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魔王VS勇者

魔王VS勇者


「いきなり突き飛ばすとは、礼儀がなってないな」ラーサー

「オ オレ敵コロス」リジョ

「何が礼儀だ、お前らにはここで死んでもらう」魔王バイパーク


入口から奥へと目をやるとそこには大きな装飾された椅子が壇上に置かれ、その椅子には魔王とみられる魔族の男が座っていた。


「お前が魔王か?」

「そうだが」

「ひどい面だな、魔王国も5千年でかなり弱体化したと言う事か…」

「何を言う、お前ら虫けらに俺の偉大さが分かるはずもないだろう」

「親から譲り受けただけの王座も今日までだ」

「ぬかせ!」

「ほう?」


魔王は王の座から立つと手に持った錫杖を床に打ち付けた。


「ジャリン!」

「ヒュ~」

「わが名はダーク、盟約によりはせ参じました」ダーク


魔王は召喚術により冥界から闇の生き物を召喚した。


「冥界の住人か?」

「ご名答、お前らの相手はこいつだ、行け冥界の主よ」

「ゴー!」

「お任せを」ゴードン

「ザシュ!」

「なんだと!」


その姿は一瞬だが目の前から消え失せた、だがゴードンの体には無数の傷跡が走る。


「クッ!」

「ギャインギャイン!」


ラーサーもリザードマンとの戦いで手一杯、ラポーチはその力でマリーの怪我を治しているが、どうやら初撃でマリーがやられたため出鼻を挫かれた様子、今は相手の雰囲気にのまれそうだ。


「こちらは私がお相手します」エアルータ

「私も!」ラターニャ


後ろは天竜親子が何とか食い止める。


「聖女様!」マーベル

「もう少しよ!」


その手からは光が漏れ出しマリーの体を包む、そして今まで苦しそうにしていたマリーの息がようやく正常に戻る。


「聖女様!」

「ついでにこれも!」


そう言うとラポーチは壊れた槌に手を触れる、すでに何回となく行って来た聖女の願い。

その力は折れて使えなくなった槌を聖槌へと変えて行った。

聖槌:ランドインパクト、その威力は地震を引き起こす、攻撃した物に対して最大級の衝撃を与える。

その槌を持つ者には絶大なパワーと防御力を与え、魔法は全て弾かれる。

DEF∞・AT+1000・MDF+1000、自動回復+10(秒)


(汝この槌を手に取るならば失われた力の全てを手に入れるだろう、正しき心正しき道を歩めば、悪しきものを打ち滅ぼす力は常にその手と共にあろう)

「なんか言葉が…オラ頑張る!」


手に持った槌は輝きに満ち溢れ、マリーの体から力があふれていく。

そしてラーサーとゴードンが戦う戦場をしり目に群がる敵にかまわず魔王へと向かって走り出した。


「どけっ!」

「ドスンドスンドスン!」


その重さからどう考えてもそのスピードが出る分けは無いと思う、そんな地響きが魔王へ向かって突き進む。


「王を守れ!」

「オ~」


だが魔王を守る守備隊10人に真っ向からぶち当たるマリー、まさかその小さい体から10人もの魔族が吹き飛ばされるとは誰もが思わなかった。

身長150センチ、ラポーチよりやや低いその体躯で2メートルを超す魔族の守備兵を全て吹き飛ばす。

さらに魔王に向かってにたりと微笑むと一言。


「バコン!ドン!」

「グアーワー」

「なんだと!」

「よくもやってくれたな!」マリー

「シャイン!」

「いでよ闇の王 ダークネス」


たまらず魔王は錫杖を使い新たな魔物を召喚しようとするのだが。

その前にマリーがその聖槌を掲げると魔王の前で床にたたきつけた。


「ダガン!バリバリバリバリ!」

「ゴゴゴゴゴ バキバキバキ」


それは地震、その地震により魔王が召喚しようとした魔物は霧散する。


「なんだと!」

「終わりだ!」


確かにそんな力があるはずないと、たかをくくっていたのは魔王だけでは無い。

ラポーチもラーサーも新たに生まれた勇者にまさか魔王が屈するなどとは思ってもみなかった。


「いくぜ!」

「ヒュンヒュン ドン!」


その槌は2・3度中を舞うと魔王のその腹にたたきつけられた、魔王は錫杖でその槌を避けようと思ったが、地震による衝撃で床が荒れボコボコに壊されていたたため、足を取られてしまった。

そして案の定後ろに尻もちを着いた魔王バイパーク、マリーの槌が真上からその腹に向かって叩きつけられた。


「ドズンッ!」

「グアー」


その口から泡を吐き出しその目は白目を向いて横たわる魔王バイパーク。

召喚された魔物のダークは主人格がやられてその契約を解かれると闇に帰って行く。


「弱きものよ、ではさらば」ダーク

「まさかな」ゴードン

「後はお前だけだ」ラーサー

「マオ マオーサマヤラレタ」


リザードマンジェネラルは魔王がやられたのを見てその剣と盾を床に落とした。


「やった!」ラポーチ

「まさかマリーに先を越されるとは思いませんでした」マーベル


いくら聖弓の勇者だとしても、味方の後ろからむやみに攻撃することもできず、期を狙っていたマーベルだったが、あまりにも早いマリーの攻撃に追撃の矢が間に合わなかった。

だがこれで魔王城はラポーチの思った通り開城され全ての戦いが終結を迎えた。


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