魔剣エルアイス
魔剣エルアイス
ホークが今まで負け知らずで戦いに勝ってこれたのは剣の腕だけではない、この魔剣のおかげと言って良い。
この剣は彼が戦に参加しているときに敵の上級指揮官から奪い取ったものだが、その上級指揮官は貴族だったのだろう。
その上級指揮官は剣技も魔力もホークより劣っていたようだ、そのおかげで相手の魔法剣をまんまと手に入れることに成功した、この剣はその時の戦利品。
通常戦争で得た戦利品は指揮官の褒章に当てられるのだが、ホークはそれを隠してネコババしたのだ。
まあ一兵士で参加し敵の上級指揮官をやっつけた報奨金などたかが知れている、彼はこの剣と共にその戦場からバックレたのだ。
通常の報奨金はせいぜい金貨10枚、だが魔法剣は金貨100枚はくだらない、単純にネコババした方が良いに決まっている。
それからは連戦連勝、脱走した兵士を捕まえる為に追ってきた軍の憲兵隊からも、この剣を使い難なく逃げおおせる事ができた。
「いくぜ」
ザシャ!
ギャリン!
「グッ!」
アリスリアは唇を噛み締める、剣が代わっただけではない、たぶんパワーアシストも含まれているのだろう。
それとその魔剣はどんどん太く大きくなっていくように感じられた。
「なんだその剣は!」
「いいだろう、こいつは特別だ」
バキャン!
はあはあはあ…
何故か力が吸い取られるような気がするがそれもそのはず、その剣は相手を凍らせる魔剣、アリスリアの魔力を凍らせる、相手の魔力を阻害するのだ。
だがそこまでだった、それを受けた聖槍ロンドワールが変化する、長くそして強靭に。
そしてわずかに光り出す。
スッワワワ
「なんだ?」
「悪いね、こっちも同じようなものさ」
ジャシュ!
ギャリンギャン!
ビュビュシュシャ
「グオー」
ドシュビシュ!
ホークは槍を受け流す事に失敗し肩と腕そして右腹に槍を突き刺される。
「クッ!」
だが次の瞬間傷口が凍るように冷気を纏いまるで剣が魔法を使ったように見えた。
「何だと!なんだ~~~その槍は~~~くそが~~~」
「認めない認めないぞ!」
「じゃどうするんだい?」
「こうするんだよ!」
なんとその冷気が彼の全身を覆いまるで鎧の様に彼の体にまとわり付く、そして全身から冷気をまとうが同時に彼の目や口からは血が滴り落ちる。
そう最初水色の氷だったが、いつの間にかその色は赤く染まっていく。
彼の命を賭けた一撃のはずだった。
「死ねーーー」
ザシュ!
ギャン!
「な!なんだその盾は、何時の間に!」
そう聖槍の能力は伸縮自在だが、彼女は元々2槍使い、そう その通り二つに分かれた槍、伸縮自在な槍の一つがいつの間にか盾に変化していた。
その盾で相手の剣を受け流し、反対の手に持つ槍は今度こそホークの胸を貫く。
ズシュズズ…
「こ こんなはずでは…」
シュル!
ドシャ
40歳マフィアの用心棒まで落ちたホークの最後だった。




