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帝城警備兵

帝城警備兵


1週間前に発令された条例。

1・魔王国への恭順の証として帝国民は金品と食料を全て差し出すこと。

2・従わない場合は厳罰に処す、拷問の後投獄となる、家族も同罪。

3・他の国へと逃亡した場合、国家反逆罪として即死刑とする。

ジード・ブラッツアール・G 

鮮血の帝王と呼ばれる現王の印が書かれた書状が各地区の管理官へと届いてから、陳情苦情は日に1000件以上。

帝国の兵士達も家族を守るためには言う事を聞くしかないが、だがあまりにもひどい条例だった。

帝城警備兵詰め所には警備兵数人が次の交代のため兵士が数人休んでいた。


「…」

「このまま俺たちは言う事を聞かなければならんのか…」

「われらの家からもかなり魔族に持っていかれたが、後数日で底を突くぞ」

「王は何を考えているのだ」

「これでは同盟じゃなく、侵略ではないのか」

「毎日市民から罵声を浴びせられるのはもうたくさんだ」

「だからと言って警備兵をやめることはできない」

「そういえば隣の国はすでに同盟国になったはずだよな」

「隊長からの話だとあと少しで今度はブリタス聖王国へ攻め入るって話だ」

「これでは敵国へ攻め入る前に我が帝国は崩壊する」


帝城の奥深く鮮血王の寝所には魔族が数人駐留していた、魔王バイパークの右腕として20年魔法師として仕えてきた魔女のコッテロール・シルバイアとその姿から畏怖されて来た魔人アルダリオ・ブラテカの2名は王の見張りとして寝所にいる。


「いつまでここにいないといけないのだ?」アルダリオ

「あんた何?不服なの?」コッテロール

「ああ俺はもっと暴れたい」

「怪獣族は戦う事しか考えてないのかしら?」

「当り前だ、なぜこんな暇なところへ送られなければいけないのかわからん」

「じゃあ今度の配置換えで陳情してみればいいじゃない?」

「それもいいが、そうすると一族から逃げ出したと言われかねない」

「ああ、それはそれで面倒ね」


怪獣族、姿は爬虫類と昆虫の容姿を混ぜ合わせたかの様、大きさは巨人よりやや小さいが。

この種族は個体差が大きく必ずしも体が大きいわけでは無い。

常に本当の姿を見せないようにフルプレートを身に付けている、目は4つ以上あり腕の数も4つ以上。

空を飛ぶための羽があるものもいて、彼は一応翼獣の一種だが空を飛ぶためには甲冑を脱がないといけないので、今すぐに飛ぶことはできない。


「そろそろ交代の時間ね」


目の前には天蓋付きのベッドがあり魔王に操られている帝王が眠っている、現在は虹の王卵からの呪縛も安定化し、副作用のような殺戮衝動も収まっている。

昼間は魔王の呪縛から一時的に解放され人と同じように睡眠しているのだが、夜になると彼の体へ魔王が乗り移りこの国の政を行う。

今魔王バイパークは昼間は自国の政治を行い、夜になると帝国の政を帝王の体を借りて行っている。

完全に乗り移れるならば見張りなどいらないのだが、どうやら乗り移って自由に体を操るには限界があるようだ。

まず一つは魔力の強くなる夜でなければいけないのと、一回乗り移ってから最低5時間は休めないと人族の体が持たないと言う事。

だから帝王に乗り移る時間は夜10時から朝方3時まで、魔王も自分を休める時間が必要なので、毎日そのローテーションで帝王としてゴッゾニア帝国を操っている。

交代要員は魔族が2名、こちらは獣魔とインプで2名共にコッテロールの配下だ。


「隊長交代に来ました」

「ご苦労様」


寝所から出ると食事を摂りに帝城内の食堂へと足を運ぶ、食事はかなり豪華だ。

だが怪獣族は通常の食事を摂ることはできない、彼の食事は腐って溶けた肉や人の血液だったりする。


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