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エイト村争奪戦

エイト村争奪戦


セブンス村の罠はその作成労力を考えるとあまりにもお粗末だった。

魔族側がラポーチ達の能力を見誤っていた証拠だが、だからと言って魔族達がそれほど弱いとは言い切れない。

中には先代魔王を呼び出した魔術使いや魔人と言われる魔族まで居るのだ。

当然のことながら先へ進めばそれらの上級魔族が立ちはだかる可能性が高い。


「人質になった村人はこれで全員か?」隊長

「後は次の村に行かないと分からないわね」アリスリア

「穴埋めは終わったぞ」ドーン

【簡単だったな】

「久しぶりに汗を流したぞ」ラーサー

「新鮮な気分だったわ」エアルータ

「まさか王様に下々の仕事をしてもらうとは…」ジャクライン

「余はもう王では無い、そうだな…一介の騎士いや戦士だな」

「あなたったら♡」

「お父様かっこいい~」

「そういえばこういう人だったわ」ファターハ

「それでもわが君、千年ついてきたのだ、今更その志は変えられぬ」ゴードン

「冒険者と言うのもよさそうだな、と言うか私は元冒険者だった」トマス


魔族が彫ったであろう落とし穴はセブンス村の入口に20メートルの長さで作ってあった。

その深さも5メートルはあり、普通の人間では出ることも難しい。

巨人族の2人と竜族に任せればあっという間に埋められるが、魔族もそう簡単に罠を通過されるとは思ってもみなかっただろう。

この知らせはすぐにエイト村に移動していた指揮官へと届いていた。


「なんだと!」

「はい通信コウモリからの伝達だと聖女によって全員やられてしまったようです」

「罠も利かなかったと言うのか!」

「はいなんでも2本の魔剣を持つ聖女だとか」

「くそ!どうすればいい、このまま奴らを通すとわしの首はいつか飛ぶやもしれん…」

「人質を使うのはどうでしょう」

「どうする?」

「隷属の魔法で縛りバーサクの魔法で前線に送り出しましょう」

「セブンス村の住人とエイト村の住人合わせれば50人になります、全員を隷属化し兵士として使えば奴らの足止めぐらいはできましょう」

「それしかないか…ではその準備をしろ!それからもう一つ…」


50人の村人全員を使った作戦、この時聖女ラポーチの能力が魔剣の物だと断定した魔族の司令官は、聖女だけ何とかしてしまえば戦いに勝てると考えていた。

だが隷属化した住人を兵として使うだけでは戦いに勝つと言う確率はまだ少なく、聖女側に与えるダメージはたいして大きくないと感じていた。

そこで決定的なダメージを与えるべく最悪の計画を練ることにした。


「そうだ洞窟全体に仕掛けろ、奴らが住人を全部倒した後でこの場所を全部爆破するんだ、すぐにかかれ!」

「は!」


最悪のシナリオは洞窟の爆破、生き埋め作戦とでも名付けられた無慈悲な作戦には魔族の兵も少し戸惑っていたが、命令となれば実行するしかない。

魔法式の起爆札を使い洞窟全体に仕掛けられた罠。

果たしてラポーチ達一行はこの罠をうまく躱す事ができるのだろうか?

セブンス村からエイト村までは10k前後、その途中にはいくつかの分かれ道があるが、大抵は行き止まりになっており地図にもそう書かれている。

道はところどころ狭くなっており、巨人族が通るにはかなり面倒だと言って良い。


「全く狭すぎる」ドーン

「あたいでやっとだね、抜ける度に胸がこぼれるなんて」レドラ

「姉御のはでかいっすからね」マリー


所々狭い上に鍾乳石が出ている為、衣服が引っかかってしまい。

特にレドラのような胸を少ない布で覆っている場合、ぽろっと柔肌が露になってしまう。

すでに4か月以上一緒にいるドーンだが、そのたびに前を押さえるようにしなければならないとは思ってもみなかった。


「うふふ」

「何がおかしい!」

「なにも~」

「おじちゃんこの戦いが終わったら、ちゃんと言った方が良いよ」ラポーチ

「な 何を!」

「夫婦になろうって!」

「ら からかうな!」

「あはは」


すでに2人は好き合っていていつでも夫婦になれるぐらいなのに、ドーンはまだそれを拒んでいたりする。

多分彼はシャイでしかも慎重すぎるのだろう、ラポーチもそれを知っているからこそ、見守ることを選んでいる。

それにこの戦いが終わらない事には2人の巨人族が幸せに暮らす未来が見えてこないことも分かっているからだ。


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