潜入
潜入
アルゴン市の山裾で帝城への転移魔法陣を見つけたラポーチ達7人は辛くも敵を排除することに成功したが、まだまだ難問は残っている。
帝城から少し離れた場所に設置された転移館は大きな建物で、そこには現在5つの転移魔法陣が設けられている。
前はここにアルゴン市からの転移魔法陣はなかったが、侵攻が進んだため転移先をこの場所に移したらしい。
一つは魔王国行きの転移門、2つ目は隣の町アルゴン市、3つ目は西にあるブリタス聖王国の国境手前の町コンロイ市、4つ目は南にあるコートピア市、最後に北方に属する山脈都市アルパス、現在の転移魔法陣は魔族が作成したもので、20年前は帝城の中に設けられていたが現在帝城の中にあった魔法陣は撤去されている。
「さて行きましょう」ジャクライン
「わくわく」
「次は帝城か」ドーン
【腕が鳴るわい】ボルケール
「神の御心のままに」マーベル
「今度はアタイも参戦するからね」レドラ
「古の魔道を司る神に願わん彼の地への道を今ここで示せ」
「テレポーテーション」
シュイーン
7人は帝城から100メートル離れた魔法陣がある建物の中に転移した、もちろんここにも兵士が10人以上警備しており魔族も数人いて転移してくる人物の調査を行っている。
だが今回転移してきたのは魔族でも帝国民でもなかった。
転移して数秒またもやラポーチの願いで雷王剣から電撃が炸裂、建物の中だと言うのに転移館にいた魔族と帝国兵は全員気絶する。
「雷王ちゃんお願い!」
(まかせろ!)
バリバリバリ!
「やった!」
「どうだ他にはいないか?」
「この建物の敵は全部気絶したよ」
「よし行こう」ドーン
「どうやら転移先が変更になったようね」
「この先は?」
「ここからなら通路で帝城へ入れるわ」
転移魔法陣から帝城へは専用の門を通って行く、通常の訪問者は建物の西側の門を通って町の中へと出るが、ここから帝城の中へ行くには別の門を通る、だがその門は帝城側からでなければ開けられないようにカギがかけられていた。
門の帝城側にいる兵士は5人、その兵士たちを全員無力化しなければこの先には行けない。
「おいすげー音がしたぞ」
「雷が落ちたようだが」
「転移館は大丈夫か?」
「おい向こう側がどうなっているのか調べろ!」
「ハッ!」
転移館から帝城へ入る場合当然のことながら連絡が必要だ、そしてその連絡魔法は魔族が担当しており、もちろん今は気絶しているため対応できない。
「隊長向こう側と連絡が取れません」
「仕方ないこちらの門を開け転移館を調査する」
「了解しました!」
本来ならば向こう側からカギを開けることは帝城内から要人が他の町へと転移するときだけなのだが、緊急事態に陥った帝城内の警備兵はラポーチ達が潜んでいるとは知らずカギを開けてしまった。
「向こうから来たわ」
「これで楽に入れる」
「おい大丈夫か?」
「グヘッ!」
「なんだ貴様らは!」
【ごくろう】
「グッ!」
帝城内から転移館へと入ってきた警備兵3名はドーンとボルケールの手によって、あっという間に意識を手放した。
「隊長はこいつらしいな」ドーン
「じゃあこいつだけ隷属魔法を掛けちゃうわね」アリスリア
「古の契約をここに示す、かの者の魂へ我が魔法により隷属の印を刻まん」
ドーンが隊長の体を抱えると7人は堂々と帝城の中へと入って行く、そこには残り2名の兵士がいたが。
ラポーチ達の姿を見て足がすくんでしまった。
「あなたたちは見なかった、良いわね」アリスリア
「そうしないと隊長の命はないわよ」
「はわわ、はい…隊長!」
残った兵士2名は意識を失った隊長の側に駆け寄るが、目を覚ます様子は無かった。
門の横にある詰所で気絶した警備隊長を下ろすと中央にある城を眺める。
その城は高さ20メートル幅は200メートルぐらいありそうな巨大な建物だった、中がどうなっているのかは見当もつかないが。
正門が樹木の影から遠くに見えたので、そこにも入口はあるのだろう、だがもちろんそこから入ることはできない。
当然だがそこには警備兵が数十人いる分けで、見つかれば中へ入ることがさらに難しくなって行く。
「あんたたち城に入る入口は何処?」アリスリア
「あ あそこです」
そこには2重になった木の扉が見て取れた、運び入れる物の大きさで変えられる小さな扉と大きな扉の2重構造。
小さな扉ではどう考えてもドーンとレドラは入れそうもない。
だがその扉はやはり内側からカギがかかっているようだ。
ラポーチ達がその扉から中へと入るためにはカギを開けなければならない。
「鍵がかかっているわね」
「任せて」ラポーチ
「開けて」
ガチャ
搬入用の大扉の鍵が内側からズルッと抜け落ち向こう側でカチャリと音がする。
ラポーチの願いの力が発動した、内側のカギがいとも簡単に解除されると、大きな扉がギーと言う音を立てて開く。
「行こう」ドーン
7人が中に入るとそこは倉庫のような場所、さらに内側へと入るには扉が付いており今度は閂がかかっていた。
「食料品の倉庫か?」
棚の上には袋が数個、下にも豆やら芋やらの袋が置かれており、その広さは結構なものだった。
「さすがに城の食糧庫だ良いものおいてあるな」ドーン
「ダメよ今は」アリスリア
「おいおい分かってるよ」苦笑
「次に行きましょ」ジャクライン
食糧庫の扉は外から閂がかかっているようだが、それを外すのは鍵より簡単だった。




