町を出る
町を出る
川から戻ると、レドラと落ち合い町の管理官であるトッドの屋敷へと向かった。
「どうだい?」
「全部済んだよ」ドーン
「それじゃちょっと付き合ってもらうよ」
レドラはドーンと落ち合うと2人を管理官であるトッドの下へと連れて行った。
「連れてきたよ」
「管理官のトッド・ジョーダンだ、面倒ごとを引き受けてくれて有難う」
「いや成り行きだ」
「それでもこの町は救われた」
「それはレドラのおかげだ、俺はたいした事はしていない」
「そうかそう言う事にして置こう」トッド
「それでこれからどうするんだ?」ドーン
「こちらはまかせてくれ、部隊は逃亡隊長は行方不明で通す」トッド
「それより後釜は決まったかい?」レドラ
「おいおいあんたの後釜が早々決まるわけが無いだろう」
「それもそうだね」
「やつらのような部隊は沢山いるわけじゃない、当分は安心だろう」
そう言ってトッドはテーブル上に皮袋を乗せこちらへ押す、中にはお金が入っているようだ。
「これは?」
「取っておいてくれ、餞別だ」
「そうかではありがたくもらっておく」
「その代わりこれは置いて行くから処分しておいてくれ」
その袋は例の痺れ薬、遊撃隊の忘れ物だが持っていてもドーン達には使いようがない。
元々麻酔のように使うものなので、医療用として結構高く売れるはず。
「これは?」
「やつらが持っていた痺れ薬だ、売れば結構金になるが、俺が売ると足がつく」
「そうかではありがたく貰って置こう」
「さて、そいじゃ話も終わったしそろそろ行こうかね」
「ああ、じゃあ短い間だったが世話になった」
「アタイの後釜は早く探すんだよ、まあこんないい女は早々見つからないとは思うけどね」
「ああそうするよ、元気で」
「おじちゃんばいばい」
「ああばいばい」
(ああこれで町は静かになるが、寂しくなるな)
この町にレドラが来てから3年、さほど長くは無いが彼女ほど町を良く知る人物は他にいない。
朝は必ず皆と挨拶をし、町中を歩き回るのだまるで自分の町のように。
彼女ほど責任感の強い人は今まで見たことが無い。
(それより後釜を探さないと…)
まずレドラの後釜といっても彼女のような人は当分現われないだろう、それにもう一人やつらにやられたゴジルの後釜も探さなければならないのだ。
「又、求人を出さないとな」
この先彼女のような人物は結局現われなかったが、ゴーホーンのような輩も現われなかった。
町は次の戦争までは平安を取り戻す、この時代は戦乱の世、何時何処に災いが降りかかるかは誰にも分からない。