領主はやはり
領主はやはり
領主が住んでいる洋館のキッチンでは、領主が趣味である手料理を作っていた。
「全くそんなに簡単に行く分けないじゃない」
「でも…心配だわ、それに家の姫も戻ってこないなんてどうしたのかしら」
「まだもう少し煮込まないといけないのに…」
あ~~もう!
領主はエプロンを脱ぎ捨てるとかまどの火を落とす、彼はオカマではあるが剣術を使えないわけではない。
もちろん公爵家の三男と言う事は剣術の腕もかなりのもの、彼は特に細剣の使い手だった。
「あんな重い剣もてないわよ、あたしはこっちの方がいいわ」
刃渡りは1メートルほど刃身は3センチも無いいわゆるサーベルといわれる剣、敵の攻撃をいなし、その細剣で急所を突くことが特徴だ。
やはり彼も心配で仕方なくなったのだろう、居間に飾ってあった剣を手に取ると髪形を整えて外に出る。
「あんた、私は出かけるから見張りを頼んだわよ」
「はい お フローゼル様」
「よろしい」
領主の館からアジー(アジリアーニ)は走り出した。
「全くモーろくな事しないんだから、やんなちゃう~」
一方ドーンとレドラはマフィアが現われるという港の倉庫を見張っていた。
「もう直ぐ来るんだよな」
「まちがいないっす」
「どうやら来たようね」
そこに現われたのはマフィアの親分ダラック、用心棒は港の方へ、この時2つに分かれてマフィアはある仕事をする事になった。
一つは邪魔に入った見回り姫の相手だがもう一つは商船との取り引き、そこにはドーンが契約した船の船長とその取引先である商人が用心棒と共に居た。
「よう待たせたな」
「それで今回の頼みごとってのは?」
「ああ巨人2人と子どもの取引だ」
「巨人か?そりゃ少し面倒だな」
「ああ ガタイはかなり良かったから捕まえるには、例のぶつを使う事になる」
「もう一人の巨人は?」
「そっちはメスだとよ」
「巨人族のメスだと?もしかして番か?」
「いやどうやら違うらしい」
「珍しいな巨人族のメスはめったに村から出ないんじゃなかったか?」
「まあな、大方口減らしにでも出されたんだろ」
「まあ良い、そいつら2匹を奴隷にすりゃいいってことだな」
「いつものように眠らせて奴隷紋を刻めばいいだけだ、簡単だろ」
「そう言えばおまえんとこの用心棒は?」
「やつには見回り姫の対応を頼んである」
「領主の女か?」
「そりゃ見られなくて残念だな」
「今日の話は約束だからな、まあこの後行ってもすでに終っている頃だろう」
「あの女も結構良いんだがな…」
「確かに、だがもう直ぐ切り刻まれて首だけになっている頃だ」
「しかたね~な残念だが、もう少しすれば若い女が手に入る」
「そう言うことだ」
倉庫には他にも奴隷が数人とらわれていた、その中には子供も居る。
この場にいるのは商人と奴隷船の船長、更にドーン達が乗る船の船長も居た。
結果としてこの港から出る船は全て奴隷船だったのだ。
渡航者をおびき寄せる為に1隻だけを商船に見立て、誘い入れると金を受け取りそして乗船したところで眠らせると奴隷紋を刻み奴隷として売る。
端からドーン達を乗せて他の国へは行く事など無い船だった。




