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賢王ラーサー

賢王ラーサー


石像だった、いや石像に見えるがその石像は生きていると言う。

6体の石像、それらは石棺ではなくその周りに配置されている、そして石棺の中には当時彼らが持っていた巻物や布地が入れられていた。


「この石像自体が遺体なのです」

「もしかして呪いの魔法と言う事?」ジャクライン

「はい普通の石化魔法ならば解除する方法が有りますが、彼らは石化だけではなく時間停止魔法による呪いも同時に掛けられています」

「多重呪術魔法」コッテロール

「禁呪ですね」マーベル

「当時の姿のまま封印されたのです」

「確かにポーちゃんの力なら解除できなくもなさそうだけど…」アリスリア

「だが当時の王を復活させてどうするのだ?」ドーン

「見てみて、この姿」マリー

「まるで英雄の様だな」隊長


全部で6体、柱と柱の間に4体、そして正面に王と妃が並んで置かれている。

竜人と聞いたがその姿は人だった、約190センチと人族としては大きめな王と言うより勇者と言う方がよさそうな姿で、歳もそれほど取っていなさそうだ。

石像なのではっきりとした年齢は分からないが。

そして隣にある石像は当時の美しさをそのままに、王妃の姿をした石像がわずかに微笑んでいるようにも見えた。

右手には少女の石像がまるで父と母を見守るように、かわいらしい姿は今にも動きだしそうにも見える。

さらにもう一体女性の石像が置かれ左手には男性の石像が2体柱をはさんで等間隔で置かれている。


「賢王ラーサー・K・ドリゴニア そしてその妃であるエアルータ・K・ドリゴニア そしてラターニャ・K・ドリゴニア王女。女性の従者は神官戦士でもあるファターハ・スメラギ、男性従者は魔剣術師で勇者でもあったゴードン・ファウテンダーク もう一人は魔弓術師であり勇者のトマス・ルーカス」


それぞれが2つ名を持つぐらい有名な歴史上の人物だったのだが、それは昔の話現在ではその名も知る人はほとんどいない。


「どうする?」ドーン

「彼らは良い人たちなのでしょうか?」マーベル

「現在では彼らがどういう経緯でこの形になったのかは計り知れませんが、当時の文献ではかなり民衆に慕われていたと言う話です」

「たたき上げの王に悪い王はいないと聞いたことが有る」ドーン

「そうね世襲になれば徐々に威厳も無くなると言うし」アリスリア

「千年続いたのは彼らが竜族だったから?」レドラ

「彼らの前代王の時代は最初小さな国だったようです、そこから良き政治を行い徐々に発展させ、周りの小国を吸収していくうちに蛮族の国に攻め込まれ裏切られたと言う形の様です」神官長

「だがもし彼らが復活し現在の王に反旗を翻したらどうなる?」隊長

「そん時はそん時じゃない」レドラ

「無責任すぎないか?」ドーン

「キュキュキュー」

(大丈夫ですよ私が説得します)

「オーちゃんが説得するって」

「もしかして転生前の記憶にあるのか?」

【この石像が竜人ならば聖竜様の言う事は聞くだろう】

「私もそう思います」ミュール

「そういえばこの場に竜は3人いるんだったな」ドーン

「キュー」

「その通り大丈夫だって」ラポーチ

「戦力になるならいいんじゃない」レドラ


5千年前の王様とその家臣、果たして彼らが仲間になってくれるだろうか?

まあラポーチの願いと言う信じられないような破格の能力が有るのだから、もしもダメでもそう悪いことにはならないだろうと思う一行だった。


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