使い逃げ帰ったが、その時右腕だった魔女ドロフィーナの進言で千年魔法を使えば今より数倍の力を手に入れられると言われ、すでに500歳を超えていた魔王ジオルクはその魔法にかけてみることにしたのだ。

若干予定は狂ったがそれでも当時最高値だと思った能力が1,5倍まで増えたのだからあながち嘘では無かったのだろう。


「ドロフィーナはまさか死んでおらぬよな…」


魔女協会を手中にしたのは彼女からの進言があっての事だ、魔女ジャクラインを罠にはめその地位を剥奪し、処刑する手はずがすんでのところで逃げられてしまった。

だが先日ジャクラインを見て、まだ魔女協会は彼女に渡っていないことは分かった、それに今生の魔王バイパークは結構頑張っていたと言う事もうかがい知れる、なにせ自分が呼び出されたのは敵国だったはずのゴッゾニア帝国内だったからだ。

どうやらゴッゾニアを手中に収めようとしているのは分かったが、魔女ジャクラインと今生の竜王が一緒にいる所を見ると、これから敵は反撃に転じているとみてよい。

召喚されたばかりで力が定まっておらず急遽逃げることにしたが、今出張って行っても知らぬ者達には混乱を招くだけ、ならば現魔王バイパークのお手並みを拝見してからの方が恩を売ることができるし、他の魔族にも自身の力を見せて従わせるにはちょうど良い。

ジオルクはそう考えると又転移魔法で姿を消した。


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