帝国潜入
帝国潜入
王城奪還作戦は思った以上の結果となった、加勢に来た聖女の力と相まって王城周辺の領はあっという間に主権を取り戻していく。
「用意は良い?」ジャクライン
「ちょっとまってて」ラポーチ
帝国内へ入るには、国境から少し入った帝国内の町を経由していく。
町の名はドーバン、帝国領ドーバン砦は町であり砦と言う帝国の前線基地でもある。
そこには魔族はもとより帝国の兵士、しかも精鋭が駐留していた。
魔族達も帝国へ行くときにはドーバン砦を経由していく、もちろんその砦で検閲を受けてから中央都市へと転移するのだが、今回そこに転移していくのはエイジアル王国の英雄が3人と、ラポーチ達 虹の王卵奪還組だ。
「ドーバン砦には厄介な魔法使いと死神エドゥーがいるわ」
「死神?」
「そういう二つ名を持った騎士よ」
「聞いたことあるわ、死んだはずなのにいつの間にか生き返って自分に攻撃したことがある相手を呪い殺すっていう」アリス
「魔法使いってのも気になるな、まあ出たとこ勝負になるのは避けられそうもないがな」ドーン
「じゃあ段取りよ」アリス
「まずはあたしとポーチ、そしてジャクラインとボルケールが先に行く。第2陣は1分後ドーンとレドラそしてマーベルね。」
「はい」
「先陣はこないだと同じ、ポーチの電撃で粛清後は奴隷化またはチャーム魔法で敵を無力化する」
「ちょっと待ってそんな簡単にうまく行くのかしら?」
「あ~ジャクラインはラポーチの電撃見てないんだったわね」
「ええアイスバインドは見せてもらったけど…」
「簡単に言えばそれの雷撃バージョンよ」
「なんでそんな簡単に極大魔法をつかえるわけ?」
「あ~ポーチ見せてあげて」
「はいこれが雷王ちゃんで、こっちがエルちゃん」
と言われて見せられたのは2本の魔剣、手に取るには相当の覚悟がいる代物で魔女ジャクラインでさえ触るのに躊躇する。
「なんで貴方が2本も持ってるのよ」
「もしかして知ってるの?」
「昔どこかの貴族に私がくれてやった剣よ」
「そうだったんだ」
「その剣はどこかのあほから手に入れたんだよね」レドラ
「その剣の力を最大限引き出せると言う事なのね、それなら納得するわまさか2本とも持ってるなんて」
その昔神の手と言われる鍛冶師がいた、今はもうなくなってしまったが。
名を鍛冶師アイアントールと言う、亡くなるまでに108本の魔剣を作成した。
すでに半数の魔剣は行方が分からなくなっているが、その中でも10本の魔剣は他の魔剣とは段違いの性能を誇っていた。
特に自然魔法を付与した魔剣はその力も大きく使うものには常に勝利をもたらした。
だが魔法を付与された魔剣には持つ者の資質が求められる、魔力の弱いものや反対の属性を持つ人間には持っているだけで命を削られると言うデメリットまで発生する。
それなのに目の前にいる新人聖女は2本の剣を持っていても平気な顔をしているのだから、それだけで異質だと言って良い。
ジャクラインがこれらの魔剣をどうして知るのかはまた別な話、魔術の研究に没頭していた彼女ならばそう言う収集をしていたのかもしれない。
「あなたは剣に好かれたのね」
「そうかも、だってらいおうちゃんとエルちゃんの考えが分かるから」
ラポーチのその言葉に魔女は目を丸くする、長い命を手に入れてすでに2千年もこの世に生きているが、今までそんな人間など見たことがなかったからだ。
「長生きはするものね、分かったわ貴方たちの計画に従いましょう」
「ありがとうと言っておくわジャクライン、これからよろしくね」
そこからは時間取りの話、何時に決行するのかその後の行動も細かく計画していった。
「それで敵、特に魔術師と死神ね」
「死神は俺が相手しよう」ドーン
「魔術師はあたしに任せて」レドラ
【わしは?】
「あ~そうよねでしたらレドラの手助けしてもらえるかしら」
【それだけか、だが沢山出てきたら即参加しても良いのだろう】
「それは任せるわ、ジャクラインもレドラのバックアップをお願い」
「良いわ、付与魔法は私も使えるから」
「そしてほかにも精鋭がいると言う話だからそちらは私とポーチそしてマーベルで対応するわよ」
「お任せください」
「任せて!」
その日の夜8時、一行は計画を実行することになった。
行きの魔法は王女が手伝ってくれることになるが次からの移動はアリスリアとジャクラインが転移魔法をかけることになった。




