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魔王国の首都魔法陣

魔王国の首都魔法陣


そこは魔王国にある首都防衛軍の魔法陣、そこにやってくる魔族はいつもそれほど多くはない。

1時間に4・5人がいいところだが、この日は違っていた。

午後3時10分、管理官として魔法陣の脇に座り眠い目をこすりながら、次の転移してくる魔族を待っていた。

転移してくる魔族に行先を聞いて案内するのが転移魔法陣の案内役衛兵の仕事だが、そこに20人以上の魔族がいっぺんに送られてきたから困ってしまった。


「お おかえりなさい、これからどちらへ?」

「われらはゴッゾニア帝国へ派遣された第一分隊である、将軍の元へ帰還の挨拶に行く案内されたし」

「は はい今すぐに」


いつもは1時間おきに4・5人の転移がいいところ、そこに20人以上送られて来たしかもその一陣は隊長クラスで幹部ばかり。

転移魔法陣から司令官のいる指令所までは歩いて20分以上はかかる、そして隊長格と話している間にも次々と人が送られてくる、管理官はそれを見てパニックを起こす間もなくまずは隊長格を案内する為先導する。


「こ こちらです」

「え~とつかぬことをおたずねしますが、何かあったのでしょうか?」

「聞いていないのか、これからブリタス聖王国へと進軍を開始するので一時帰国だ」

「あ~そういえばそんな話をしていましたね」


確かに噂はあった、そんな話題も酒を飲みながら仲間と話していた、だからこそ疑わなかった。

隊長格が最初に送られてきた後は2・3分おきに20人以上の魔王軍兵士が途絶えずに送られて来る。

首都にある魔王軍防衛隊基地にある魔法陣は外にある、すぐ脇には休憩所もあるのだが今の時間帯はまだそこに交代要員はいない、いつもは午後5時になると転移魔法陣を利用して帰ってくる魔族が増えるため4・5人詰めているのだが、この時間帯は一人だけ。

隊長格を指令所まで送り魔法陣へ戻ってくると、そこには数千人の魔王軍派遣部隊が隊列を作り、次の指令を待っていた。


「え~なにこれ?」転移魔法陣案内管理担当兵士


約1時間後魔王軍首都防衛隊司令官である将軍のデラウエア・ジ・クールは隊長格から帰還の挨拶を受けたが、そのような指令を出した覚えがないのですぐに魔王城にいる最高司令官である元帥ダラ・フラリーアに連絡を取る。


『なんだとそんな命令は出していない!』

『だが現に隊長格や兵士達が帰還してきている』

『今すぐ魔法陣を止めろ!』


魔法陣がある場所は結構広い空間だ、戦地の真ん前に送ることを目的としている為いっぺんに100人規模で転送することもある、そのため転移魔法陣の前には広い待機場所が必要だ。

そこに整列すれば5千人からの部隊を待機させておくことができるはずなのだが、送られてきた部隊は1時間の間に3千人を超えていた。

そこに将軍が青ざめた顔をして駆けつけてくる。


「今すぐ魔法陣を止めろ!」

「ですが全員に撤退命令が出されております」

「だれからだ!」

「ゴッゾニア帝国、帝王ジード様です」


そう聞いて将軍はわけがわからなくなった、ゴッゾニア帝国の帝王には魔王が憑りつき操っていると言う話は聞いており、その命令は魔王の命令と同義であると言う。

だが王城にいる最高司令官の話と食い違う、ならばどうすれば良いのか。

ゴッゾニアに派遣した部隊は全部で100部隊1万人、現在送り返されてきているのは5千人がいいところすでに広場に整列しておりあと半分の兵士が帰還するのを待っている。

途中で魔法陣を書き換えるとタイミングが悪ければ数人が犠牲になってしまう。

(魔法で送られてくる人やモノを途中で転移魔法陣を書き換えると運が悪い場合とんでもない場所へと送られてしまうか最悪、死んでしまう事もある)


「ええい 構わんすぐに止めるのだ!」


そういわれれば従うしかない、まあ魔族の将軍クラスは部下のことなど対して気にもかけない御仁が多い、彼もその一人。

急ぎ魔法陣を止めるため魔法を使いストップをかける、これであちらからはこの魔法陣に人を送ることができなくなる。


「転移魔法陣の停止作業完了しました」

「ご苦労」


だがその数時間後魔王軍の他の基地にある転移魔法陣から残りの兵士たちが続々と帰還してくる。

将軍が所属している本所から伝令が一人走り寄ってくる。


「将軍!カムライ市の基地にある転移魔法陣からも兵士が帰還しております」

「なんだと!」


その後はこの繰り返し、止めればほかの基地から同じように帰還連絡が入り、又そこの魔法陣を止めるの繰り返しだった。

結果としてラポーチ達が隷属魔法をかけた魔族を除くほぼ全員が魔王国への帰還が完了し、ラポーチ達の作戦はなぜかうまく行くことになる、全てが完了したのは午後9時、魔王が起きだし帝王ジードに憑依し執政を行う1時間前だった。


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