アルゴルン市
アルゴルン市
部屋の中には2つの魔方陣、一つの魔法陣は直径3メートルほど、部屋の大きさはさほど広くないため魔法陣2つを床に書けばほかには何も置くことができない。
「どうだ?」
「一つは帝都の一つ手前、アルゴルン市まで行く魔法陣ね、もう一つはどこだか読めないわ」
「もう一つは魔王国にある魔城エルダークへ行く魔法陣よ」ジャクライン
ラポーチ達が魔法陣のある建物へ入って数分、魔女ジャクライン達も瓦礫をよけながら何とか辿りついた。
「それでまさか魔城へは行かないわよね」アリスリア
「ええそこに王卵は無いわ、だけどその文字を覚えておけば次に魔王を退治するとき使えるかもね」ジャクライン
「じゃあ次は魔王退治に行くの?」ラポーチ
「ポーちゃん行くとしても相手が本当に悪い奴でそのままだと皆が苦しめられると分かった時よ」
「ふ~ん」
「聖女様いずれ時が導いてくれるでしょう」マーベル
「分かった、じゃあその時はみんなで行くのね」
「まあそうなるな」ドーン
「それよりもすぐ次の町へ行きましょう」アリスリア
ここで時間を食うと次の転移先で待ち構えられてしまう、今回ラポーチの雷撃魔法は広範囲で放ったがために帝国兵は気絶しただけで留まっている、数時間過ぎれば目を覚ましここで起きたことは帝国の司令部へと情報が入ってしまう。
その前にできるだけ帝都へと近づかなければ帝城へ入って虹の王卵を取り返すことが難しくなる。
「じゃあ又2回に分けて行くわよ」
まずはアリスリアとドーンそしてラポーチとマーベルの4人、その後はジャクラインとボルケールそしてレドラ。
2つの魔法陣の一つ、それが次の町であるアルゴルン市へと進む魔法陣だ、そこへたどり着けば次はいよいよ帝城になるが、情報によればアルゴルン市には魔族の部隊が幾つか駐留していると言う。
果たしてそこに待ち構えているのは鬼か蛇か、いずれにしても戦いは避けられない。
「古の魔道を司る神に願わん彼の地への道を今ここで示せ、テレポーテーション!」
転移したのはオープンスペース、屋根付きだが壁のない召喚用のお社。
そのため、そこには警備の兵士が数人と、魔族と思しき管理人も2名いた。
「許可証を見せろ!」
「ポーちゃん!」
「らいおうちゃん、お願い」
(まかされた!)
バリバリドーン!
小高い丘の上にある儀式用の社、天井には大理石で作られたような屋根、そして4隅には直径3メートルはある彫刻された柱があり中央には魔方陣が書かれていた。
転移してきたと同時に社を監視していた警備兵がこちらを見てすぐに近寄ってきた、魔族は少し離れた場所で話をしていたが、それ以外にこの場所には人影は見えなかった。
ラポーチはすぐに雷王剣を使い兵士4人と魔族2人の頭上に雷を落とす。
「うっ」
バタン!
同時に6人が気を失って倒れ込む。
「ポーちゃんがいないとこの作戦は無理だったと思う」
「確かに」
「聖女様すごいです」
「らいおうちゃんのおかげだよ~」
(えへん!)
まさか自由自在に剣の能力を引き出せる人間がいるとは誰も思わないだろう。
あれだけの威力で雷系の魔法を放ち、さらにここで又魔法を使ってもラポーチのマジックポイントが減っている様子も見られない。
多分、願いと言うスキルが及ぼしている結果となっているため、デメリットや条件などが全く無いのではないのだろうか、恐ろしい能力である。
ちなみにラポーチは頭の中で(やっつけて)とは念じているが(殺して)とは思っていないので、そこも雷を落とすときに雷王剣がちゃんと手加減しているらしい。
「ここは丘、それとも高台?」
社から外へと歩いていくとどうやらそこは山の中腹のような場所であり、下の方には街並みが見えていた、そしてやや下方にはもう一つの社が。
「まずいわあそこにある社も魔法陣かしら」
「こっちに何人か来るようだな任せろ」
先ほどまで狭い通路で力を発揮できなかったドーンがゆっくりと坂を下へと歩いていく。
少し歩くとそこには階段状の坂が作られており150センチ間隔で石の小道が作られていた。
下に見える社までは50メートルほど下へ降りるようだ、この場所は町から1k前後離れている山の中腹と言う感じだが。
ドーンが歩き出したと同時に、ジャクライン達も転移してきたようだ。
「どう?」
「ここの兵士は無効化したけど、下の社にいる兵士にはばれたわ」
【わしも行こうか?】
「ええお願い」
【わかった】
ドーンはゆっくりと階段を降りていく、その後ろからボルケールが続くが、マーベルもそれを見て歩き出した。
「私もお手伝いします」
「じゃあ私も」
「ちょと、ポーちゃんは待っていて」
「なんで?」
「あなたが行ったらドーンたちが残念がるからよ」アリスリア
「そうなの」
「その剣を使えばすぐに片が付くけど、あの2名は暴れたりないのよ、少し見ていてあげないとね」
「そうなんだ分かった、見物してればいいのね」
斜面に作られたなだらかな階段降りていくと20メートルほど下にも同じような社がありそこから兵士が6人こちらへと階段を昇ってくる。
もちろんドーンを見て彼らも槍や剣を構えているのだが、降りてくるのは巨人族の戦士。
それを見て足を止める、そう当然ながらいくら勇敢な戦士でもドーンを見てビビらない相手はいない。
「かかってこい!」ドーン
「て 敵襲!」
次の瞬間ドーンは階段を駆け下りる、その巨体からのっそりと階段を降りてくるものだと思われていたのだが。
敵兵が叫んだ次の瞬間、最初の3人はドーンのタックルをもろに受け吹き飛ばされた。
ドーンは剣を出そうと思っていたが、敵を見てその目が恐怖で濁っていたためやめておいたのだ、案の定(敵襲)と叫んだ後は後続の3人は後ろを向き一目散に逃げ出した。
ドーンに後ろからアタックされた敵兵達はかなりの勢いで体を地面に打ち付けながら転がって行く。
「ウギャ」
「グッ」
「ウベッ」
ドン、バキャン ゴロゴロゴロ
2名は意識を失い一人は起き上がろうとするが、どうやら足が折れたらしい腕も片方しか動かない。
(なんてやつだ、どうせ起きてもやられるなら寝てるふりするしかない)兵士1
吹き飛ばされた兵士は3人共にここでリタイヤ、だが下へ降りていくとそこにはまだ10人ほどの兵士と魔族が待ち構えていた。




