次の町へ
次の町へ
ドーンとレドラは町を出ると港へと足を進める、だが巨人族の二人が連れ立って歩くのはやはり目を引く。
当然のことだがドーンの考えで街道は避け裏道や山道を見つけて進むことにした。
「それにしてもあんたら今までこんな道ばかり進んできたのかい?」
「ああ、そうしないと厄介だからな」
「確かにそうかもね」
「お姉ちゃんのお友達は?」
「え?」
ラポーチは結構核心をついていたりする、レドラへの質問は彼女が元居た部隊のことだ。
すでに5年以上昔のことであり、戦場をともにした仲間が今どこで何をしているのかすら、今はわからない。
だが彼女らが二つ名に使われるぐらい有名な部隊だということに変わりはない。
もしその仲間の居場所が分かれば即戦力にできる可能性がある、ラポーチは単純にレドラのお友達が同じように強いという好奇心で聞いているだけだが。
「あたいの仲間かい?」
「お姉ちゃんも強いんだから仲間も強かったんでしょ」
「ああ強かった、一緒に戦った4年間で死んだ奴は一人もいないぐらいにね」
「どうして解散しちゃったの?」
「リーダーに結婚話が持ち上がったのさ」
4年経ったある日女ばかりの傭兵部隊フレアフィールの隊長であるアリスリア・フィールホフに手紙が届けられた。
内容は彼女の進退を決定付ける公爵家の当主からの帰還命令。
もちろんこの話は権力争いを交わすために仕組まれた政略結婚、相手のアクマイン・ローゼンバーグ公爵はジョルジョ・フィールホフ侯爵の上位爵位であり、うまくいけばグループの上位関係を盤石なものとできる。
フィールホフ侯爵家の次女アリスリアは頭脳明晰で剣術にも優れていたが、実家からは疎まれていた。
その歯に衣着せない物言いや平気で女だてら男にも意見を言う、そんな娘を父でさえ疎ましく思わないわけがない。
だからと言ってまるっきり嫌っているというわけでもなかったが、じゃじゃ馬な娘を幸せにすることができ自分も安心できる道筋を模索していた。
そんな時グループのトップであるローゼンバーグ公爵からお見合いの話が舞い込んだ。
この時アリスリアの歳は27歳この世界ではすでに行き遅れといっても過言ではない、その娘を貰ってくれる可能性が出てきたのだ、父は当然強く推し進める。
そして半ば罠にかけるようにお見合いの場を設定する、相手の公爵家の3男は実はお姉だった。
こちらも結婚話はご免被ると最初は突き放してはいたが、すでに35歳を超え毎日お見合いの話がいくつも舞い込むほど親からは結婚しろと言われていた矢先だった。
親の命で仕方なく受けたお見合いの席、2人は意気投合というより親をだますことを思いついた。




