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帝国再生その1

帝国再生その1


自分の意識を取り戻した帝王、彼も被害者と言えなくもないが彼は一応王族であり責任は負わなければいけない、それがどんなに過酷な道だとしても彼には王族としての責任があるのだ。

ラポーチ達の力を借りて、帝国再建へと舵を取る、まずは牢獄へと幽閉されている宰相や文官達を説き伏せ協力を仰ぐ。


「ブラッド監獄へ行き宰相と文官全員をここに連れてくるのだ」

「はっ!」


近衛隊付警備兵2名にコッテロール、そしてアリスリアとマーベルが同行する、魔女コッテロールはもう逃げると言う選択肢を考えていなかった。

魔女協会でも中堅の魔女だが、最近はそれほど立場が良いわけでは無い、ようやく戦争に参加して配属が決まり帝国へ派遣され隊長格になれたが、国に戻ればまだ最下層の立場。

このまま大して手柄を立てずに戦争が終われば、魔女協会の中では位の低い魔女の一人として荒い上級魔女達の駒使いとして働かされるだろう。

彼女はこれをチャンスだととらえていた。


「コッテロール様、どちらへ行かれるのですか」


帝城正面脇の関係者用出入口には当然のことながら警備の近衛兵が数人いる、しかも正門には今苦情を言いに来る一般市民が千人近く集まっていた。


「監獄よ」

「監獄?」

「帝王ジード様の命令よ、そこを開けなさい」


魔王がこのことに気が付くまであと7時間、夜の10時には全てを終えないと、転移魔法陣から本国の暗殺部隊や殺戮部隊が転移してくるだろう。

それまでに主要な転移魔法陣がある町やそこを管理している魔族から、主権を奪還する必要がある。

それには派遣されている魔族に嘘の情報を流し、本国へと帰還させるのが手っ取り早い。

まずは文官に命令し帝王の正式な命令文書を作成、内容は(ブリタス聖王国との戦争を開始する為一時帰還せよ)と言う形にする。

まだ魔王が帝王を操っていると思っている魔族は、すんなり言う事を聞くだろう。

確かこの時間は魔王も眠りについている時間だ、彼は吸血族の血が流れており太陽の光が強く影響している時は睡眠時間にしている。

その間に指令書を発行させ各町へと交付させないといけない、ここからは時間との闘いだ。


「はっ!」


帝城からブラッド監獄までは少し距離がある、そこまでは帝城近衛隊の本部から転移魔法陣を使い移動することができる。

そのために2名の近衛兵を一緒に連れて行く、そうしないと近衛隊の本部には入れない。

苦情を言いに集まっている民衆を尻目に一行は近衛隊本部へと急ぐ。


「急いで!」


近衛隊の本部は帝城から1kと離れていない、時間はそれほどかからないが監獄から文官達を説得し連れてくるにはそれなりの時間がかかるだろう。

近衛隊本部へ着くとそこからは兵士が話を付ける。


「帝王ジード様の命令だ、急ぎブラッド監獄から囚人を護送する」

「はっ!」


近衛隊本部内にある転移魔法陣、そこから50k離れたブラッド監獄まで行き囚人(文官)を連れてくる、その数は少なくとも10人。

魔王に操られた時に言う事を聞かなかった文官達、さぞ恨んでいる事だろう。

だが彼らを元に戻さなければこの国の命令系統を元通りにすることができない。

数分後、近衛隊の本部にある転移魔法陣から移動したアリスリアとコッテロール達は無事に監獄へとやってきた。


「所長は何処?」

「ただいま昼食を摂っております」

「すぐに呼んでくれる」

「はっ!」


所長は魔族ではないが、その姿は魔族の様、まあ少し醜い外見をしているだけだが中身はそうでもない。

この監獄へ配属されてからすでに30年が経つ、56歳独身趣味は拷問。

だが、人を見抜く能力には長けている為この監獄の評判自体はそれほど悪くはない。

それに文官の一人は彼と親族だったりする。


「これはこれはようこそブラッド監獄へ、どんなご用件ですか?」ゴドー・コクーン

「あなたが所長?」コッテロール

「はいさようで」

「帝城から連れてこられた文官全員連れてきてもらえる」

「は?」

「文官よ、わかるでしょ宰相も含めて全員ね」

「なぜです?もしかして斬首刑ですか?」

「いいえ逆よ、もう一度力を借りるため、うまく行けば釈放になるわ」


所長は驚いていた、それは昨日までは早く処刑してしまえと言う、魔族からの命令書が何通も届いておりそれを所長権限で遅らせていたからだ。


「あの…各町の指導者は…」

「それは後よ、但し処刑命令は白紙にしておいて」


それを聞いて拷問好きなはずの所長はほっとしていた、そう彼は拷問は好きだが罪もない人間をいたぶる趣味は無いと言う少し変わった考えを持っていた、拷問好きなのに。

それに彼を所長にしたのは何を隠そう今監獄にいる親族、宰相のアルト・トリアデン61歳なのだから。

高い塀の中に設けられた広大な敷地に作られた監獄、官舎ほとんどは地下にあり、日の光を浴びることはほとんどない。

常時働いている看守は全部で10人、3名ずつ交代で見回りをしている現在の収容人数は403人。

政治犯は80人ぐらいだが普通の犯罪者は300人以上、そして最近増えた一般市民の投獄者はすでに100人を超えていた。

この監獄には千人まで収監できるのだが、そこまで収監するには看守の人数も増やさないといけないらしい。


「すぐに連れてこい」所長

「はっただいま!」


数分後予定していた人数を超える文官達が一行の元に連れてこられた。


「これで全部か?」所長

「はい帝城とその関係部署から収監されたのはこれで全部です」


そこには24人もの文官が連れてこられていた。

そしてコッテロールが全員に話す。


「これから全員帝城へ行って仕事をしてもらいます、うまく行けば解放よ」

「本当ですか!」

「本当よ、だけど他言無用、特に魔族には言わないように」

「あなたも魔族では?」

「ああ~それは…」

「今帝城は聖女によって奪還されました、これから魔族を排除するための作戦を開始するのよ」アリスリア

「え~!」

「もちろん協力してくれる魔族もいるわ、彼女のようにね」


そう言えば頭の良い文官達ならばすぐわかるだろう、連れてこられた直後は死を覚悟していたのかもしれない、その顔がみるみるうちに喜びの表情に変化していく。


「分かりました続きは帝城で聞きましょう」宰相


そして24人の文官はコッテロール達に連れられて帝城へと戻ってきた、まずは帝城内の文官詰所へとやってくる。


「まさかこんな日が来るとは」

「だが時間がなさそうだったな」

「おい無駄話は後だ、すぐに仕事がある急げ」


この後文官達は帝王ジードがいる謁見の間へと通される、まさかそこで何を言われるのだろうと文官達はびくびくしていた。


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