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新任領主

新任領主


港町の丘からさらに東へ坂を上る事10分、そこには洋館のような石作りの小さなお城が立っていた、一階部分は石を積んで作った壁になっておりその上に石と木材そして漆喰といった作り。

入り口には柵がありその中には植物が植わっている庭になっていた。

門の横には雇われ警備員が一人、ほぼだらけていたが、巨人族2名が近づけばいやおうなく対応しなければいけない。


「と 止まれ、お おまえ達何しに来た!」

「ここの領主に用があるんだが」

「用?約束はあるのか?」

「ないよ、だが取り次がないと大変な事になるが良いのかい?」


そこうしていると屋敷のほうから声がした。


「騒がしいわねあんたたち何やってるの!」

「親方様」

「親方じゃないでしょ、フローゼル様とお呼び!」

「はいフローセル様」

「フローゼルよ!全く、それであんた達何の用?」

「この町のマフィアの件だ」


そうドーンが言うと、フローゼルは顔をこわばらせた。


「あんた達、何しに来たわけ!」

「話がある」

「巨人族が2人もそろって襲いに来たわけじゃなさそうね、それに子供達も」

「りょうしゅ様お話し聞いて」

「あらら」


外見はイケメンだ、言葉使いさえ直せばモテモテになるはずだが彼はおねえであり。

自分は女だと思っている、中央から左遷されてしまったので今では隠す必要すら無くなった。

領主は屋敷の中へ入れとドーン達を招きいれた、屋敷の入り口から中に入るとそこからはフローラルの香が漂う。


「おじちゃんココ良いにおいするね」

「あらあんたに香水の匂いなんて分かるの?おじちゃんじゃないわよお姉さまとお呼び!」

「ブラックローズとゴールデンローズ、それとマンダリンビジューム」

「あらすごい良く解るわね」

「あたしお鼻が良く効くの」

「あらそう、それで何のようかしら」

「今夜マフィアを殲滅する」

「あら、それ冗談?あんた達が?止めときなさい」

「そうしないといけない理由がある」

「今はね、あんた達にかまってる暇はないのよ」

「りゅうしゅ様もうひとりのお姉ちゃんは?」

「あ~いま見回りの最中なのよ、でも遅いわね夕食までには帰るって言ってたのに…」

「単刀直入に言うわ、良く聞いてあと1時間でマフィアのアジトを粛清するから後は頼むよ」

「何馬鹿なこと言ってるの、あんた達じゃ殺されて終わりよ、止めておきなさい」

「それでもかまわん、だが後は頼むそれだけだ」

「そんな簡単にいくなら苦労しないのよね全く、ここまで1年もかかったのに、ようやくやつらの尻尾を掴んだところよ、邪魔しないで貰いたいんだけど」

「すまんな、時間がないんだ」

「ふ~ん分けありね、良いわ見事粛清できたならケツでも何でも持ってやるわよ」

「ああそうだうちの姫様が今見まわりに行っているからどうせなら協力してもらうと良いわ」


「姫様?」

「違う違う私の娘じゃないわよ、私の奥方よ」


それを聞いてますます解らなくなるが、どうやらその奥方は女だてら町の警備員を買って出ているらしい。


「あんたの奥さん?」

「槍術使いなの、かなり強いから行って手を貸してもらうと良いわ」


そう言うと、台所へ行き食事の用意を始めてしまった。

釈然としない中、みんなは屋敷の外に出るとドーンは仕方ないと話し出した。


「協力は得られなかったが後始末はしてくれそうだな」

「領主もどうにかしようと思っていたみたいだね」

「行くんでしょ、やっつけに」

「ラポーチ なんでそんなにうれしそうなんだ?」

「おじちゃんのかっこいい姿が見れると思って」

「言っとくがおまえは連れて行かないぞ」

「え~~なんで~」

「ポーちゃん危ないからに決まっているでしょ」

「え~けち~」


この間も浮浪児達はきょろきょろと3人のやり取りを見ていたが、はっと思いつくと話に割って入った。


「おじちゃんたち、そろそろマフィアのボスが帰ってくる頃だけど…」

「そうか、じゃあ行こう」

「腕が鳴るわ」

「ラポーチおまえは彼らと留守番しているんだ、わかったな」

「え~~」


ドーンとレドラはマフィアのボスが現れると言うアジトへと浮浪児の一人、ザックの案内で町のはずれにある倉庫へと向かった。


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