その話の内容は
その話の内容は
本来これだけ人が集っているのだから仕事が無いわけが無いのに乞食が居るのは何故か?
それは漁が制限されているから、要は漁業組合とは名ばかりのマフィアが仕切っており独占しているらしいとのこと、最近になってようやく管理官である領主がそこに割って入ることで少しは良くなったのだが。
それは表向きだけ、船を出し魚を取るのも売るのも金を払わないといけないようになっており。
破ると当然のことながらひどい目に会うらしい。
そしてそのマフィアの元締めというのがハンス・ダーラックという男、ずる賢く相手の弱みを見つけては嫌がらせをしてくるし、手下を使って難癖を付けては金を巻き上げるという。
乞食たちは普段丘の上にある廃墟に住んでいて、夜になるとこうやって食べ物をあさりに出てくるという。
昼間は市場で食べ物を漁ろうとすると奴隷商人に捕まり売られてしまうからという。
「奴隷になればご飯食べられるんじゃないの?」
「そんなにいい条件じゃないぞ」
「そうよ下手すると拷問の上に殺されるなんてこともざらよ」
「じゃあ奴隷にはならない方が良いんだね」
「ああお金や飯をあげるから付いて来いなんてのはほぼ全部嘘だ」
そうラポーチの村でも農作物はよく育っており食うには困らない状況だったのを覚えている、あれから7年が経つので現在の農産物がどのぐらいよいかはわからないが、何処の村へ行ってもそれほど悪い話は聞かなかった。
なのに乞食が多いのは、どうやら彼らの殆どは船で連れてきた、または密航者という話だ。
確かに獣人はこの国には少ない、獣人の殆どが他の国の出身と言う事。
「あれ、あなたはお耳が…」
「あたいはコロネ」
その少女は獣人だった、身長はラポーチより少し低いぐらい、年はラポーチと同じぐらい。
だが耳は頭の両脇からピンと立っておりやや毛深く、一番の違いはお尻から出ている尻尾だった。
「この子は獣人だね」レドラ
「獣人?」
「この大陸から海を渡って東へ行くと島国がある、そこにはこの子らのような獣の姿を残した獣人が住んでいるんだ」
「ふーん、でもどうしてこんなとこに居るの?」
「あたいは逃げてきた、捕まった悪いやつから」
「あまり関わるな」ドーン
「なんで?」
「これから俺達は海を渡って他の国に行かないといけない、関わったとしてそれからどうするんだ?」
「ん~」
ラポーチは単純にそう聞かれると何も言えなかった、でも昔の自分 転生前の自分を思い出す。
どうすればいいのか、難しいが簡単な事それは悪いやつをやっつけて皆が幸せになる方法。
一つはマフィアと呼ばれる組織の壊滅、そして彼らの就職の斡旋。
はっきり言えば無理な話3日後にはこの港から船で出て行くのに、彼らを救う事などできるわけが無いのだ。
「おいおい やめてくれこれ以上面倒後を増やすな!」
「だって剣に選ばれたんでしょ」
そう聖剣と聖拳は苦しむ民の助けとなるため、この世に顕現したのだ。
まだ民を助けない場合のペナルティは分かっていないのだが、見捨てていけばここに居る乞食や子供達の未来は明るくはならない、2人は聖拳の持ち主となったのだから。
その力を使わないでどうするのかと言う話、ドーンもレドラも自分達の置かれている立場をちゃんと理解しているわけではない、それは分から無くも無い。
英雄、勇者、そんなものになった事でさえ夢のような話で、まだその意味さえ分からないのだから。
だが力は使うためにある、そして2人はラポーチに言われると、なんだか動かないといけない、そんな気がしてきた。
「それでどうするんだい?」
「おいレドラ…」
「あんたも腹くくりなよ」
最初は渋っていたドーンだったが、レドラとラポーチ2人に説得されれば断る事もできなくなり、今後の予定いや町の開放計画を練る事にした。
「それでマフィアの居場所は?」
「港の裏にある倉庫なの」
「君は」
「あたしはクロナ」
「この子はそこいら近辺で食べ物探してんだ」
「ふ~ん」
「ではそこを調べてボスらしきやつがどいつか教えてくれ、それと確実にそいつが居る時間もな」
「分かったなの」
「他は?」
「後はやつらと繋がっている商人や船主を洗い出せ!」
「そいつは俺がやる!」
「こいつはザック、アタイも一緒に調べるから任せておきな」
大人の乞食は殆ど力にならないが、子供達は違った、この場所に居る子どもだけでも20人近くいて。
小さい子は5歳ぐらい上は14歳ぐらいか、全員が協力してくれるという。
その行動力はすごかった、その夜のうちに場所そしてボスの居る時間さらにつながりのある商人や船主が全てピックアップされていく、さらにこの町の領主の所在や協力してくれるかと言う所までが分かった。
「領主は新任か…」
「うん良い人だよ」
「そうそう良い人、少し面白いよね」
「ウンウン」
「おじちゃんその人仲間に出来るかも」ラポーチ
「一応後を任せるにも言っておいたほうが良いか?」
「そうした方が良いようだね」レドラ
「おじちゃん直ぐ行こう」
「こんな夜にか?」
「何か変な感じがする早くいこうよ」
「急ぐならこっちだ」
ラポーチの勘のこともあるが何故か直ぐに遭わなければいけない感じがしていた。