ラポーチ空を行く
ラポーチ空を行く
計画はどんどん練られて行く、そしておおよそラポーチの考え通りに進んで行くのだから誰もがその行く末を見守る事しかできなくなる。
仲間達でさえその無謀ともいえる計画の中に組み入れられているのだから。
「じゃあ私とマリーとマーベルちゃんはラターニャちゃんの背に乗って行くのね」ラポーチ
「ラーサー王とゴードン、そしてファターハさんとトマスさんがエアルータ妃の背に乗るのね」
【わしとジャクライン、アリスリアとコッテロールそれからドーンとレドラ最後にフエン将軍が後から船で行く、その際ミュール殿に船を押してもらうのじゃな】
港町には当然船が有り、魔王軍の最初の一陣は船で運ばれてきている。
その後は魔方陣を使い転移魔法で港町へと派遣されて来たので、2艘ほど港に停泊している。
話し合いで、町の人たちは現在監禁は解かれてはいるが、よほどのことがない限り家からは出ないようにしてもらっている。
魔方陣は魔王軍の駐屯地にありそこへ転移魔法で移動した場合、すぐに敵に囲まれ魔王との話し合いは難しくなるだろう。
だが空からならば直接魔王城へと乗り込み、魔王と直接話し合う事も可能だ。
「空から魔王城へ行って魔王様と話すのね、ダメならやっつけて魔王城を乗っ取る」
「海からは少し遅れるがこの体では重すぎて空を飛べぬからな」ドーン
「私が押して行けばそれほど時間はかかりませんよ」ミュール
帝国の近衛隊隊長は話し合いの結果、港町トローレの管理と再建を任された。
港町トローレの転移魔法陣を再開して帝国の転移館から文官や士官たちを港町まで呼び寄せ、魔族に壊された町の復興を始める。
「それじゃあ後は隊長さんに任せて行きましょう」マーベル
「うん、それじゃラターニャちゃんお願いしま~す」
小さいながらも天竜に変身すると女の子3人ぐらいは乗れる大きさになるのだから不思議だ。
お妃さまの大きさを見れば納得してしまうが。
全長20メートル以上ある天竜、飛ぶときはその羽だけでは無く風の魔法を使用する。
勿論その半分の大きさがあるラターニャも飛空魔法を併用して空へと飛ぶことが可能だ。
「では行きましょう」エアルータ
2頭の天龍が空へと舞い上がる、伝説の竜が2頭。
いやそもそも5つの竜種族が集うこと自体あり得なかった話。
天竜もそうだが火竜以外はその存在もすでに伝説となっている現在、その竜族が協力して魔族の国を黙らせに行くと言うのだから。
「わー空って気持ちい~」
「まさかこうなるなんて思わなかったよ~」マリー
「私もです」マーベル
風は上に上がれば上がるほど風が強く吹くため、その風の力を利用するのなら最低500メートルは上空へと上がらなければいけない。
現在の天候はやや曇り、気温は20度だが空へ上がるほど気温は低くなるためスピードは抑えめ。
「王よこの後、魔王を倒していかがします」ゴードン
「それは聖女様が決める事、我らはすでに一度死んだも同然、2度目の人生はできれば良いものにしたいな」
「私もそう思います」エアルータ
「私はおふた方について行きますよ」ファターハ
「私は又冒険者にでも戻るかな…」トマス
「おぬしにはその方が似合って良そうだな」ラーサー
港町トローレを飛び立ち約1時間、時速は100kを少し超えるぐらい。
ようやく魔王国の海岸線が見えて来る。
「あれが魔王国ね」ラポーチ
下に魔族達が使う船が見えて来る、ほとんどが漁に出る船であり、生活様式はどの国もさほど違いは無い。
魔族であっても魚を食べるし野菜も育てる、但し種族により人族より偏った食生活をしているのが魔族である。




