表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/116

神の力

神の力


羽交い絞めされた伯爵は命令できずにいた、人質に取られていては自分ごと攻撃しろなどと言う事は出来なかった、だがそこにはどんどん魔族や帝国兵が集まってくる。

いくら聖剣使いと聖女がいたとしても、数で押されては当初の計画など全てが水の泡になってしまう。

ドーンとレドラが駆けつけた時には領主館の前にある広場にはすでに100人以上の敵が集まって成り行きを見ていた。

それでも早く駆けつけようとドーンとレドラは敵をかき分けラポーチ達の元へと急ぐ。


「どけっ!」

バキン!

ガキン!

ダン!

「うおー」

「邪魔だ!」


ドーンとレドラは魔族と兵士をかき分けながら館の前へ、ラポーチ達のいる場所へと進んでいくが、なかなか思うように進めなかった。

あと20メートル手前と言う所で大きな声がした、それはラポーチの声だった。

ようやくラポーチの姿が目の前に見えたところで彼女が魔剣を抜いて構えているのが目に映る。


「おじちゃんしゃがんで!」


レドラとドーンは一瞬顔を見合わせ周りの敵などお構いもせずに身をかがめしゃがんだ、すると次の瞬間。


バリバリバリ ドンドーンドドーン!

シューー


それは一瞬の出来事、数百人はいたはずの敵が全て倒れ伏し衣服が焦げるような匂いが立ち混める、ラポーチが雷王剣を抜き雷を広範囲で解き放ったのだ。

領主館の前に集まってきていた敵は全員が落雷を受けるとその場で気絶した。


「うひゃ~」レドラ

「まったく、どうしたらこうなるんだ」ドーン

「すみません私がついていながら」王妃

「まあ、最初からこうなるんじゃないかと思っていたんだけどね」アリスリア

「隊長…ああ確かに昔もこうだったっけ」レドラ

「それで、結局どうなったんだ?」ドーン


アリスリアに羽交い絞めされていた伯爵はいつの間にか気絶していた。


「とりあえず全員奴隷化だね」

「私も手伝います」王妃


そういうとアリスリアと王妃は手分けして、気絶している兵士たちを全員奴隷化していった。

そして全員に命令する、いつものように働くことそして悪いことはしないこと。

そう命令すると領主館の中へと入り伯爵から話を聞くことに。


「そいでもう少ししたら城へ行くんだね」

「はいそこで褒章をいただく手筈ですので」


奴隷紋を刻んだ伯爵はすでにこちらの思うがまま。

どうやら協力した見返りに彼は帝国から報奨金や粛清した貴族の持ち物を下肢される予定だという。


「ではその時に同行すればお城へはいれるのですね」

「はい私と魔族が一緒にいれば問題ないかと思われます」

「ではその日まで待ちましょう」

「ちょっと待て、俺たちはどういう扱いになる」

「それは…」

「そういえば帝国にはオーガと言う魔人がいましたね」

「ああ角をはやした魔人だな」

「もしかして変装しろって言う事かい?」


一緒に同行するならば人族と魔族は問題なく通されるが巨人族となればそうはいかない。

そのまま入ろうとすればすぐに捕らわれ、一行全員が牢屋行きとなるだろう。


「どうやって変装するんだ?」


リューゲル魔王国にも大きな種族がおりその種族をオーガ(大鬼族)と呼んでいる。

外見は巨人族と同じぐらいだが最大の違いが角と肌の色、オーガは肌の色が赤黒く角を生やし大きな牙が口から出ている。

ゴブリンやコボルトなどと違い知性があり魔王国内ではドーンたち巨人族と同じよう戦争時には突撃兵などとして扱われている。


「背格好はさほど違いがないので肌の色と角をつければ、ごまかせると思います」

「なんとなく、今後の作戦には同意したくないのだが…」

「おじちゃん怖いの?」

「う…そうじゃない、恥ずかしいのだ」

「え~変装した方が強く見えるんでしょ」

「ああそういえば多少強く見えるかも」

「ふはは、あんたが恥ずかしいだって~」


まあもともとドーンは少しシャイなところがある、大きな図体には似つかわしくないが。

だが変装も何もしないで敵地には乗り込めない事ぐらい全員が感じていた。


「じゃすぐに化粧品でも買ってくるかね」

「あたしも行く~」

「まったく肝を冷やしてくれるよ、まさか正面突破するなんて」

「だって細かい作戦なんて無かったじゃない」

「それもそうだが」

「私がいけないのです、最初に名乗りを上げた時うまく行くものだとてっきり」

「は~王妃様もできれば少し控えてくださいよ~」

「トッツィ、あなただって止めなかったでしょう?」

「私が止めようと思った時にはすでに扉を開けた後でしたよ」

「まあいいじゃない、うまく行ったんだから、ところであなたは用心棒なの?」

「はい伯爵様の奴隷として買われたのですが、聖女様が解き放ってくれました」

「お名前は?」

「マーベル・フォレスタと申します、こちらは妹のアスカ・フォレスタ」

「エルフ族の民ですね、苦労をかけて申し訳ない限りです」

「いいえ王妃様のせいではありません」


エルフの里は昔エイジアル王国とは友好国だった、今は帝国に乗っ取られてしまい彼女の国は壊滅状態だという話を聞いている。

自然を愛し戦いを好まないエルフの民は、エイジアルとは何千年も昔から友好を結んでいたのだがここ20年で全て壊されてしまった、帝国が突然条約を破棄し周辺諸国へ宣戦布告したのが事の発端だが。

噂では帝国内でもかなり残忍な事件があったと聞く、先代の帝王ガイザル・ブラッツアール・ゴッゾニアを第2王子が殺害したという話や、その後兄弟姉妹全てを第二王子(ジード・ブラッツアール・G)が粛清したという話。

裏には現魔王バイパーク・ドラグラスが手を引いているという話や、血の魔女ジャクラインの影がちらほら見え隠れしているとか、噂話はいくつも耳にしている。

だがそれらの話が何を指しているのかは今もまだ分かってはいない。


「じゃあ伯爵には今後の命令をしておいてもらおうか」


アリスリアは伯爵に、今まで通り命令すること、もちろん自分たちは貴賓として扱うことなどを命令し。

ついでに王妃や聖女などの情報は一切公言させないよう言い聞かせた。

城へ行くまでの数日間この館に滞在することになるが、まさか今日のやり方でこれからもうまく行くとは思えない、今後は自分達の行動にも細かい制約を課して成功率を上げなければ計画がうまく行くとは言い切れない。

まだ現エイジアル王がどのように操られているのかもわからないし、もしかしたら強力な魔法使いが王城にいる可能性もある。

これからは失敗した時の作戦もちゃんと計画しておかなければいけない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ