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帝城内食堂

帝城内食堂


扉には1センチ以上の隙間があり、ラポーチは持っていた短剣で器用にかんぬきをずらしていく。


「外れたよ」

「ありがとポーチ」

「えへへ」


食糧庫から出ると右へと通路があり少し進むとそこは当然のことだがキッチンがあった。


「ほら早く次の料理を持っていけ」料理長

「あいよ」給仕

「次は魔獣様の料理よ」給仕長

「くそ又か、やつの料理は料理じゃねーよ」料理長


それは腐っていると言って良い、肉がドロドロに溶けてかなりの異臭を放っている。

その臭さから食糧庫には置いておけず、地下の貯蔵庫に魔法をかけて保存している。

そして料理とは言えないその液体はただ壺に入っておりそのまま出すだけなのだが、それでもかなりの異臭を漂わせていた。


「持ってきました」

「ああそのまま出せばいい」


その壺には消臭の魔法が欠けられているが一度栓を抜くと周囲には腐臭が広がるため厨房では栓を抜くことができない。


「はい!」


壺は食堂に運ばれると当然のことながらそこには魔人アルダリオ・ブラテカがテーブルを前にしてドカリと座っている。


「何故離れているのだ」アルダリオ

「当たり前でしょ、あんたの隣にいれば食べた物をリバースするからよ」

「そうなのか?リバースしてもいいぞ、俺が全部啜ってやるが」

「う~キモイ、無理よ」コッテロール


普通の人なら当然彼の隣で一緒に食事をしようと思うものなどいるわけがない。

あの世界一臭いシュールストレミングの10倍臭いと言えばわかるだろうか、そういう私にもわかりませんけどね。

アルダリオが運ばれて来た壺の栓を抜くと一気に腐臭が食堂内に広がる。

そのとたん給仕が一人せき込む、その給仕はむせながら食堂から外へと出て行ってしまった。

もう一人の給仕は、余めマスクのようなものを用意していたらしくそれを顔に巻き付け対処している。

魔女コッテロール・シルバイアは当然のことながら食事に来ており離れて座っているがマスクなどはしていない。


「魔法で消臭するにも限度があるわね」


やはり魔法で遮断しているようだがそれでもわずかに匂ってきている。


「さてそれでは食べるとしよう」


魔人アルダリオはそう言うが、どうやって食べるのかと言うと彼の口からは長い食管が舌から出てきて壺の中の溶液をその管を通して飲むのが食事だった。


「いつ見ても奇妙よね」

「そうか?便利だぞ」


食事をしている最中も鎧と兜を脱ぐことは無い、スライドする口当てをわずかに上げて舌の先から食管を出して吸い上げるのだ、そのため食事をしながら話すこともできると言う。


「うえ~きもい」

「今日もなかなかの美味だ」

「やっぱり無理、私は書斎で食べることにするわ」

「そうか、また後で」

「ガタッ」


アルダリオの食事はこれだけだが、壺の大きさは縦1メートル幅50センチ重さは満タンで20k以上あり、運ぶのも一苦労だがこの臭いにも慣れないといけない。



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