竜族の戦い
竜族の戦い
ミュールの魔法によりエイト村より先の洞窟内はきれいさっぱり流されていた。
そこには魔族の兵も偵察コウモリも仕掛けられた爆発物も全て無くなっていた。
「お~おねーさんすごい!」
「聖女様 ミュールです、ミューちゃんとお呼びください」
「ミューちゃんすごい」
「ありがとうございます」
そこへドーン達もやって来た。
「なんだどうした?」
「水魔法ですね」マーベル
「うひゃ~家も流されてる」マリー
「仕方がないんじゃない、奴らを纏めてやっつける事が出来たんだからさ」レドラ
「これで出口までは邪魔されないで済むわね」コッテロール
「だが…」
「待ち構えているでしょうね」アリスリア
一行はそれでも先へと進まなければいけない、そこに罠が張られていても町を取り返し魔族を追い返す。
それがこの国に暮らす人たちのためになるのなら、聖女と勇者は戦うと約束したのだから。
洞窟の中はさっきまで水浸しだったため所々滑るようになっていた。
岩についていたコケが中途半端に削られ、むき出しの岩が濡れて鈍く光る。
エイト村からは10kで港町トローレ側の洞窟入口に出る、このまま進んで行けば4時間で着くだろう。
「行軍を開始する、出口1k手前で我々は待機」
「今度はどうする?」
【そろそろ俺にも戦わせてくれ】
「う~ん」
【何かまずい事でも?】
「それは竜人で?それとも人型で?」ジャクライン
【そうだな火竜でやらせてもらえればありがたい】
「ですって」ジャクライン
「良いよ」ラポーチ
「おいおい」ドーン
「良いんじゃない」アリスリア
「まあボルケールが火竜で出て行けば、そう簡単にやられることもないんじゃない」ジャクライン
20メートル級の巨大竜が洞窟から出てくれば待ち構えている敵の軍隊はどう考えても腰を抜かすだろう。
敵も普通の兵士が相手だと思っているはずなのだから。
「面白そうだな、私も参加してよいか?」ラーサー
「あらあら、貴方ったら♡」
「楽しそう~」ラターニャ
結局洞窟出口で2名の巨大竜が先頭を切り、敵を蹴散らすことで話が付いた。
旧ドリゴニアの王、ラーサーは地竜であり賢竜とも呼ばれていた。
その姿はボルケールに勝るとも劣らない20メートルを超える竜であり、アースクエイクの魔法も使える。
その2人が巨大竜の姿で出ていくと言うのだから相手の魔族には哀れみさえ感じてしまう。




