聖槍の使い手
聖槍の使い手
ラポーチは留守番といわれたが、彼女が黙っておとなしくしているわけは無い。
当然浮浪者の一人を言い聞かせドーンやレドラの後を追う、だがどう考えても出遅れてしまい浮浪児のポロンと一緒に道に迷う、そしてとうとう港まで来てしまった。
「あれ?ここは」
「道が違うのなの」
「ううん 違うけどやっぱりここだ」
そこにはヘロヘロの男達が数人、そして鎖で繋がれた男性とそこにすがる若い女性の姿。
更には赤毛のきれいな騎士装の女性と黒マントの男が見て取れた。
こちらにはまだ気づいていない。
「ポロちゃんここで待ってて」
「だめなの、ここまで来たのもいけないのなの」
「大丈夫よこのお鼻と剣がそう言っているから」
「あっ」
そう言うとラポーチは走り出した、そして魔法剣を抜くと命令した。
「いけ~~~」
バリバリバリ
ラポーチの魔剣による最初の犠牲者は黒マントの幻術士。
その稲妻は何故か黒マントの男めがけて迸った、その力から逃げる事などできない、一瞬の出来事。
周りで見ていたゴロツキ達にも何が起こったのかはわからなかった。
「ぐお~…」
バタッ
マントの男は崩れ落ち、同時にアリスリアも倒れる、そこに駆け寄る美少女。
周りでそれを見ていた者達には一瞬の出来事だった。
「どんなもんだ」
ラポーチはアリスリアに駆け寄ると、周りで見られているのもかまわずスキルを使いアリスリアを助ける。
「おねえちゃん、おねえちゃん大丈夫?」
「う あなたは誰?」
「あたしはラポーチ、聖女なんだって」
そう言われてもアリスリアには何がなんだか分からなかったが、どうやら助かった事だけは理解できた。
だが体は…
「腕が…なんともない?」
「あたしが治して置いたよ」
「え?」
「それとこれもおねえちゃんのだよね」
そこには折れて使い物にならなくなったはずの使い慣れた短槍が、だがその形も長さも刃先さえも全くといって良いほど形は違っていた。
だがそれが自分のものだと分かるのはその柄に描かれた装飾だった。
「な 何で」
槍を手に持つと何処からか声が頭に直接響いてくる。
(汝この槍を手にするならば民を救い正義をなす事ゆめゆめ忘れるなかれ、さすれば大いなる力を与えるだろう)
聖槍ロンドワール・体力知力腕力脚力魔力に+100の補正、毎秒HPに+5の回復補助。
投げても持ち主の下へ戻ってくるオートリターンと自動修復機能のオートリペア。
更に大きさを変えられるオートフィッティング機能が加わる。
槍を手に持ってからはどんどん力が溢れてくる、いつの間にかアリスリアは立ちあがると、その槍をごろつきのリーダーに向け言い放った。
「きさまら~覚悟しろ!」
そこからは言うまでも無いことだが、ごろつき達は一目散に逃げ出した。




