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アイオン・トルマイン男爵

アイオン・トルマイン男爵


この町が王命により魔族の監視官を受け入れてからすでに1年が経つ、ゴッゾニア帝国との協定によりリューゲル魔王国から派遣された監視官。

彼らは全て魔法使い、特に誘惑系の魔法や操作系の魔法を得意としている者達だ。

その魔法により反抗しようとしても、言う事を聞くように操られてしまう。

魔族2名の魔法で操られた男爵は自我を失い、彼らの思うがままに内政を行っていた。


「ここは?私は…」

「アイオン・トルマイン男爵ご気分はどうですか?」

「その声は、マリアルーナ姫様」

「久しぶりですね」

「どうしてここに?」

「国の危機を知りようやく帰ってくることができました、あなたは操られていたようです」

「思い出した、魔族に…」


始めは魔族に反抗していた男爵もチャームの魔法で体を操られ洗脳されてしまったのだ。

普通の人である男爵は魔法具などの用意もしておらず、すぐに彼らの思い通りに操られるようになってしまう、それから1年は2名の魔族の思い通りといった具合。

そして2名の魔族はこの港町で自分たちの好き勝手に過ごしてきたようだ、その服装はかなり華美に装飾されていた。


「あなたにはこれから協力してもらわなければなりません」

「姫様の仰せのままに」


前回帰省した時ももちろん王女はこの港を経由して王都へ向かった、その度に彼とは話をしており当然のことながら面識がある。

だから彼は王様とゴッゾニア帝国との友好条約が決まった時 真っ先に反対したのだが、中央議会でいくら反論しようとも、彼やその他の反対派の議員はほとんどが殺されるか又は操られてしまったらしい。

彼は港町の管理官でもあるため、直接行動に出るのは控えたので魔法で操られるだけで済んだらしい。

そうしないと友好国であったブリタス聖王国や他の友好国から助けに来た時に対応する人がいなくなってしまう。


「そうでしたか…」

「はいまだ西方のドットコム・シガリロ伯爵とカルマリン・ダハシュタイン・シュベリオール公爵は奴らへの反撃を狙って地下組織を立ち上げて抵抗しております」


西方には第5王女の母方の故郷であるローデリア共和国があり、伯爵と公爵はその国境線に隣した領地を運営している。

その為魔族が攻めて来ようともローデリア国内に逃げ込めば、そこには聖女教の総本山があり。

魔族に対して強力な魔法を持つ聖女たちが待ち構えている。

現在、聖女教会に所属する聖女は22人、それぞれに持っている奇跡の種類は違うが。

一人で魔族数十人を相手に戦うことができる能力を持つ。

もちろんそう言われているだけで実際には自ら戦うのではなくサポート魔法を使用して戦うのが聖女の役割だ。

ラポーチもその一人、彼女の能力を考えてみればわかる、聖剣を作成し勇者を作り出す能力、同じような聖女が後22人いると考えてみれば、これほど力強い味方は他にいないと言える。


「とりあえず魔族は奴隷化しちゃうわね」アリスリア

「ええお願いします」

「姫様これからいかがいたしますか?」

「まずはお城へ潜入するわ」

「それは止めておいた方がいいです、手前の町からすでに数百人単位で魔族とゴッゾニア帝国の兵士が待ち構えています」

「大丈夫です、この方たちが協力してくれます」

(うおっ!)


そういわれてドーンとレドラを見上げて初めて巨人族が2名いると言う事が男爵にはわかった。


「おおきい」

「これでも小さい方なんだけどね」


レドラの身長は3メートルまではいかないが、その大きさの女性はエイジアル王国ではいないと言って良い。

そしてドーンは巨人族としては普通の身長3メートル30センチ、普通の人間の倍近い身長だ。

先ほどまでは膝を着きしゃがんでいたために本当の高さが分らなかったのだろう。


「それでは私は西方の味方へ伝令を出します、きっと協力してくれます」

「ありがとう、頼みます」

「さてとそれじゃあ魔族に命令して情報を引き出してみようかね」


そこからは奴隷化した魔族2名から与えられている命令や現在の状況を聞き出すことにした。

彼ら2名は男爵の監視と洗脳、指令は港町での他国からの流入阻止。

入ろうとするものは捕縛もしくは排除、もちろん殺害しても構わないという命令。

彼らのもとには月に一度中央から指令が来るらしい、現在は15日目であり次の指令が来るのは15日後。

2名の魔族は幻術魔法の使い手であり、戦闘能力はさほど高くはなさそうだ。


「と言う事は10日以内に王都につかないとばれるわね」

「ここから王都までは急いでも3日はかかります」

「馬車を手に入れるしかないね」

「いや彼らの転移魔法陣が使えたはずです、それを使えば2日で行けますよ」


魔族が使う転移魔法、床や地面に魔方陣を書き込み魔法札を使用して転移先の魔法陣まで移動する。

ここから移動するのは王都までではなく、その2つ手前のバラン領までとなる。

直接転移できるのは王族か許可を得た者のみ、王城の魔法陣は定期的に許可数字パスワードが変更される為、いつでも行けるわけではないらしい。

まあそれでも約半分の距離を短縮できるのだから使わない訳にはいかない。


「だが魔法陣には見張りがいるのでは?」


それは当然の話だ、誰でも移動できるならばすぐに潜入されてしまう。

と言う事はバラン領の魔法陣には警備のものが必ずいて見張っているだろう。


「あたしが行って雷ちゃんで見張りを片付けようか?」


全員がラポーチを見る、半分が何言ってるの?という顔をしているが、レドラとアリスリアだけは転移後すぐに雷王剣で感電させれば、あっという間に見張りは片付くのではと考えが及んだ。


「それが一番いい案かもしれないね」

「でも私もいっしょに行くわよ」

「魔法陣の大きさは?」

「それほど大きくはないと思うが」

「ならば3回ぐらいに分けた方がいいな」


最初の組がまずは見張りを排除しその後1分おきに転移魔法陣を使い移動する。

後は次の転移魔法陣を見つけられればさらに次の町まで移動する。

但し魔法陣に書かれた転移先はしっかり確認するようにしないと罠があったりするので要注意。

転移魔法陣が2個以上床に書かれている場合一つは罠になっているのが通例。

だから書いてある文字や数字はできるだけ覚えておくか書き留めておいて、書かれた文字から行く先を特定する。

頭の良い奴ならすぐに考え付くだろう、一つは罠にして転移先を牢屋にして置いたり、怪物が住む洞窟内にして置いたりするのだ。


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