王妃は天龍だった
王妃は天龍だった
フィフス村、いやそこはフィフス神殿と言っても良い場所だったが、一行の前にはなにやらまたもや問題が持ち上がる。
だがそれは運命だったのかもしれない、今までもラポーチの前には様々な運命が訪れたのだが、今回の運命はかなり特殊と言って良い。
過去の偉人をよみがえらせることなど果たしてできるのだろうか?
「やってみるね」
「お願いします聖女様」
「キュキュー」
棺の奥まで移動し祭壇の前で膝まづく、そして両手を組んで頭を垂れるとラポーチは頭に浮かんだ言葉を口にする。
「古の盟約に従い我が力のすべてをここに現す、彼らの時を正常に戻し忌まわしき呪いの全てを解呪せん オールマジカルリムーブ」
ピカッピカッ!
神殿の中からまばゆい光が四方八方に放たれる、まるで閃光のようにそこにいた人は全員が目を手で覆うがそれさえも無駄というぐらいの光だった。
そして約1分、ラポーチを中心に光っていたが徐々に光が収まって行くと、6体の石像が頭のてっぺんから徐々に色を取り戻していく。
「神よ…」神官長
目の前にあった石像が動き出す。
「ん ここは?」ラーサー
「え 何?」エアルータ
「ふ~ あ 母上!」ラターニャ
「ここは?」ファターハ
「城 いや神殿か」トマス
「うう頭が…」ゴードン
「キュキュキュー」
「ハッ!」
「聖竜?」
「お姉さま!」
「え~」
考えていたことが少しずつはっきりとしてきた、やはり聖竜伝説の中に一行は身を置いてしまったようだ。
まさかここまでの出来事が全て神によって仕組まれていようとは思わないのだが。
それはある意味運命でもある、ラポーチの定められた聖女としての役割は竜族の運命をも担っていたのかもしれない。
5千年前時の王は国を追われ仲間と逃げ込んだ先がこの洞窟であり、彼らは同時に呪いを掛けられていた。
多分その時に味方であった神官にある願いをしたのだろう、石にされる前に書き溜めた巻物には当時の彼らがどうしてこうなったのかが書かれていたはずだ。
そして神官は王の石像を神殿の奥に隠すことにしたのだ。
まさか5千年も経っていようとは王も王妃も思わなかっただろう。
「それではすでにわが王国ドリゴニアは無いのか?」
「はい」
「まさか5千年も石にされたままだとは思わなかった…」ゴードン
「だれかがすぐに元に戻してくれると思われましたか?」マーベル
「ああ」
「あなた方がかけられた呪いはかなり強力だったようです」ジャクライン
「そのようだな、私たちも解呪を何度も試みたが駄目だった」トマス
「それでこれからどうするのだ?」
「王様は?」
「いやもうすでに国は無い、と言う事は私も王では無いと言う事だな」
「ですわね」エアルータ
「普通に暮らせるの?」ラターニャ
「ラターニャはうれしそうね」
「だって王様でなければ命を狙われることもないんでしょ」
「それはそうですが、今は一応戦争中です」隊長
「そうなの?」
「それで今のこの国の情勢はどうなっている?」
「我々は魔族の国リューゲル魔王国と戦っている最中です」隊長
「この人数、かなり兵士は少ないが」
「洞窟の行軍ではあまりたくさんの人数はかえって動きが制限されます」
「そうか確かに」
「それに聖女様と聖竜様もいらっしゃいますので」
「ん 巨人族 もしかして勇者か?」
「ドーン・ボルカノと申す、新米勇者みたいなもんだ」
「レドラ・ガリオンよ よろしくね」
「もしかして2人は竜族?」
【火竜族の長ボルケールだ】
「水龍の生き残りミュールと申します」
「キュキュキュー」
(聖竜オーパよ久しぶりね)
「やっぱりお姉さまだ、天龍エアルータです覚えていますか?」
「キューキュキュ」
(もちろんです)
「うれしい、また会えるなんて」
「姉妹なの?」ラポーチ
「聖竜は2千年周期で転生するのよ」ジャクライン
「それじゃ5千年前にはポーちゃんもこんなきれいなお姉さんだったんだ」
「あはは」
「キュキュ」
(そうよ)
「それじゃラターニャちゃんは?」
「私は母の血を多く引き継いでいるの」
「それじゃあ天竜なのね」アリスリア
「男だったら地竜だったのだがな…」ラーサー
「あらまだこれから先望みはあるわよ」
石化から解き放たれた竜族、もちろんこれから子作りすればそういう事もあり得る。
まあその前に世の中を戦争のない状態にしなければ安心して子育てなど出来はしないのだが。




