バラン領 アルミナス市
バラン領 アルミナス市
大まかな計画そして次の町へ行く人数、今後の男爵の役割などを話し合う。
「それでは操られているふりをするのですね」
「ええそうしないとほかの領から魔族が来た時に計画が露見してしまいます」
「わかりました、姫様の邪魔にならない様ここで吉報をお待ちしております」
「頼みましたよ」
「御意!」
魔族が書き入れた転移魔法陣は彼らが寝泊まりしていた家の一室に書かれていた、縦横3メートル。
その様式と数字などから、一度に転送できる人数は3名までというのが分った、行く先もバラン領アルミナス市。
座標から同じような家屋の床に書かれていることも分かった。
「それじゃ3回に分けよう、ポーチとアリスが最初だ、次に俺とレドラ、最後に王妃様とトッツィでいいか?」
「その順番で構いません」
「よし、でどうすればいい?」
「私が魔法で起動させましょう、順番も最後ですので」
「頼みます」
「ではまず最初の二人から、魔法陣の中にお入りください」
「ワクワク」
「頼んだわよポーチ」
「任せといて」
「古の魔道を司る神に願わん彼の地への道を今ここで示せ」
「テレポーテーション」
シュイーン
「次は1分後だね」
「はい」
移動した先は民家の様だった、案の定見張りがいたがその見張りは陽気のせいか居眠りをしていた。
「こいつら見張りよね」
「魔剣を使わなくてもよさそうだね」
「今のうちに魔法で奴隷化しちゃいましょう」
「古の契約をここに示す、かの者の魂へ我が魔法により隷属の印を刻まん」
見張りは2名いたが、この場所へ転移してくる味方は一日に1人いればよい方なのだろう。
しかも転移してくるのは魔族かそれともゴッゾニアの兵士か、朝から晩まで同じ場所に立ち見張りを続けていくには退屈で仕方がないのだろう。
奴隷魔法をかけ終わると2名の歩哨はようやく目を覚ました。
「ん~なんだ?」
「私の言う事を聞きなさい」
「あ…はいかしこまりました」
「あなたたちはいつものように見張りを続けるが誰が来ても通すのよ良いわね」
「了解しました」
1分が経ち、今度はドーンとレドラが転送されてくる。
「ん?見張り?」
「ああ、居眠りしてたから魔法で無効化しちゃったわ」
「あらかわいそうに」
「出番がなかったよ~」ラポーチ
「まだまだこれからよ」
その後も順調に王妃達も転送されてきたが、最初の予定とは違いこの家屋には一つしか魔法陣が刻まれていなかった。
「あなたたち、王都へ行く魔法陣はどこかにないの?」
「それならば別の場所にあります」
「教えなさい」
教えてもらった魔法陣はこの町の管理官が住むお屋敷の中だという、問題なのはこの町を支配しているトマス・コートマン伯爵は早くにゴッゾニア帝国に恭順を示した人物だという話。
このままそこへ行ったとして素直に転移魔法陣から転移できるとは思えない。
もちろん魔族もこの町には数人出入りしているという話。
「どうするんだい」
「まず俺とレドラは目立ちすぎるからうかつに外を歩けないな」
「わかったわ2人はここで待機していて、王妃様と4人で伯爵を何とかしてくるわ」
「ワクワク」
「ポーチ足を引っ張るなよ」
「大丈夫よ、私のお鼻ならうまく行くって」
4人はマントを羽織ると、転移魔法陣のあった建物から外の様子を見てみる。
時間はまだ昼前、外は明るく町はごく普通だが行く人々はややまばらと言った具合。
「確かこの町の領主が住む館はあそこらしいわね」
町に建てられた民家は殆どが平屋だが、数か所2階建て以上の建物が見えていた。
しかもその一つはかなり大きい建物で、作りも立派だった。
「行きましょう」